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【選挙プランナー対談】選挙戦略のPDCAはできてますか?“選挙は科学で勝つ時代”



選挙ドットコム編集部
選挙ドットコム編集部

2019年4月に予定されている統一地方選挙。「これまで通りやっていれば大丈夫…」なんて思っていたらライバルに思わぬ苦杯を喫するかもしれません。

政治活動や選挙活動は、感覚値で判断していた時代からデータを駆使した「科学で勝つ」時代へ大きく変わりつつあります。これまで経験に基づいた肌感覚で行ってきた戦略策定も、活動を定量化した科学的分析に基づいて行える環境が整いつつあります。
そこで今回は松田馨氏(株式会社ダイアログ)と 大濱﨑卓真氏(ジャッグジャパン株式会社)の二人の選挙プランナーが、「データを活用した選挙戦略」について対談を行いました。コーディネーターは選挙ドットコム編集長の増沢諒が務めます。





きっかけは効率化



-選挙ドットコム編集長 増沢 諒(以下、 増沢)
今回は、選挙プランナーのお二人をお招きしました。松田馨さんは現在37歳で選挙プランナー歴は約12年、大濱﨑卓真さんは現在30歳の若さで選挙プランナー歴は約10年になります。
お二人ともアナログ中心の選挙業界の中では若いプランナーとしてデータを駆使した選挙戦略にこだわり続けてこられた印象を持っています。今日はよろしくお願いします。


-選挙プランナー / ダイアログ株式会社 代表取締役 松田馨氏(以下、松田氏)
よろしくお願いします。私は28歳の時に「日本最年少の選挙プランナー」とマスコミに取り上げていただいたのですが、大濱﨑さんも若い頃からこの仕事をされていますね。
私たちの世代から見ると選挙に携わる方たちにもITをもっと利用して選挙のやり方を変えていってほしいと思いますよね。御社が開発された政治活動用支援アプリ「ミエセン」は、選挙や政治活動にうってつけの製品で、私のクライアントも活用しています。
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(選挙プランナー / ダイアログ株式会社 代表取締役 松田馨氏)


松田馨(まつだ・かおる)
選挙プランナー/株式会社ダイアログ代表取締役
2006年以降、地方選挙から国政選挙まで100を超える選挙に携わり、新人が現職を破る「ジャイアントキリング」の実績多数。新聞や週刊誌上において国政選挙の当落予想を担当するなど、選挙区分析にも定評がある。著書に『残念な政治家を選ばない技術 「選挙リテラシー」入門』(光文社新書)



-選挙プランナー / ジャッグジャパン株式会社 代表取締役 大濱﨑卓真氏(以下、大濱﨑氏)
ありがとうございます。私が選挙に関わるようになって最初に驚いたのは「選挙活動の現場がアナログ」ということでした。スケジュール管理をはじめ名簿管理や選挙はがきの宛名書きなど、すべてが手作業で行われており、効率の悪さに驚きました
後援会の名簿も紙のままという事務所はいまだに珍しくありません。選挙はがきの宛名をひたすら手書きするといった、単純にデジタル化するだけで効率化がはかれる作業もかなり残っています。
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(選挙プランナー / ジャッグジャパン株式会社 代表取締役 大濱﨑卓真氏)


大濱﨑 卓真(おおはまざき・たくま)
選挙プランナー/ジャッグジャパン株式会社 代表取締役社長
青山学院大学中退後、国会議員秘書などを経て、2010年に独立。主に後援会活動などの定量化分析や、GIS(地理情報システム)を利用した可視化分析、行動経済学的アプローチによる投票行動の予測と戦略立案を専門とする。



-松田氏
今でもメールよりFAXの方が連絡手段としてよく使われていたり、選挙の現場はITの活用が大きく遅れていますよね。アナログの良さ、紙の便利さや汎用性の高さもあるのですが、効率化できる余地は大きいと感じています。


-大濱﨑氏
事務作業については効率化を図るためにできる限りITを利用して、効率化したことで作れた時間で本来の政治活動に力をいれるべきですよね。





定量化してPDCAサイクルを回すことがカギ



-増沢
お二人とも選挙戦略を立てる際には「データに基づいた論理的な戦略」を大切にしていると伺っています。


-松田氏
私たち選挙プランナーの仕事は「派手な空中戦ばかりで、地上戦を軽視している」といった誤解を抱かれることもあります。確かに公選法に精通したプロとして、その地域ではこれまで活用されていなかったようなPRグッズを使うこともありますが、もちろんこうした空中戦もデータの活用や客観的な分析に基づいてやっています。例えば、エリアやターゲットに合わせてビラのデザインや内容を変える、SNSの利用者層を考えてメッセージを変えるといった工夫です。


-大濱﨑氏
空中戦は比較的、定量的な戦略は立てやすいのですが地上戦では難しい面もありました。例えば「1日100件挨拶に行く」という計画をたててそれを実行しても、挨拶した時の相手の反応などの肌感覚を含めたすべてを定量化することは現実的には難しかったわけです。

選挙も政治活動もいかにPDCA(Plan-Do-Check-Act)サイクルを多く回していくかが、勝つための機動的な戦略のカギです。これまでは特に地上戦における”Check”ができませんでした。チェックするための定量的なデータがほとんどなかったからです。


-松田氏
私は選挙戦略を立てる際には、「情勢調査」を複数回行うことにしています。その政治家が現状で、「どの世代に・どの地域で・どの程度認知されているのか、また支持されているのか」などを調査し、それを基に「この年代・地域をターゲットにして政策やチラシを作ろう」と考えます。実際に活動した後に同じ調査を行い、支持が伸びているか確認します。まさにこれがPDCAですよね。地上戦の活動のなかで、候補者やその身近の方など、一部の人しか持っていなかった感覚的な知識を定量化してさらに視覚化することで、もっと効果的な選挙活動ができますよね。


-大濱﨑氏
まったくその通りですね。私たちがミエセンを開発した目的もそこにあります。地上戦の活動の「定量化」と「可視化」がとても重要です。それがなければPDCAサイクルが回らないからです。有権者のお宅にご挨拶に行ったときに、その場でそのお宅での印象を、スマートフォンに簡単に数タップで入力できるようになっています。そしてリアルタイムで入力した情報はスマホやPCの地図上に表示することができます。
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-松田氏
実際に活動している最中もリアルタイムで情報を更新することで、活動が可視化できるのは重要ですね。選挙期間でよくあるのは、日中はずっと選挙区を周り夜に事務所に戻ってから「◯◯地域は反響が良かった」など感想を共有して翌日のプランを立てるのですが、単に感想を共有するのではなく、実際に活動しているときにスマホで入力し、事務所ではリアルタイムにその状況が地図上に見える化されれば機動的に有効な選挙戦略が立てられそうです。


-大濱﨑氏
活動をデータ化し定量化するために「普段から使いこなす」ことも重要で、そのためにスマホで使えることが必須ですし、使いやすさは大事です。よく、選挙の直前になって急いで名簿をデータ化したりする候補者がいますが、それでは間に合いません。日々の政治活動で使っていって「気がつくと情報がたくさん集まっている」という形にしたかった。そして本番の選挙期間には「科学的に戦略を立てられるための武器」がいつのまにか出来上がっているというのが理想です。


-増沢
「これだけ活動をした」という情報が可視化されて共有されたり、地図上で「強い地域」「弱い地域」が一目でわかると、候補者やスタッフのモチベーションアップにもつながりそうですね。


-大濱﨑氏
よく選挙事務所では、三国志みたいに地図を広げて「どこの地区を攻めていこう」といった会議をやって皆さん盛り上がっていますよね。それがこれからは「信長の野望」みたいにディスプレイ上の地図がどんどん自動的に変わっていくわけですから相当盛り上がりますよ。





政治家にもCRM(顧客情報管理)が必要



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-大濱﨑氏
よく「政治の世界の業務のIT化は、企業に比べて10年遅い」と言われています。特に遅れているのは顧客、つまり有権者とのリレーションの定量化ではないでしょうか。政治家も、企業では当たり前のCRMシステムを持たなければなりません。CRMシステムを確立することでどんどんデータが積み上がっていきます。集積されたデータで事務所内でナレッジやノウハウの共有ができていくはずです。政治家のCRMを意図したアプリはいまミエセンしかないんじゃないかと自負してます。


-松田氏
特に選挙期間になると、毎日やることがたくさんあって、みんな忙殺されてしまうんですよね。とにかく「駅に立て」「握手をしろ」「挨拶回りに行け」と言われてしまう。実際のその活動は候補者本人が感覚で把握しているか、紙でしか記録されていないので共有されにくいし、次に活かされません


-大濱﨑氏
企業のCRMシステムであれば帳票がすぐに出せたり、外出先で優良顧客の電話番号をすぐに調べられるように、「ミエセン」でも名簿やラベルなどの打ち出しができたり、外出先でもオンラインの地図で後援会入会者がわかるようにしています。今後もCRMを意識した様々な機能追加をしてバージョンアップしていく予定です。
(政治活動用名簿アプリ「ミエセン」)

(政治活動用名簿アプリ「ミエセン」)







政治や選挙が変われば、有権者の政治関心度も上がる



-増沢
PCやネットに慣れている20代〜40代の政治家が増え、ネット選挙の解禁もあって選挙を取り巻く状況は少しずつ変化していると思います。おかげさまで、選挙ドットコムへのアクセスも年々増えています。一方で選挙ドットコムが毎週の選挙結果を各地の選挙管理委員会に確認する際には未だにFAXで届くことも多く、行政分野でのIT活用の遅れも課題だなと感じます。


-松田氏
選挙公報も未だに写真製版だったり、立候補の届出書類も電子化がされていなかったりと、非効率な部分が多く残っていますね。このあたりも改善を働きかけていきたい点です。

加えて、選挙プランナーをしていて課題だと思うのは、年々投票率が下がり続けていることです。どうすれば有権者の方に政治に関心を持って投票所へ足を運んでもらえるのか。今日お話したような定量化分析に基づくアプローチの最適化が広がっていくことで、選挙活動全体のレベルを底上げしていきたいと思います。


-大濱﨑氏
政治家ひとりひとりの事務作業が効率化されることで、そのぶん有権者と直接会話する接点が増えたり、政策を練り上げる時間が増えることが、政治関心度向上に繋がるといいですね。


-増沢
お二人のお話を伺っていると、日本の選挙にもまだまだ進化する余地が残されているように感じました。今日はお忙しい中、ありがとうございました。
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