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「AI市長」候補は至って真面目。「AIに仕事を任せる」ことで多摩を最先端へ|候補者インタビュー



宮原ジェフリー
宮原ジェフリー

4月15日に投開票される東京都多摩市長選挙には、現職で3期目の当選を目指す阿部裕行氏(62歳)新人の松田道人氏(44歳)高橋俊彦氏(79歳)が挑む構図となっています。
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新人の松田道人氏は選挙ポスターに「人工知能が多摩市を変える」というスローガンとともに、本人ではなくメタリックなロボットの写真を使用していて、そのインパクトでネットのみならず、各メディアで取り上げられ大きな話題を呼んでいます。話題性を狙った行動かと思いきや、実は地域への思いや、新しい取り組みにかける意気込みが… 松田候補本人にうかがいました。







立候補を決めたのは、わずか4日前



-選挙ウォッチャー 宮原ジェフリー
まずはじめに、今回立候補した理由を教えてください。


-多摩市長候補 松田道人氏
大きく2つ理由があります。私が立候補を決意したのは4月4日、告示の4日前です。それまで立候補を表明していたのは現職の阿部氏だけで、そのままでは無投票当選が決まってしまうところでした。代表を選挙で選ぶ、という民主主義の基本を実現するために立候補を決意しました。

もう1つ、多摩市は情報公開について非常に大きな問題を抱えています。市役所の内部通報制度を使って、保育園入園に際して市役所職員の子供を不正に特別扱いした件や、市の幹部職員による業者の発注手続きの不正など6件にわたる市役所の問題が通報された件について、十分な説明がなされていません。自民・公明から共産党まで阿部市長を支える「オール与党」とも言える現在の多摩市政ではこれを改革することはできないと考え、立候補することにしました。

(街頭演説を行う松田候補)

(街頭演説を行う松田候補)



-選挙ウォッチャー 宮原ジェフリー
松田さんは4年前の市長選挙にも立候補していますよね。前回はAI(人工知能)についての言及はありませんでした

(前回2014年の多摩市長選の選挙公報)

(前回2014年の多摩市長選の選挙公報)



-多摩市長候補 松田道人氏
基本的な政策は変わっていませんが、その手法や優先順位は変わりました。
(前回の選挙から継続して掲げている政策の1つである)交通政策については実際に多摩市に暮らす方々のお話をうかがう中で、問題意識が深まっていきました。高齢者にシルバーパスを交付してもバス路線が30年前と変化がなかったり、バス停までの道のりが大変だったりと公共交通が使いにくいために買い物がインターネット通販に流れてしまい、多摩市の経済発展を阻害している、という状況になってしまっています。AIを使って市民にとって本当に使いやすいバス路線を決定したり、オンデマンドバスを実現したり、AIによる自動運転でより無駄遣いの少ない市政を実現したいと考えています。

4年前の市長選ではポスターの掲示以外にほとんど選挙運動をしないでどこまで票が集められるか、という実験をしたのですが、それでも3,000票以上獲得できました。今回、これより少なかったらショックですね(笑)

(参考)前回2014年の多摩市長選の結果
阿部 裕行(58)31,828票
相沢 慶太(33) 4,237票
松田 道人(40) 3,509票
※年齢は当時






「AI市長」はどこまで実現可能なのか?



-選挙ウォッチャー 宮原ジェフリー
選挙公報では、市議によるカラ出張がAIによって明らかになった、ということを書かれていますね。

(松田候補の選挙公報)

(今回2018年の選挙公報)



-多摩市長候補 松田道人氏
これは不正を探すためにAIを使用したのではなくて、政治にAIを取り入れる実験のために、昨年の夏から多摩市政に関するあらゆるデータをAIに読み込ませていた際に、エラーが発生して検証した結果わかった事実なんです。今回の選挙戦でAIの活用を訴えていますが、実はもうすでに、AIを使って市内の高齢者や若者にとって、どのような政策を打ち立ててゆけば良いのか、という取り組みは始めています。

AIを使った政策提言は市長に当選したらもちろん活用していきますし、外部の立場でも必ず進めてゆきたいと思っています。私が生まれ育った多摩市は、もともとニュータウンとして世界でも最先端の街でしたが、現在は高齢化が進み街に元気が無くなっています。AIを使った取り組みで、再び多摩を最先端の街にしたいと考えています。

-選挙ウォッチャー 宮原ジェフリー
「AIに市の仕事を任せる」ということに対しては、「しっかりと市政を行えるのか」といった懸念の声もあるのではないでしょうか?


-多摩市長候補 松田道人氏
AIは課題の解決策を考え出すことやデータの分析などは得意ですが、絶対にできないことが1つあります。それは責任を取ること。
AIが犯す間違いは読み込ませるデータや係数などを調整していけば良いのですが、市民に対して責任をとるという重大な役割は生身の人間としての私が担いますし、そもそもどんな多摩市を作りたいか、といったヴィジョンを提示して、AIに対してどんな仕事を任せるのか決定することは人間しかできません。AIにすべて任せるのではなく、補完的に活用していきます。


-選挙ウォッチャー 宮原ジェフリー
今回は市長選がはじまる4日前の立候補決定でしたが、そうしたギリギリのスケジュールの中でポスターの完成を間に合わせて、それが大きな話題を呼びました。この先選挙を戦う上で更なる戦略もあるのでしょうか?


-多摩市長候補 松田道人氏
実は投票日に向けて、掲示してあるポスターを全て貼り替えます。掲示板の私のポスターの位置が現職の隣だったことを利用したデザインになっています。自分の写真がポスターにないことへの苦言もありましたので、それにもお応えするかたちです。

新ポスター





多摩市長選には3名が立候補。投開票は15日



今回インタビューを行った松田氏の他に、今回の多摩市長選には現職で3期目の当選を目指す阿部裕行氏(62歳)高橋俊彦氏(79歳)が立候補しています。

現職の阿部裕行候補は2002年に民主党の推薦と社民党の支持を得て多摩市長選に初挑戦するも、市職員の渡辺幸子氏にダブルスコアの票差で落選。2006年の市長選には立候補せず、渡辺元市長が引退を表明した2010年の市長選で民主・共産・社民・生活者ネットの各党の推薦を受け、自民党推薦候補とみんなの党推薦候補を破り初当選しました。続く2014年の市長選挙では事実上の市議会「オール与党」体制で圧勝しました。

ちなみに、阿部氏の経歴に「多摩第二小学校PTA会長」とありますが、在任中、筆者が小学生として在籍しており、運動会のあいさつで全校児童に「エイエイオー」の掛け声を促していた様子が印象に残っています。

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もう一人の新人・高橋俊彦候補は79歳で3名の候補者の中では最年長です。富士通を定年退職後に東京都立大学(現首都大学東京)大学院にて博士号を取得した、という異色の経歴の持ち主です。専門分野である都市科学の知見を活かしたまちづくりに関する政策を掲げています。

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3名による選挙戦となった多摩市長選。どの候補者が当選するのか、そして前回34%だった投票率が向上するのかという点も、注目です。
宮原ジェフリー

宮原ジェフリー

選挙ウォッチャー、キュレーター(現代美術)。 1983年東京都出身。中学生時代から衆参の選挙の度に全選挙区の当落予想を続ける。ポスターデザイン、インディーズ候補、政見放送、選挙公報、街頭演説など選挙に関わること一切が関心領域。

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