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死票率ランキング。神奈川4区の皆さん!6割の票が「無駄」になりました



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「小選挙区制」は衆議院選で採用されている制度です。これは二大政党制を作りやすいと言われている一方で、死票(投票したのに、その候補者が落選してしまい、無駄になってしまう票のこと)が多く、得票率と議席配分がかい離しやすいというデメリットが存在し、これらについては、たびたび議論になります。

今回は小選挙区制のメリット、デメリット、そして2017年の衆議院選の死票率、民意を適切に反映するためにはどのような方法が考えられるかという点について紹介します。





小選挙区制のメリットとデメリット



小選挙区制は、その選挙区で1位の得票者1人だけが当選するというシステムです。衆議院選ではこの小選挙区制と比例代表制の2つをそれぞれ並立して別に実施していますが、小選挙区289に対し、比例区は176と、小選挙区を重視した形に設定されています。

小選挙区制のメリットとしては、大政党に有利であり、二大政党制が現れやすい傾向があること、同政党の候補者間で争いが無く、政党間の戦いになりやすいことなどが挙げられます。

一方でデメリットとしては、1位以外の票は全て死票になるため、死票が非常に多くなることが挙げられます。このことは有権者の意見をうまく反映させるという観点からは多数のデメリットを生んでしまっています。

つまり、小規模な団体は当選の見込みが基本的に無いため、このような意見を持つ人たちが代表を送り込める可能性がありません。また、2位以下の票は全て死票になるため、2位以下に投票した有権者の意見もうまく反映できない危険性を秘めています。特に50%以上の票を獲得しなくても、1位になれば当選できるため、選挙区内の有権者の半数以上が反対している案件でも、その選挙区はその案件に賛成という事が起きる可能性が考えられます。この他、全選挙区で総合した場合の得票率と実際の議会の議席配分が大きくかい離しやすいことも挙げられます。





今回の死票率の記録



本記事では全有効投票数に占める死票の割合を死票率と呼ぶことにします。

今回、2017年衆議院選の289ある全小選挙区の死票率を算出しました。図は横軸に死票率の範囲(10-70%の範囲で5%ずつに分けています)、縦軸にその指定した範囲に入る選挙区数を示したものです。これを見てみると、死票率が45%超50%以下の選挙区がもっとも多く、次に多いのが死票率が50%超60%以下の選挙区になり、この2つの範囲にある選挙区は47.4%と半分弱あることが分かりました。

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また、今回、最も死票率の高い選挙区は神奈川4区で、その死票率は65.2%にも達していました。つまり、神奈川4区で投票された65.2%の票は「無駄」になってしまったということです。
※なお、小選挙区制だけで見ると死票となってしまいますが、これを緩和する目的で並立されている比例代表では55,700を獲得した2位の候補者が比例復活当選をしており、「小選挙区」だけでは「無駄な死票」と言えますが、衆議院選挙全体で見た場合には有効な票であるとも言えます。

逆に最も死票率が低い選挙区は、宮城6区で、14.3%になっています(表に死票率のトップ5とワースト5を示しました)。また、全選挙区を合計した死票率は48.1%であり、ほぼ半数が死票になっていることが分かります。

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そして、有効投票の半数以上が当選者以外に投票されている死票率が50%以上の選挙区は120もあり、これは選挙区の4割以上もあります。基本的に死票率が高い選挙区は都市部に集中しており、特定の候補者や党派の強力な地盤が存在せず、候補者が乱立している選挙区です。例えば、東京では25選挙区中19選挙区で死票率が50%以上ありますし、大阪では19選挙区中15選挙区の死票率が50%以上になっています。逆に死票率が低いのは、自民党の地盤が強力であるような地方の選挙区になっています。





死票率を下げるためには



基本的にはできる限り、民意が議会、つまり議席数にうまく反映された方が望ましいと考えられています。そのため、死票率が高いのは望ましい状態ではありません。それでは、解決策にはどのようなものがあるでしょうか。

1つは小選挙区制を別の選挙制度に変える、あるいは小選挙区制の比率を弱めることです。例えば、衆議院選でも並立して導入されている比例代表制は死票を少なくできるというメリットがあります。今回の衆議院選では、政治団体が多く届出をした東京ブロックにおいても、1議席も獲得できなかった政治団体に投票された票の割合、つまり死票率は7.3%しかありませんでした。また、参議院選の一部選挙区のように1選挙区の定数が複数ある場合も死票率は基本的には低くなります。

また、小選挙区制を維持しつつ、少数派の意見をできる限り反映できるようなルールに改正する方法もあります。例えば、フランス下院では一定の条件下では決選投票をすることになっています。また、オーストラリア下院では1人に投票するのではなく、当選してほしい順番に候補者に順位をつけて投票し、下位の候補者に投票した人の意思ができる限り、投票結果に反映できるようなシステムになっています。

ただ、各選挙制度ともにメリット、デメリットが存在するため、どの選挙制度が正しいとは断定できません。適切な選挙制度については、今の日本にとって、適切な民主主義を達成するためには、どのようにするべきかという点での慎重で十分な議論が必要になってきます。
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参議院選挙には立候補できる年齢。個性あふれる候補者が多数出た1999年の東京都知事選に衝撃を受けてインディーズ候補(いわゆる泡沫候補)にはまる。インディーズ候補以外にもちょっと 変わった選挙・政治ネタに興味あり。

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