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投票所を駅やショッピングセンターに作ろう!統一地方選挙の投票率アップに向けてできること

2018/10/23

原口和徳

原口和徳


来年4月に予定される統一地方選挙に向けて、国政選挙に比べて低くなりがちな投票率の向上が大きな課題となっています。
この問題の解決策として、駅やショッピングセンター、大学などの有権者にとって便利な場所への投票所の設置が注目されています

投票所までのアクセスが投票率を左右する

明るい選挙推進協会が実施した衆院選の意識調査では、投票所までの移動時間が長くなるほど投票を棄権する人の割合が増加することが示されています。

図表1_投票所までの距離と投票・棄権(衆院選)

なお、この傾向は参院選などにも共通しています。
投票率を向上させるためには、投票所までのアクセスが悪い人たちへの対策がポイントとなります。

期日前投票所の整備はすでに効果を上げている

また、2017年衆院選の調査結果からは、投票所までの移動時間が長くなった場合の投票参加割合の低下幅がこれまでよりも小さくなっていることもわかります。
このことの要因として考えられるのが、期日前投票所の整備が進んだことです。
当日投票所の数は選挙のたびに減少しています(2014衆院選:48,617か所→2017年衆院選:47,741か所で876か所の減少)が、期日前投票所は増加しています(2014衆院選:4,861か所→2017衆院選:5,346か所で485か所の増加)。最近では、駅やショッピングセンター、大学等の有権者の生活環境に即した場所への設置も行われるようになっています。

図表2_当日投票・期日前投票割合

そのようななかで、投票所へのアクセスが悪い人ほど、期日前投票所を使用する割合が高まっています。例えば、2017年衆院選で投票した人のなかで投票所までの移動時間が5分未満の人では期日前投票所を使用した人の割合は21.9%、5分以上10分未満の人で35%でした。これが投票所までに10分以上の移動時間を要する人になると、半分の人が期日前投票所で投票をしています。
加えて前回衆院選(2014年)と比較してみると、期日前投票所の利用割合は全般的に高まっていますが、特に投票所まで10分以上20分未満の人たちで増加していることもわかります。

このように期日前投票所の整備は相対的に投票棄権率の高かった投票所までのアクセスの悪い人たちが投票するための改善策となっていることがわかります。

便利な場所に投票場所を設置することへのニーズ

明るい選挙推進協会の意識調査では、投票に行かなかった人に対して「どういう状態だったら投票に行こうと思いますか」と尋ねています。

図表3_投票に参加するための条件

そこでは「駅やショッピングセンター・コンビニなどでも投票ができたら」といった回答が4割近い支持を得る等、便利な場所への投票所の設置について高いニーズがあることがわかります。

便利な場所に投票所を増やすことの負担

総務省「投票環境向上に向けた取り組み事例」では、商業施設側から施設内に期日前投票所や共通投票所を設置することへの協力を申し出ている事例があることや、大学も概ね好意的に協議に応じている様子が報告されています。

また、設置数や設置日数によって変動するものの、概ね数十万円から数百万円の実施経費でショッピングセンターや大学、病院などの有権者にとって便利な場所に投票所を設置できていることもわかります。

今、このテーマを考えておくことが大切な理由

有権者にとって利便性の高い場所に投票所を設置しようとしても、関係者との事前協議や予算の確保がなされていなければ実現することができません。
自治体の予算案作成のための行政内での調整期間は概ね10月~12月となっています。
事前調整の期間を経て、これから正式な協議が行われていくことになります。

来春の統一地方選挙において有権者にとって便利な場所への投票所の設置を求めるためには、今、その必要性を考え、関係者に働きかけていくことが重要になります。
取りまとめられた予算案は自治体のホームページ等で公表されます。最近では調整段階ごとに公表する事例も増えてきています。
統一地方選挙において便利な場所で投票したいと思ったら、これらの情報をチェックしていくことが重要になります。

住んでいる場所と投票しやすさの間にある不公平を乗り越えるために求められること

市町村合併や経費削減の取り組みによって、当日投票所の数は選挙のたびに減少しています。例えば2005年に行われた衆院選での当日投票所数は53,021か所と2017年衆院選よりも5,280か所多く設置されていました。
自治体に期待される多様な行政需要に応えていくためには、今後も無駄な経費の見直しを進める必要がありますし、投票所の整理統合も引き続き検討されていくことになると思われます。その結果、投票所までのアクセスにより時間がかかるようになる人が増えることも想定されます。

ただし、いずれの選挙においても投票所までのアクセス状況が悪くなるほど投票への参加率が低くなっていることは、投票所までのアクセスが投票のための障害になりうることを示唆しています。
特定の場所に暮らしているということだけで、一方的に政治に参加するための障害が生じてしまうのならば、その不公平は何らかの手段によって取り除かれることが望まれます。
有権者に便利な場所への期日前投票所や共通投票所の設置は、例えば既存の投票所設置場所の見直しと合わせて行うことで必要経費の増加分を相殺していくことなどが考えられないでしょうか。

統一地方選挙に向けて、駅やショッピングセンター、大学や病院などの有権者にとって利便性の高い場所への投票所の設置が進み、より多くの有権者の声が政治に届くようになっていくことが期待されます

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原口和徳

原口和徳

1982年埼玉県熊谷市出身。中央大学大学院公共政策研究科修了。早稲田大学マニフェスト研究所 議会改革調査部会スタッフとして、全国の議会改革の動向調査などを経験したのち、現所属にて市民の立場からのマニフェストの活用、主権者教育などの活動を行っている。

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