選挙ドットコム

首相に続いて大臣も産休取得。女性の政治参画が進むニュージーランドの選挙事情とは?

2018/8/6

原口和徳

原口和徳

今年6月、ニュージーランドのアーダーン首相が出産し、6週間の産休に入り、今月2日、職務に復帰したことが大きな話題となりました。現役の首相が産休を取得するのは世界でも初めてのケースとなりましたが、ニュージーランド国内は祝福ムードに包まれていることが報じられています。

また、ニュージーランドでは8月6日に出産を予定している女性相を務めるジェンター氏も産休を取得する予定であることが公表されています。

日本でも今年5月に「政治分野における男女共同参画推進法」が制定されるなど、政治分野での女性の活躍が目指されています。ニュージーランドからヒントを得るべく、同国の政治や選挙模様を確認してみましょう。
【関連】数字で見る女性議員割合。県議会では愛媛県がワースト、知事は3名のみ、都道府県議会議長は0%  >>

国会議員の1/3以上が女性議員

図表1は、国会における女性議員比率を比較したものです。(出所:IPU 「Women in national parliaments」(2018年6月))
日本の女性議員比率が10.1%で158位であるのに対して、ニュージーランドは38.3%で19位、国会議員の1/3以上が女性議員であることがわかります。

また、ニュージーランドは、世界で初めて婦人参政権が認められた国であるということも押さえておきたいポイントです。

男女格差の少なさは世界トップ10にランクイン

ニュージーランドでは、社会の各分野で女性が活躍しています。

世界経済フォーラムによる「ジェンダー・ギャップ指数」(※)のランキングでは9位にランクされています。ちなみに、日本は144か国中114位となっています。日本とニュージーランドの間では、保健分野では日本の評価が高いものの、特に、政治分野(ニュージーランド:12位、日本:123位)や経済分野(ニュージーランド:23位、日本:114位)での差が大きなものとなっています。
※ 各国における男女格差を測るために、経済、教育、保健、政治の4つの分野のデータから作成される指標

国政選挙の投票率は約80%

図表3は、過去2回の国政選挙の年齢別投票率です。全年齢での投票率は79.01%(2017年)、76.77%(2014年)と日本に比べても高い投票率となっています。

投票率の水準に差はありますが、60代後半までは年齢を重ねるごとに投票率が上昇していくことが共通しています。ニュージーランドの選挙管理員会では、若者と先住民族であるマオリの政治参加についての研究が行われています。「若者の政治参加」が日本だけの課題でないことは興味深い点です。

なお、ニュージーランドの隣国であるオーストラリアは義務投票制を採用しており投票率が高いことで知られていますが、ニュージーランドでは義務投票制は採用していません。ただし、両国とも投票権を得るために有権者登録が必要なことは共通しています。
ニュージーランドの選挙管理委員会によると、有権者登録率は89.54%と推定されていますが、年齢が低いほど登録率は低くなり、18歳〜24歳の登録率は66.86%と推定されています。(2018年6月末時点)

「選挙制度」を巡る国民投票も行われています

ニュージーランドでは小選挙区制を採用していましたが、国民投票の結果を受けて1996年から小選挙区比例代表併用制が採用されています。この国民投票の背景には、小選挙区制の下で労働党と国民党の間での政権交代が続いていたものの、小政党が選挙でかなりの票を獲得しながらもそれに比例した議席を得られないことや、全国での得票数の合計では劣る政党が小選挙区ごとの結果によってより多くの議席を獲得し、政権に就いたことなどが国民の間で疑問視されたことなどがありました。

2010年には、再度、選挙制度変更の是非を問う国民投票が行われましたが、現在の制度を維持することになりました。また、選挙区間での「1票の格差」をめぐる対策として、5年ごとの国勢調査のたびに小選挙区数と区割りの変更が行われています。

国政選挙に外国人も投票できます

ニュージーランドの選挙制度の特徴としては、国政選挙への外国人参政権を認めていることも挙げられます。

18歳以上で、ニュージーランドに1年間以上引き続き居住しているまたは1年間以上引き続き居住したことがあり、ニュージーランド永住権保持者である場合、有権者登録をすることで国政選挙にも投票することが出来るようになります。

選挙制度改革がもたらしたもの

ニュージーランドの緑の党の元共同代表のメティリア・テュレイ氏は、小選挙区比例代表併用制への選挙制度改革が女性やマオリの議員数の増加を促したと主張しています。日本でも「女性の政治参画」や「一票の格差」、「死票」などを課題として、選挙制度改革の議論が提起されることがあります。女性の政治参画先進国ともいえるニュージーランドの知見から学べることはたくさんありそうです。

この記事をシェアする

原口和徳

原口和徳

1982年埼玉県熊谷市出身。中央大学大学院公共政策研究科修了。早稲田大学マニフェスト研究所 議会改革調査部会スタッフとして、全国の議会改革の動向調査などを経験したのち、現所属にて市民の立場からのマニフェストの活用、主権者教育などの活動を行っている。

選挙ドットコムの最新記事をお届けします

ホーム記事・コラム首相に続いて大臣も産休取得。女性の政治参画が進むニュージーランドの選挙事情とは?

icon_arrow_b_whiteicon_arrow_r_whiteicon_arrow_t_whiteicon_calender_grayicon_email_blueicon_fbicon_fb_whiteicon_googleicon_google_whiteicon_homeicon_homepageicon_lineicon_loginicon_login2icon_password_blueicon_posticon_rankingicon_searchicon_searchicon_searchicon_searchicon_staricon_twitter_whiteicon_youtube