選挙ドットコム

いよいよ6日夜に迫ったアメリカ中間選挙。共和党のトランプ化が止まらない アメリカの選挙の今

2018/11/6

齋藤 貴

齋藤 貴

2018年最大の政治イベントともいうべきアメリカ中間選挙の投票が日本時間の本日6日夜に迫ってきました。今年に入ってから「共和党はトランプ大統領の党になっているのではないか?」という議論が流行しました。すなわち、北米自由貿易協定(NAFTA)や環太平洋パートナーシップ協定(TPP)といった自由貿易を支持していたかつての共和党は色あせ、トランプ大統領が保護貿易を推進することに同調するようになっているといった現象です。この現象は一層進行しているように見えます。今回の記事では、この共和党のトランプ化とアメリカの選挙の変貌について考えたいと思います。

【関連記事】いよいよ6日夜に迫ったアメリカ中間選挙。勝つのは共和党支持者の結束か、民主党支持者の結束か

そもそもアメリカでは大統領と連邦議会議員の選挙は異なる

日本では衆議院総選挙が重要な位置を占めています。その最大の理由は、衆議院総選挙で過半数を占めた党派が内閣総理大臣を指名するからです。すなわち衆議院総選挙は「政権選択の選挙」と考えられているのです。この結果、衆議院の多数派と政権とはある程度政策が共有されていることが期待できます。
一方で、アメリカでは大統領と議会とは異なる選挙で選出されます。つまり、大統領選挙と連邦議会選挙は独立した選挙として存在するのです。トランプ政権が打ち出す政策ばかりが注目を集めていますが、そもそも法律を立案、成立させるのは議会の役割です。また、アメリカの場合は、大統領は議会選挙候補の公認に関する権限を一切持たないために、自分に近しい候補を立候補させるといった戦略も他国に比べて取りにくいのです。
そのため、同じ党であっても、大統領と議員とで意見が異なることはよくある話です。例えば、1990年代の民主党クリントン政権は北米自由貿易協定(NAFTA)を積極的に推進しました。しかし、民主党議員の多くはクリントン政権の姿勢に批判的でした。その結果、NAFTA批准を決める投票では、6割に及ぶ民主党議員がそれに反対したのです。このように、アメリカでは議員が大統領から独立しているといえます。

【関連記事】今秋に迫ったアメリカ「中間選挙」。なぜトランプ大統領が注力するのか?

トランプ政権期における与党議員と大統領との関係の変化

しかし、トランプ政権は共和党議員の支持を取り付けることに比較的成功しています。オバマ政権期の医療保険制度改革(いわゆる、オバマケア)の廃止をめぐる法案では共和党議員の十分な支持を取り付けることに失敗しましたが、最高裁判事の指名承認など重要な政策については成立させることに成功しています。トランプ大統領に批判的な議員もいましたが、彼らもトランプ政権の政策を支持せざるを得ない立場に追い込まれているといえるでしょう。

原因1 議会への支持の低迷

なぜこのような現象が起きているのでしょうか。その原因として第一に、トランプ大統領を支持することが自身の選挙においても重要になってきているということが挙げられます。
近年、アメリカでは議会に対する支持率が低迷しています。2000年代末に始まる経済の長期低迷に対する議会の対応への批判が高まって以降、議会に対する支持率は20%を割り込むようになりました。90年代後半には40%だったので、半分に落ち込んだことになります。一方で、オバマ政権に対する支持率は40%から50%で推移しました。それは、トランプ政権においても変わりません。そのため、大統領の方が議会より人気があるという構図がオバマ政権期に定着したのです。

原因2 トランプ大統領のバックボーンの特殊性

第二に、トランプ大統領と共和党議員との意見の隔たりが大きいことが挙げられます。オバマ政権においては民主党議員と大統領との意見の違いはそれほど目立ちませんでした。オバマ氏は上院議員の出身であり、一般的な民主党議員と似たようなバックグラウンドを持っていたこともあります。しかし、トランプ大統領と共和党議員とは大きく異なります。トランプ大統領は、連邦議会議員はおろか、地方レベルでも政治家経験を全く持ちません。そもそも彼は民主党系の政治家に政治献金し続けてきました。このように、政治経験がないことに加え、共和党政治家との結びつきが極めて弱かったのです。

【関連記事】トランプ大統領の政権運営を左右する?|アメリカ中間選挙とは何か

まとめ 大統領の人気>与党議員の人気・大統領の考え≠与党議員の考え

以上のことを背景として、大統領は与党議員より大きく人気があり、大統領と与党議員の考えが大きく異なるという状況が出現しました。その結果、与党議員が大統領に意見を合わせざるを得なくなってきているのです。すなわち、共和党議員にとってトランプ大統領と対立することはマイナスになっているのです。かつて、大統領選予備選挙においてトランプ大統領と批判しあったクルーズ上院議員でさえ、選挙集会にトランプ大統領を呼ぶようになっているのです。
このことがよく表れているのは自由貿易を巡る問題です。従来、共和党議員の多くは自由貿易を支持してきました。先に挙げた北米自由貿易協定(NAFTA)の投票では多くの共和党議員が賛成票を投じました。しかし、現在のトランプ大統領は自由貿易を徹底的に批判しました。共和党支持の有権者は、自由貿易を批判し、大統領を支持しました。このような状況においては、共和党議員が自由貿易を支持するのは命とりになっているのです。

この記事をシェアする

齋藤 貴

齋藤 貴

ペンネーム。23歳大学生。大学では政治学を専攻。テレビドラマ『相棒』が大好きです。

選挙ドットコムの最新記事をお届けします

ホーム記事・コラムいよいよ6日夜に迫ったアメリカ中間選挙。共和党のトランプ化が止まらない アメリカの選挙の今

icon_arrow_b_whiteicon_arrow_r_whiteicon_arrow_t_whiteicon_calender_grayicon_email_blueicon_fbicon_fb_whiteicon_googleicon_google_whiteicon_homeicon_homepageicon_lineicon_loginicon_login2icon_password_blueicon_posticon_rankingicon_searchicon_searchicon_searchicon_searchicon_staricon_twitter_whiteicon_youtube