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【イタリア総選挙】イタリアまで反EUの可能性。注目点は「ポピュリズム」

2018/3/3

齋藤 貴

齋藤 貴

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3月4日にイタリアで総選挙が行われます。ヨーロッパ各国で極右あるいはポピュリズムといった反体制的な政党が躍進していますが、イタリアも例外ではありません

現在、支持率ではポピュリズム政党と呼ばれる「5つ星運動」が支持率トップを走っており、このままイタリアでポピュリズムが躍進するかどうかに世界から大きな注目が集まっています。

EU各国にとっては、イタリアが財政再建を達成できるかは大きな関心事です。今回の記事では、総選挙の注目ポイントを国際情勢とともに紹介します。
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EUからの財政再建要求と、ポピュリズム政党の躍進

イタリアでポピュリズムが台頭するきっかけとして指摘されているのが、EUの財政再建の要求への反発です。

2009年のギリシャの政権交代を機に、同国の財政赤字が公表数字よりも大幅に深刻なものであることが明らかになり、債務問題が国際的なスキャンダルとして噴出しました。これが飛び火する形でイタリアの財政赤字も問題視され、EUはイタリアに対しても財政再建の要求を突きつけました。財政再建では特に緊縮、すなわち財政支出の削減が要請され、公的サービスの削減が実施されました。これに反発して台頭したのが5つ星運動でした。

5つ星運動はその後、反EU、反緊縮、反既成政治などを掲げ躍進を続けます。2013年総選挙では民主党に次ぐ2位につけ、2016年には、首都ローマ市長選で候補者を当選させることに成功しました。2017年には支持率においてトップに躍り出ます。

ポピュリズムを押さえ込む選挙制度改革

5つ星運動の躍進に危機感を強めたのが、レンツィ前首相率いる中道左派・民主党やベルルスコーニ元首相率いる中道右派・フォルツァ・イタリアなどの既成政党でした。

2017年10月には超党派で「5つ星運動」の台頭を防ぐことを目的とした選挙制度の改革が行われました。それまでの選挙制度では単独政権が比較的容易でしたが、改革によって単独政権が難しくなりました。この改革によって、反既成政治をかかげ連立政権を拒否する5つ星運動による単独内閣は事実上不可能になりました。いわば、既成政党がポピュリズムを封じ込めた形になったのです。

ポピュリズム政党の「既成政党化」と、既成政党の「ポピュリズム化」

上述のように昨年までは「ポピュリズムvs既成政治」がクローズアップされてきました。しかし、この枠組みは年末以降変わりつつあります。

その大きな要因は、EUにおける緊縮政策を見直す声の高まりと選挙制度改革、そして5つ星運動の代表にディ・マイオ氏が就任したことの3つです。

EUはギリシャの債務危機以降、イタリアなど財政赤字国に対して、緊縮政策、すなわち財政支出の削減を求めてきました。しかし、その後イタリアやスペインなどにおいて反緊縮を訴える政党が躍進したことから、EU内でも緊縮政策推進に懐疑的な声が出始めたのです。

さらに、先述の選挙制度改革によって、政権入りするには連立を組むことが必須になりました。反緊縮、反連立政権を訴えてきた5つ星運動からすれば、必ずしもEU離脱や連立拒否といった従来の主張に拘泥する必要はなくなり始めたわけです。

こうした状況の中、昨年12月に行われたインタビューでは、5つ星運動の代表のマイオ氏は「これまでの反EUの姿勢を改め、EUの枠組みの中で、貧困や不平等といった問題に対して協調して対処していく」ことを訴えました。また、連立についても政策合意の可能性を示唆しています。このように、5つ星運動はその政策において既成政党に寄せてきているのです。

また、既成政党の側では与党・民主党が大きく支持率を落としている一方で、ベルルスコーニ元首相率いる中道右派連合が台頭しています。もともと中道右派連合に属する北部連合が強硬に反移民的な主張をしてきましたが、今年の2月3日に起きたマチェラータで発生した地元の極右系住民による移民銃撃事件の後、中道右派連合も反移民的な主張を一層強めました。反移民の主張については、5つ星運動以上に強硬なものとなっています。この点については、より穏健な主張を展開する与党・民主党との差が大きくなっています。こうして、中道右派連合はその政策をポピュリズム的なものへと変化させているのです。

ポピュリズム政党は政権入りするのか?

ポピュリズム政党・既成政党双方が昨年末以降、大きく政策を変化させています。
選挙戦の際にも「ポピュリズムvs既成政党」という図式から、「5つ星運動vs中道右派連合」という図式に変化していると言ってよいでしょう。そして、ポピュリズム路線見直しの結果、5つ星運動が政権入りする可能性も出てきています。
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ペンネーム。23歳大学生。大学では政治学を専攻。テレビドラマ『相棒』が大好きです。

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