国政選挙で毎回、恒例のようになっているのが、投票を呼びかける芸能人のイメージキャラクターです。総務省がその時代の「旬な」芸能人をポスターやイベントに起用して、投票率の向上を図ろうというもの。その人が採用された背景などを見ていくと、当時の選挙の持つ意味や時代性が反映されているようです。次の選挙ではだれが登場するのか、予想できるかも?
それでは過去にイメージキャラクターに登場した芸能人と、選挙のキャッチコピーを振り返ってみましょう。
(総務省より)
まだ記憶に新しい昨年10月に行われた衆議院選挙では、22歳の川栄李奈(かわえい りな)さんがイメージキャラクターを努めました。選挙権が18歳以上に引き下げられてから初の衆議院選挙ということで、元AKB48のメンバーで、演技派女優として注目を集めている彼女が若者代表として選ばれました。キャッチコピーは「日本の明日を、私たちで決めよう。」でした。
川栄李奈さんは、AKB48時代は「おバカキャラ」で有名だったそうですが、NHKの連続テレビ小説『とと姉ちゃん』や、綾野剛さん主演のドラマ『フランケンシュタインの恋』等での演技力が高い評価を得ました。2018年には日本酒造りをテーマにした『恋のしずく』で映画初主演が決まっています。
(総務省より)
2016年の参議院選挙は、選挙権の年齢が20歳以上から18歳以上に引き下げられての初めての国政選挙でした。そこでイメージキャラクターとして、18歳の広瀬すずさんが起用されました。
同い年の新有権者として、高校生や大学生などの新しく有権者となった人たちに、選挙への親近感を感じてもらおうというのが総務省の狙いだったそうです。キャッチコピーは「日本の将来を決めに行こう。」でした。
結果として投票率は54.70%と、前回(2013年)の参議院選挙から2ポイント余り上がりましたが、新有権者の18歳と19歳を合わせた投票率は45.45%と平均を下回りました。
雑誌『Seventeen』のモデルでデビューして数々のCMに出演し、女優への道を歩んだ広瀬すずさん。2016年には、日本アカデミー賞の優秀主演女優賞と優秀助演女優賞をダブル受賞して、本格派女優として認められています。
今年2018年には、坂元裕二さん脚本の連続ドラマ『anone』に主演、スケボーを乗り回す陰のある少女を演じて注目を集めています。2019年春のNHK連続テレビ小説『夏空 -なつぞら-』のヒロインにも決定!
(総務省より)
毎回下がりるづける投票率の向上に向け、2014年の衆議院選挙では女優の仲間由紀恵さんがイメージキャラクターに起用されました。SNSをはじめとして若者を選挙に呼び込もうと、ネット動画やオンライン記事広告も活用されます。残念ながら、結果は52.66%と戦後最低記録を更新してしまいました。キャッチコピーは「選挙の主役は、私たち。」でした。
ドラマ『TRICK』や『ごくせん』でブレイクした仲間由紀恵さん。国民的な認知度は抜群ではあったものの、投票率の救世主にはなれませんでした。
「選挙啓発イメージキャラクター」は、総務省のほかにも、各都道府県の選挙管理委員会が独自に有名人を起用してポスターにすることもあります。2013年の参議院選挙では、神奈川県選挙管理委員会が、啓発ポスターに女優の武井咲さんを起用しています。
(神奈川県庁より)
また、インターネット選挙運動が解禁された2013年の参議院選挙では、総務省が中川翔子さんを起用して、ネット選挙運動について動画などを使って啓発を行いました。
今の時代の選挙イメージキャラクターには、平均投票率を下回る若年層の投票率アップに貢献することが期待されています。そのため、若者に知名度と人気のある芸能人が採用される傾向があるようです。
ずっと続いている20代・30代の深刻な低投票率と、18歳に比べて19歳の低さが問題となっている10代の投票率。芸能人の選挙イメージキャラクターだけで、この状況を変えるのは難しいかも?
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