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【選挙アナリストが分析する都議選】知事の都政運営はどのように評価されたのか



平木 雅己
平木 雅己

東京都議会議員選挙で行われた各報道機関の出口調査結果を分析しながら、「都民ファーストの会が圧勝し、自民党が大惨敗」を喫した原因を探っていく連載の3回目です。
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東京都議会議員選挙は、都民ファーストの会の躍進と自民党の歴史的な大敗という結果で終わりました。自民党の大敗は「予想外だった」との見方が多いようですが、果たして本当にそうなのでしょうか?

勝ちに不思議の勝ちはあるものの、負けに不思議の負けはなし」です。

報道各社が投票日に行った出口調査の結果を分析すると、そこには「都民ファーストの会圧勝と自民党大敗」の「根拠」となる数値が見えてきます

3回目となる今回は、小池知事が告示直前の6月20日、緊急の記者会見を行い、市場移転問題について「豊洲に移転したうえで築地を再整備する」方針を発表し、選挙戦に臨んだことを受け、市場移転方針をはじめ知事の都政運営や政策課題について、有権者はどのように評価して投票したのか、を検証します。
<要約>
〇知事の市場案を「評価する」は6割前後

〇都政運営 「評価する」「支持する」77%。このうち、6割近くが「都民ファーストの会」「公明党」へ投票

〇「福祉」「景気・雇用」政策を重視し、新しい都議に取り組んで欲しい

 






小池市場案の評価



豊洲市場への移転をめぐり、小池知事が示した築地市場を豊洲に移転したうえで築地にも市場機能を持たせる案についてどう思うか聞いたところ、「評価する」と答えた人が64%、「評価しない」と答えた人が36%でした。

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「評価する」と答えた人がどの政党の候補者に投票したかを見ると、都民ファーストの会が47%、自民党が15%、公明党と共産党がそれぞれ11%などとなっています。

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一方、「評価しない」と答えた人がどの政党の候補者に投票したかを見ると、自民党が39%、共産党が19%、都民ファーストの会が16%、民進党が8%などとなっています。

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8社合同で行われた調査結果では、知事が示した基本方針について訊ねたところ 「評価する」と答えた人が57.2%、「評価しない」は31.5%でした。

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「評価する」と答えた人の46%は都民ファーストの会に投票し、次いで自民党14.8%、公明党11.5%、共産党10.8%となっています。

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一方、「評価しない」と答えた人は、自民党への投票が34.3%と最も多くなり、共産党へは22.3%となっています。

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以上のことから、知事が示した市場移転案については、6割前後の方が「評価」し、「評価する」と答えた人の半数近くが、都民ファーストの会の候補者に投票している一方、自民党へ投票した人の評価は分かれていることがわかりました。






都政運営の評価



NHK調査では、小池知事の都政運営をどう思うか尋ねたところ、「評価する」と答えた人が77%、「評価しない」と答えた人が23%でした。

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「評価する」と答えた人がどの政党の候補者に投票したかを見ると、都民ファーストの会が46%、自民党が15%、共産党が12%などとなっています。

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一方、「評価しない」と答えた人がどの政党の候補者に投票したかを見ると、自民党が49%、共産党が20%、民進党が9%などとなっています。

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朝日新聞の調査では、小池知事を「支持する」と答えた人は77%、「支持しない」と答えた人は20%でした。

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「支持する」と答えた人が、どの政党の候補者に投票したかをみてみますと、都民ファーストの会44%、公明党11%、自民党16%、共産党12%でした。

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「支持しない」と答えた人の投票先は、自民党が43%、共産党25%、民進党10%となっています。

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以上の結果から、「知事の都政運営を評価する」「支持する」と答えた層は、都民ファーストの会に「半数近く」(NHK調査46%、朝日調査44%)が投票し、公明党への投票分(朝日調査11%)を加えますと、「半数を超え」ました。

一方、「知事の都政運営を評価しない」「支持しない」という層の投票行動は、自民党、共産党、民進党に分かれ、自民党は、小池知事との対決姿勢を強めていたにもかかわらず、「知事の都政運営を評価しない」「支持しない」層を固めきることができなかったことが分かります。





投票の際、重視した政策



各社の出口調査では、今回の都議選で投票する際、どのような政策を最も重視したかを聞いています。

NHKの調査では、「教育・福祉政策」が最も多く29%、次いで、「景気・雇用対策」が27%、「築地・豊洲市場への対応」が12%、「議会改革」と「憲法改正への対応」がそれぞれ11%、「『加計学園』をめぐる問題」が6%、「五輪準備」が3%、「防災対策」が2%でした。

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読売新聞の調査では、「景気・雇用」が20%、「医療福祉」18%、「少子化対策」14%、「東京五輪への対応」11%となっています。

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8社共同調査では、選出される都議に最も取り組んでほしい政策について訊ねています。「医療・福祉」が29.5%と最も多く、次いで「都政改革」20.5%、「子育て」15.4%、「景気・雇用」11.9%、「東京五輪・パラリンピックの準備」5.6%、「市場移転問題」は4.5%でした。

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最も取り組んでほしい政策と投票先の関係を見てみると、「都政改革」については、都民ファーストの会の候補者に44.9%が投票したのに対して、自民党へは14.7%にとどまっています

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「子育て」を最重視する人の投票先は都民ファーストの会が37.3%と最も高くなりました。

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安倍内閣の閣僚や党幹部の失言やスキャンダル、加計学園問題への対応などが、選挙戦後半になり焦点となってしまった今回の都議選ですが、いずれの調査からも、有権者は「教育」「福祉」「医療」「景気・雇用」政策という「くらしに関わる政策」を重視し、引き続き、取り組んでほしいという結果が出ています。

投票率の上昇、さまざまなメディアを通しての情報発信など、今回の都議選はかつてない注目を集めました。注目を集めたからこそ、有権者は「厳しく都議会議員の活動」をチェックしていくことになります。

報道各社が実施する出口調査は、「有権者の投票行動を分析」するために行われます。当落を伝える開票速報だけで使用するのではなく、調査結果から読み取れる「有権者の意思」を、127人の新しい東京都民の代表には活かしていただき、「議員の条例提案力、政策立案力」を磨き、「新しい都政・都議会」に結びつけて欲しいと思います
<要約>
〇知事の市場案を「評価する」は6割前後

〇都政運営 「評価する」「支持する」77%。このうち、6割近くが「都民ファーストの会」「公明党」へ投票

〇「福祉」「景気・雇用」政策を重視し、新しい都議に取り組んで欲しい

 

参考 各報道機関が実施した出口調査の規模は以下の通りです。
NHK 536か所 3万600人から回答
朝日新聞 603地点 2万7777人から回答
読売新聞 約3万4000人から回答
毎日新聞、日本経済新聞、東京新聞、産経新聞、共同通信、TBS、フジテレビ、東京MXテレビ8社共同調査 504か所2万5425人回答
時事通信 10選挙区20か所 1283人回答

平木 雅己

平木 雅己

ライター、選挙アナリスト。 NHK社会部記者として、選挙報道事務局を長く勤め、「票読み」はじめ情勢分析や出口調査導入に尽力。小選挙区制度が導入され初めての衆議院議員選挙報道ではNHK会長賞を受賞。ゼネコン汚職、政治資金の不正など政治家が関わる多くの事件・疑惑も取材。 その後、連合事務局にスカウトされ、会長秘書(笹森清氏)を勤め選挙戦略の企画立案・候補者指導を担当、多くの議員の当選に尽力した。 政策担当秘書資格取得後、外務大臣政務官及び衆参国会議員秘書として、外交・安全保障、都市計画、防災、治安、雇用・消費者、地方自治、憲法などの委員会や本会議質問を作成、政策立案に携わる。

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