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【イタリア総選挙】3つの政党が牽制し合うイタリア政党三国志。3分でわかる3つの政党の動き

2018/3/2

齋藤 貴

齋藤 貴

3月4日にイタリアで総選挙が行われます。ヨーロッパ各国で極右あるいはポピュリズムといった反体制的な政党が躍進していますが、イタリアも例外ではありません

現在支持率では単独で見ると人気コメディアンのベッペ・グリッロ氏らが結党したポピュリズム政党と呼ばれる「5つ星運動」が支持率トップを走っていますが、支持率の頭打ちが鮮明になっています。

一方で、政党連合を含めれば、ベルルスコーニ元首相率いる「中道右派連合」が支持率を伸ばすことに成功しています。現与党である民主党は単独で見ても支持率を低下させ続けているほか、政党連合の形成にも難航しており、打開の機運を見いだせていません。このように選挙情勢は混迷を極めています。

今回のこの記事では主要政党を紹介します。
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支持率トップも2つの厳しい課題を抱えている「五つ星運動」

五つ星運動は人気コメディアンのベッペ・グリッロ氏と企業家で政治運動家のジャンロベルト・カザレッジョ氏によって結党された政党で、政府への不満を訴えかける姿勢からポピュリズム政党と呼ばれています。

主張の中では特に、イタリアに財政健全化を求めるEUに懐疑的な姿勢を示していることで知られ、EU各国や既成政党から厳しい批判を受けています。一方で、「誠実、公正」を掲げ既成政治の「拝金主義と二枚舌」を批判してきたことは有権者からの支持を集めることに成功しています。特に、2月の支持率調査では約28%と現在トップを走っています。

しかし、大きく2つ課題を抱えています。第一に、選挙制度が五つ星運動に不利なものに改革されたことです。
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その結果、単独過半数を得るのが難しくなり、既成政党との連立を拒否してきた「5つ星運動」は戦略の変更を迫られてきました。そして、制度改革の影響を受け、政策にブレが生じています。もともと、5つ星運動は、EUが求めた財政支出削減を主体とする財政再建への反発から躍進しました。しかし、今年の1月に発表した選挙公約では、重要な公約の1つであったユーロ圏離脱を問う国民投票の実施を入れないなど、明らかに財政再建、親EUを支持する既成政党、その支持者に配慮したものに転換しました。

第二に、党の看板である「誠実、公正」に陰りが見え始めました。2月に入ってから、給料の半分を中小企業支援に充てるとする公約を複数の党幹部が果たしていなかったという疑惑が浮上したのです。この公約は、中小企業支援のため、五つ星運動が長年、重要な公約として掲げてきたもので、いわば看板公約の1つです。この疑惑に党首のディ・マイオ氏は「腐ったリンゴを見つけ出し、追放する」と厳しい対応で臨むことを表明しました。

「五つ星運動」は支持率ではトップとなっているものの、厳しい課題も抱えている状況です。

復活の兆し?ベルルスコーニ元首相率いる「中道右派連合」

かつて首相を務めたベルルスコーニ氏率いるフォルツァ・イタリアを中心とした政党連合です。ベルルスコーニ氏が首相を辞めてから長らく支持率を低迷させていましたが、支持率トップを競う5つ星運動と与党国民民主党が停滞する中、2017年秋以降に支持率を伸ばしています

昨年11月に行われたシチリア州知事選挙では中道右派連合の候補者が、初の州知事輩出を目指した5つ星運動の候補者を破り当選を果たしました。その結果、所属政党間の政策対立が残っているものの、中道右派連合は5つ星運動に対抗する唯一の勢力として地位を固めてきています。

2018年に入ってからも支持を伸ばしています。その契機となったのは、2月3日に中部マチェラータで発生した地元の極右系住民による移民銃撃事件でした。元々イタリアはアフリカに近いことから多くの移民を集めてきましたが、今回の事件によって移民問題が大きな争点として浮上しました。2月13日に行われた討論会でも、中道右派連合に属し反移民の主張を展開してきた北部連合リーダーのサルヴィーニ氏が厳しい不法移民批判を展開したほか、最近ではベルルスコーニ氏も不法移民に対する厳しい姿勢を打ち出し、支持を集めています。

移民受け入れ議論に注目が集まる「中道左派連合」

レンツィ前首相が率いる民主党を中心とした政党連合です。支持率の低下から民主党以外の左派勢力との分裂騒動が勃発し、昨年11月のシチリア州知事選挙では中道右派連合や5つ星運動に惨敗するなど、レンツィ氏の求心力は大きく低下しています。

中道右派連合や5つ星運動との政策上の大きな違いは移民問題への態度です。民主党政権は移民の流入増加に対して、移民流入を支援するNGOと協調した移民流入対策を行ってきました。しかし、マチェラータの事件が示しているように、より過激な反移民の主張が台頭してきており、厳しい状況を迎えています。先述の討論会では中道左派連合に属する下院議長ボルドリーニ氏は反移民の主張を展開したサルヴィーニ氏に対して抑制的な議論を展開しました。この姿勢が評価されるかが1つのカギとなるでしょう。

総選挙後も政局は混乱か

昨年中は「5つ星運動が躍進するか、それとも既成政党がそれを防ぐか」という点ばかりが話題になってきました。しかし、今年に入ってから5つ星運動が従来の反既成政治、反財政支出削減、反EUの姿勢から転換を模索し、既成政党との政策合意の可能性を示唆したほか、中道右派連合が台頭し移民問題では5つ星運動より強硬な姿勢を示すなど、選挙後も政治は混迷を深めることが予想されます。

また、2月16日に行われた最後の世論調査では、投票先を決めていない有権者は45%にも上りました。そのため、選挙結果がどうなるかについても流動的な部分が大きいと言えるでしょう。

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齋藤 貴

齋藤 貴

ペンネーム。23歳大学生。大学では政治学を専攻。テレビドラマ『相棒』が大好きです。

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