選挙ドットコム

あなたの一票は「政治家だけ」ではない時代も。教育委員会にも選挙があったこと知ってる?

2018/4/21

選挙ドットコム編集部

選挙ドットコム編集部

あなたの一票は「政治家だけ」ではない時代も。教育委員会にも選挙があったこと知ってる?

一般的に選挙と言えば、衆議院・参議院の国政選挙と首長、地方議会の地方選挙があげられます。
しかし、これらの選挙以外にも公職選挙法が準用される選挙が存在するのです。今回はなじみがほとんどない、「行政委員会や財産区の選挙」について紹介します。

選挙が行われる「行政委員会」「財産区」とは

地方公共団体の「行政委員会」とは、扱う分野の性質上、行政部門からは独立して活動する必要があり、民主的な手続きが特に必要な分野において設置されるものです。このような行政委員会としては、選挙管理委員会や教育委員会、農業委員会などが挙げられます。これらの委員は首長が選任し、議会の同意を得て、任命されることが一般的ですが、公職選挙法に準じて、選挙によって選出されるものもあります

また、「財産区」とは地方自治法第294条で規定されているもので、区市町村の一部地域で財産を保有する場合に設置される特別地方公共団体のことです。このような財産区は自治体の合併等で新自治体ができた際に旧自治体が持っていた山林などの住民の共同生活上必要な財産を新自治体に渡すことに強い反対があったことから、旧自治体の構成員でこれらの財産を管理できるようにするために誕生しました。この財産区は条例によって、管理運営するための財産区議会を設置することができ、財産区議会議員はその一部地域の住民の選挙で選出されます。

行政委員会・財産区選挙の変遷

現在、行政委員会で公選枠が存在するのは漁業法で規定された漁業に関する分野を扱う海区漁業調整委員会のみで、前述した財産区議会と合わせると一般的な国政選挙、地方選挙以外で公職選挙法が準用される選挙はこの2つだけとなります。これらの選挙に参加するには漁業従事者であったり、財産区があって、条例によって議会が設置されているような特定の地域に在住していたりする必要があるため、一般的な人にはなじみがありません。

これらの選挙は選挙戦にならないよう調整が行われることがしばしばあり、2016年の海区漁業調整委員会選挙では64海区中56海区で無投票となっています。ただし、ごくまれに激しい選挙戦になる場合があり、1991年に行われた福岡県久留米市の高良内財産区議会選では、財産区が持っている土地が市のごみ処理場の建設予定地となったことから、賛成派と反対派で激しい戦いが繰り広げられたことが記録されています。

このほか、過去に選挙が行われていた行政委員会としては農業委員会と教育委員会があります。このうち、教育委員会は1948年から1956年まで、農業委員会は1951年から2016年まで選挙が実施されていました。農業委員会はそれなりの規模の農地を有する人しか参政権がありませんでしたが、教育委員会は戦後の短期間に行われたものの、他の行政委員会選挙と異なり、選挙権を有していれば、誰でも投票ができるものであったため、他の同様の選挙と比べて、極めて異色なものになっていました。

教育委員会選挙

教育委員会選挙は前述したように公民権を有していれば誰でも投票できるものであったため、一般的な国政、地方選挙のような力が入れられていました。教育委員会が公選となった理由としては、戦前の反省を生かし、教育の民主化と地方分権、自主性の確保を行うために公選制であったアメリカの制度が参考にされたからです。このような事情があったため、教育委員会は現在より大きな権限が与えられており、教育に関する予算編成権と議案提出権がありました。

初めて教育委員会選挙が行われた1948年の様子ですが、当時の法によって教育委員会の設置が義務付けられていた都道府県と五大都市(大阪、京都、名古屋、神戸、横浜)で、合計792人が立候補していました。候補者の職業としては、元教員と現職教員で半数が占められており、他の選挙とは明らかに異なる顔ぶれとなっていました。これらの候補は半分以上が各種団体の推薦を受けていましたが、こちらも普通の選挙と異なり、一般的な政党に所属あるいは推薦を受ける候補は少なく、教員組合やPTA、公共団体に所属、または推薦を受ける候補が多かったようです。また、選挙運動の様子ですが、ラジオで政見放送も行われ、一般的な選挙と遜色ないものとなっていたようです。

このような形で行われていた教育委員会選挙ですが、有権者の関心は余り高くはなく、投票率は全国で60%弱(1946年衆議院選の投票率は約68%)、東京都に至っては30%にも満たないありさまでした。とはいえ、教育委員会を公選としたことで、教育費が増額されたり、人事が透明化されたりといった成果が見られています。

最終的にこの教育委員会の公選制は、様々な問題点が指摘され、自民党が「教育に関する国の責任と監督の強化」を掲げて1956年に法改正が実施されたため、廃止されました。

「選挙」というと、衆議院・参議院の国政選挙と首長、地方議会の地方選挙のイメージが強いですが、実は今回紹介した選挙にも、公職選挙法が準用されます。知っていたら、「選挙マニア」と言えるかもしれません。

この記事をシェアする

選挙ドットコム編集部

選挙ドットコム編集部

選挙をもっとオモシロク” 選挙・政治分野における情報公開やITの活用を促進し、国民の関心を高めることで戦後最高の投票率を更新することを目指しています。

選挙ドットコムの最新記事をお届けします

ホーム記事・コラムあなたの一票は「政治家だけ」ではない時代も。教育委員会にも選挙があったこと知ってる?

icon_arrow_b_whiteicon_arrow_r_whiteicon_arrow_t_whiteicon_calender_grayicon_email_blueicon_fbicon_fb_whiteicon_googleicon_google_whiteicon_homeicon_homepageicon_lineicon_loginicon_login2icon_password_blueicon_posticon_rankingicon_searchicon_searchicon_searchicon_searchicon_staricon_twitter_whiteicon_youtube