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「女性議員が増えることで、本当に、暮らしやまちは良くなるのか?」(本目さよ台東区議会議員へのインタビュー・聞き手:池田麻里)

2019/2/26

池田麻里

池田麻里

今年5月に成立した「候補者男女均等法」では、女性候補の割合を50%にするよう政党に努力義務を求めている。女性議員の増加は、政治や社会にどんな変化をもたらすのだろうか。

今回は、台東区議会議員の本目さよ(https://www.sayohomme.com/)さんに聞きました。
本目さんは現在2期目。議員活動の他、政策実現ができる女性議員を増やそうというWOMAN SHIFTの活動もなさっています。

今回お話を伺った台東区議会議員の本目さよさん

女性も、男性も、やりたいことができる社会を目指して

-はじめに、政治家を目指そうと思ったきっかけを聞かせてもらえますか?

はい。思いを全部、話そうと思うと3時間くらいかかっちゃうと思うんですが(笑)
大きく3つあります。
ひとつめは、性別にかかわらずやりたいことができる社会を目指したい、っていう。この思いは大学生の頃から抱いていました。
大学生のとき、研究で、女性に生まれて良かったですか?男性に生まれて良かったですか?っていう質問、「性受容」いいますが、この問いを大学生にしていたんですね。そしたら、男性はほぼ100パーセントの人が「良かった」って答える。
でも、女性は半分くらいしか「女性に生まれて良かった」って言ってくれなかったんです。
「どうして?」って聞くと、出産って痛そうとか、子どもを産んだら仕事辞めなきゃいけないのかな、生理が辛いとかっていう答えが返ってきて。
出産ってキーワードなんだな、って思いました。

-それって、もう1990年代以降ですよね?

そう。そのくらいの時期ですね。
そのとき、生理とか出産という生物学的なところの課題でなくて、社会的な課題は変えることができるだろうと、大学院でも心理学を研究しました。会社に入ってからは、人事に配属してもらって、育児休暇といった制度づくりに取組んで。5年くらい働いたかな。

-そこで、また感じることがあったんですね?

周りに社会企業家が多くて、刺激を受けました。25歳で起業した友人もいて、負けてられないな!私も!って。
株式会社ワーク・ライフバランスの小室淑恵さんは私の師匠ですけど、他にも、女性起業家の横田響子さんから「女性社長を10年後には10倍に増やしたい」っていうお話を聞いたんですね。
そのとき、経済界に女性が増える。だったら、政治の世界にも女性が必要だと思いました。
私たちの気持ちを分かってくれる議員、政治家を10倍にしたいって。
だから、まずは自分でやってみようと。

-なるほど。もうひとつの想いはいかがですか?

実は、会社員として、子育てと両立しやすい会社づくりをしていたはずだったのに、育児休暇制度の初めての対象者だった方が、保育園に入れませんでした、という理由で会社に戻れなかったんです。ベンチャー企業で社員数も少なかったから、企業所内保育を作ってあげることもできなくて...。
やっぱり、自治体で保育所の整備とか頑張ってもらわなきゃダメだなと思いました。でも、
自治体議員にはまだまだ女性が少ないんです。だから、女性議員が必要で、私がやろう!と。

-決意しても、選挙とか、何をどうしたらいいやらって思いませんでした?

調べてみたら、一新塾とか政党が東京都内でスクールを開催していて、そこで学びました。あとはマニュアル本というか、選挙関連の本も読みました。

2期目の壁

初めての議会の印象はどうでした?

なんて古いんだろう!って思いました(笑)パソコンも持ち込めないですし、会議の机の上に用意されているのが鉛筆だったりして。

-きれいに削って尖らしてる鉛筆でしょう!

そう!赤鉛筆とか。鉛筆、久しぶりに見たー!って。会派の控室もタバコが吸えましたし、議会特有の暗黙のルールも分からなかったです。

-尖った鉛筆は議会あるあるですね(笑)

-議会で女性としての苦労もありますよね

女性としての苦労というわけではないのですが、任期中に結婚したので氏名の変更届を提出したら、同僚議員だけでなく、市執行部の理事者にもメール配信されてしまったようで、あちこちから「先生、おめでとうございます!」って声がかかったんです。
最初、なんで知ってるんだろう、って思ったんですけど、住所や電話番号を変更した時と同じように、名前のことも連絡されてしまったんですよね。
旧姓を使用しているので私自身は何も変わってないのに、って思いはあります。また、全国の若手の仲間の中には旧姓使用さえ苦労した方もいます。ここは変えていきたいです。

-選択的夫婦別姓の議論は前に進むといいなと私も思います。

-色々な理由があるのだと思いますが、1期で活動を終える女性議員もいますよね

私自身も、1期目には議員活動や議会のなかで、セクシャルハラスメントではないか、と感じたこともありますし、有権者や応援してくださる方との距離感にも試行錯誤があって、しんどさもありました。
他の議会なんですが、仲の良かった女性議員が何人も2期目の出馬を断念したんですね。
議会の他に地域や区主催の行事への参加や会合などもあって毎日忙しい。加えて、地域の方々からのお声に応えられているだろうか、というプレッシャーも感じていました。でも、議会で提案している政策は前に進んでいない。
エネルギーを費やして社会を変えるのに、本当に政治というアプローチがいいのか私自身もすごく悩みました

最終的に2期目の出馬を決意したのは、応援してくださっている方がいらっしゃったのと、この時の選挙でも台東区では20代、30代の女性の立候補者がいなそうだってことで、議会で私にしかできないことがあるはずだという思いがあって。

政治活動や議員活動には、相手をどこまで許容したらいいのか、という答えの無い迷いにはまってしまうことがありますね。1期目、特に真面目な方ほど悩んじゃうのかなと思います。私なんか、どうにも糸口が見つけられない方の電話だと、考え方が違いますねーってガチャンといっちゃいますけど。もはや(笑)

段々、強くなりますよね(笑)
でも、強い女性ばかりではなく、「弱い」女性も政治の世界には必要だと思います。
その「弱さ」は相手や社会への共感力だと思うので。

政策の実現とWOMAN SHIFT

-子育て、女性、ICTを中心に政策提案を続けていらっしゃいますが、結果的には2期目では政策の前進があったようですね?

はい。2期目に入って、前進したことを実感しています。
例えば、病児保育。私が当選した当時は台東区には病児保育施設が全く無くて。
絶対に必要だから、場所が無いなら、せめて訪問型の病児保育に助成金を出したらどうですか、って提案したら、その時は教育長に「病気が回復するまでは、できるだけ保護者が身近で看護していくことが望ましいという考え方がございます」って答弁されちゃって・・・。そんなこと分かってるし!だけど必要な人はいるでしょう!って思いながら、取組み続けていたら、助成制度が実現したので。成果だと感じています。
他にも、提案が長期計画に反映されていたり、目に見える形で政策が実現しているので良かったです。

-議員活動のほかに、WOMAN SHIFTの活動もなさっていますが、WOMAN SHIFTが目指す「政策実現ができる女性議員を増やす」という理念に込めた想いを聞かせてください。

立候補の動機でもある女性議員を増やしたいという思いももちろんあります。
加えて、「議員である」ということだけでなくて、社会を良くするという思いを持った女性候補者や政治家が、志や専門性を高めて、どうやって社会を良くしていくか、という志向を実現するためのコツやスキルを学び合える場を作りたい、ということでWOMAN SIFTを立ち上げました。

-今年、ご出産なさいましたが、議員活動とのワークライフバランスはいかがですか?

手探り状態です。私も保育園に落ちてしまって。認可外の施設に電話をかけまくって見つけました。見つからなかったら、本会議に出席できなかったらどうしようって焦りましたね。
今も、特に選挙の前ということもあって夜や土日の会合にも出たいし、一方で子どもとの時間もほしいし、子どもを連れて行くのか、夫婦で譲り合ったりしています。

-会社勤めに比べると、自治体議員の仕事は議会公務以外は自分の裁量が利くので、子育てしながらでもやりやいのかなと思うのですが

自治体議員はやりやすいと思います。地元エリアで完結するので。
政治活動については何をどれだけやるか、本人の線引きだと思います。でも、やっぱり選挙は気になります。政策、子育て支援の分野については、議会で誰にも負けない実績がある。だけど、それだけで評価されるものではないので。何度、家を訪問したか、が票につながる実態もありますから。子育てをしながらの議員としての活動が、同年代の方に知っていただいて、共感していただけたらと思います。

-政策や議員としての実績を知ってもらう工夫ってありますか?

ブログと区政報告のレポートには力を入れています。

-そうやって発信しながらも、手応えや伝わっている、という実感って得にくいですよね

そうですね。もともと私自身も政治が身近にあったわけではないので、「政治」って聞くだけで拒否反応を示してしまう気持ちも分かる
子育て支援についても、例えば、ランドセルが重いので置き勉できるように、とか、オムツは持ち帰りたくない、みたいなリアルな声を拾いたいのに、なかなかその距離が縮まらないもどかしさはあります。
ちょうど子育て中なので、子ども家庭支援センターなどへ行って、ママさんたちと話ながら、こっそり聞き耳を立てて生の声を拾っています。区議会議員とは名乗ってないんですけど(笑)

-私自身も経験していますが、「議員」って名乗ることで聞けなくなるって変ですよね。でも、現実にはそうなんだよねぇ

-これまでも取組んでこられたと思うのですが、改めて、ご自身で出産、育児を経験することで、政策提案に厚みが出ますね

出産前から子育て支援の政策には力を入れていたので、大きくは変わりません。
ただ、より細かいところが見えてきました。授乳室のこととか。ちょっと細かいところにばかり目が行きがちなので、議員としてはもう少し大局的な視点も心がけなきゃと思っています。

あとは、WOMAN SIFTの活動を通じて、リノベーションまちづくりとか子連れにやさしい施設のあり方など、これまで以上に新しい関心や政策も広がってきました。私は谷中の出身なのですが、まちへの愛着や街並み、こうした分野も勉強もして、頭では分かっていたつもりだったことを改めて捉え直しています。

-今、特に都市部では投票率が下がってきていますが。

はい。だからこそ、情報発信での工夫は心がけていて、レポートのデザインとか。高校生が乗り降りする駅の出口で活動してみたり。でも、なかなかレポートを手にとってくれる高校生は少ないですね。
若い世代の人には、暮らしへの満足感もあるんだろうと思うんです。でも、初めて社会や政治の課題に気付くのも出産っていうきっかけなのかなと思います。保育園入れないとか。そこで政治の大切さに気付いてもらえたらいいな。
あとは、やっぱり教わってないですよね。学校教育では全く。主権者教育、どうやって投票先を選んだらいいのか。主権者教育を広げているNPOもあるので、そうした活動は応援していきたいです。

-最後に、政治を目指す女性にメッセージをお願いします。

まずは当選して!
議員活動を始めたら、きっと壁や山に向き合うことがあると思うし、共感力の強い人ほど悩みや迷いを感じると思うのですが、それを乗り越えて、一緒に社会を良くしていきましょう!

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池田麻里

池田麻里

池田麻里。 1975年生まれ。早稲田大学在学中に代議士事務所でインターンを経験。民間企業勤務を経て枝野幸男秘書へ。2007年さいたま市議会議員に初当選。3期12年にて引退。女性を政治の場へ送り出すために活動中。

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