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市長、議員みんなクビ!市長を辞職に追い込める「不信任決議案」とは【太宰府市】

2017/12/18

宮原ジェフリー

宮原ジェフリー

福岡県の太宰府市議会でとても珍しい事態が起こっています。

(1)市長の不信任決議案の可決
(2)不信任決議を受けての市議会の解散
(3)市議会議員選挙の実施
(4)市議選の結果、再度の不信任案可決による市長の失職
(5)市長選の実施

となり、短期間で市議選・市長選が行われることとなりました。

いったい太宰府市で何が起きているでしょうか。太宰府で今起きていることを見ながら、市長の「不信任決議案」について見てみましょう。

僅差で当選した芦刈市長とその公約

今回、不信任決議を解決された芦刈茂(あしかりしげる)氏が政治家としての活動をはじめたのは、2007年の太宰府市議会議員選挙からです。2007年の太宰府市議選では、定数21のところ22人が立候補して、芦刈氏は2票差で22番目となり惜しくも落選となりました。
4年後の2011年には前回の倍近い得票を得て初当選を果たします。4年後の2015年には市議選ではなく市長選に立候補し、3期目をめざした現職の井上保広(いのうえ やすひろ)氏に390票という僅差で辛勝しました。

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市長選では井上前市長が推進した総合体育館の建設を無駄遣いと指摘。その他、中学校完全給食の実現や市長報酬の削減を公約としていました。しかし、芦刈市長は公約撤回を含む様々な言動が問題視されるに至ります。

芦刈市長の度重なる言動が問題視。不審を募らせる市議会

今年5月には、総合体育館入札に関する市民団体の住民監査請求に対して、市が入札手続を正当化するため、国の通知を改ざんした答弁書を監査委員に提出していたことが発覚。地元新聞紙でも大きく報道されました。それに対して芦刈市長は調査のための第三者委員会の設置を表明しますが、後日「監査委員としては答弁書の中の加筆文によって指針の内容が歪曲されたものではないと判断しています」として第三者委員会の設置を撤回。市議会で追及されました。

また、6月には太宰府市の財政状況では実現は難しいとして、公約としていた中学校完全給食を撤回。現在実施している弁当持参、学校の売店でパンかおにぎり購入、委託業者が届ける一食300円のランチサービスの選択性を継続する方針を発表し、これも市議会の反発を受けます。

さらに芦刈市長への不信感が決定的になったのが、今年8月の副市長の解職と教育長の退任宣告です。芦刈市長就任後、太宰府市副市長は市議会の同意が得られる人選に苦戦し、3ヶ月の空席の末、市の元建設経済部長である富田譲氏が勤めていました。芦刈市長は富田氏の解任について、市長・副市長の間でコミュニケーションが取れなかったことや、中学校給食は費用の面で難しいと突然言い出したことなどを理由にあげ、改革を進めるための策だとしましたが、「責任転嫁だ」としてさらなる議会の反発を招きます。

教育長については芦刈市長が給食の実現ができなかった責任をとって辞職するよう要求したと報道されました。教育長は辞表を提出しましたが、市長は一転して教育長の辞職を拒否。中学校給食断念についての説明責任を果たすよう求めました。

オール野党と化した市議会との決定的な対立

その他、市長給料削減案は算定根拠が不明として否決。複数の市の機構改革案も「意図不明」として市議会で否決されており、完全にリーダーシップを失った芦刈市長は6月議会で問責決議案が全会一致で可決。9月議会で辞職勧告決議案が賛成16、反対1で可決されました。ちなみに唯一反対に回った笠利毅市議も「市長の資質問題などに無駄な税金を使うヒマはない」として、市長を応援する立場ではないと表明しています。

地方議会の首長の辞職勧告決議については法的拘束力がないため、可決されても辞職をする必要はなく、芦刈氏は市長を続投するとしました。市長と議会の溝はさらに深まり、10月議会ではついに全会一致で不信任決議案が可決されました。

辞職勧告と異なり、不信任決議案が可決されると地方自治法に基づき、10日以内に議会を解散できますが、解散しなければ10日を過ぎた時点で自動的に失職する(=市長の座を失う)こととなります。つまり、不信任案可決を受けた首長が取ることができる選択肢は

(1)議会の解散
(2)自動失職
(3)辞職

の3つに限られます。

芦刈市長は不信任案可決の3日後、市議会解散を選択しました。これに伴い、市議選が12月3日投開票で行われましたが、芦刈市長には自身を応援する立場の候補者を揃えることができず、当選した18人全員が市長に反対する立場

新しい議会で再び不信任決議案が可決されると、同じく地方自治法の規定により市長は失職を余儀なくされます。

12月12日に開かれる定例会議では全会一致で不信任決議案は可決され、芦刈市長は失職。来年1月21日告示、28日投開票の見込みとなりました。この市長選挙に芦刈氏は立候補する方針を示しており、太宰府市の有権者がどのような選択をするか、目を離せない状況になっています。

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宮原ジェフリー

宮原ジェフリー

選挙ライター、キュレーター(現代美術)。 1983年東京都出身。中学生時代から衆参の選挙の度に全選挙区の当落予想を続ける。ポスターデザイン、インディーズ候補、政見放送、選挙公報、街頭演説など選挙に関わること一切が関心領域。

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