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フランスで大人気のマクロン大統領。人気だけでは進めないお国事情とは



齋藤 貴
齋藤 貴


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フランス政治では大統領はもちろん、議会が大事



5月に行われたフランス大統領選挙では新興政党「共和国前進」のマクロン氏が極右「国民戦線」のルペン氏を破り、大統領に就任しました。親EUのエリートが極右に勝ったということで、ヨーロッパで極右の影響力が広がることを恐れた各国首脳は一安心しました。

しかし、フランスでは内政において広範な権限を持つ「首相」が「大統領」と並んで存在します。この首相は、慣例上、下院多数派の支持を得なければなりません。もし、ここで多数派形成に失敗すれば、大統領と敵対する首相が誕生することになり、マクロン大統領が望む政策を推進できなくなります。そのため、先月6月18日に行われた下院選挙は、マクロン政権の今後を占う重要な選挙でした。





日本と異なるフランスの選挙制度



フランス下院は、日本でも採用されている小選挙区制に加え、大統領選挙と同様に「二回選挙制」という特殊な制度を採用しています。

小選挙区制は、各選挙区で1番多く得票した候補者が当選するというルールです。日本の自民党や民進党のような大政党や、日本維新の会のような特定の地域で強固な地盤を持つ政党に有利に働くルールです。

「二回投票制」とは、1回目の投票で過半数を獲得した候補がいなければ、1回目の投票で12.5%以上獲得した候補者により2回目の投票が行われ、そこで最も多くの票を獲得した候補者が当選するというものです。大統領選では1回目の投票で敗れたフィヨン氏やメランション氏を支持した有権者がマクロン氏を支持し、2回目の投票ではマクロン氏が圧勝しました。

このように、二回投票制は極右「国民戦線」のような極端な主張をする政党を排斥し、二大政党に有利なルールとなっています。これまで共和党を中心とする右派と、社会党を中心とする左派からなる事実上の二大政党制を支えてきた背景には、このルールの存在がありました。





マクロン新党が圧勝



しかし、今回の下院選挙ではマクロン大統領率いる「共和国前進」が圧勝し、577議席中301議席を獲得しました。連立与党全体では350議席に及びます。それほどまでに、伝統的な右派と左派への不満が高まっていたと言えるでしょう。特に、オランド前大統領を輩出した社会党は今回議席を284議席から30議席に大きく減らしたことも、驚きの結果でした。

また、今回共和国前進は、数学者、美容師、スポーツ選手など政治経験の無い人や、女性やマイノリティを多数候補者として選出しました。このような候補者の新鮮さが有権者の期待を集めたと言われており、こちらも驚きの結果でした。





フランス政治漂流の始まり?マクロンの人気が低迷したらどうなる?



今回の選挙の結果、マクロン大統領は議会多数派を獲得し、自身の望む政策を進めることができます。しかし、共和国前進の議員のほとんどは政治経験がありません。そのため、今後どのように議会が運営されていくかは未知数と言えるでしょう。また、今回の勝利はマクロン大統領の個人的な人気に拠る部分が多くあります。5年後の選挙で、今回の勢いを保つのは至難の業でしょう

今後マクロン政権と共和国前進が世論の支持を保てるかは、マクロン大統領と今回選ばれた新人の下院議員たちの政権運営にかかっています。現在外交を中心に成果を収めているマクロン政権ですが、フランス最大の課題は低迷する経済です。マクロン大統領は解雇を容易にする労働法制改革を経済成長政策の柱として掲げています。しかし、この政策は現在働いている労働者に不利であるため、彼らからの反発を生むことは必至です。

また、フランスはEUの規制によって、公共事業など財政出動をしにくいという状況にあります。この状況はオランド政権からマクロン政権へと政権交代が起きても変わるものではありません。そのため、EUと交渉して財政出動を認められない限りは、マクロン政権が取り得る経済政策の選択肢は限られており、極めて困難な状況に置かれていると言えるでしょう。

そのため、マクロン政権が経済運営に失敗し、世論の反発が強まるというシナリオは現実味を帯びてきています。しかし、その時、世論の反発はどこへ向かうのでしょうか。今回、共和党、社会党はいずれも世論の支持を失い大敗しました。マクロン政権への不信がそのまま既存の政党への支持につながるとは限らないのです。その時、社会不安が再び高まるのは必至でしょう。そして、再び極右が台頭するかもしれません。

今回の下院選挙では、マクロン政権は選挙で世論の大きな支持を得ることにより、政権運営しやすくなりました。マクロン政権は、この恵まれた環境を活用して経済を回復させることができるのでしょうか。マクロン政権はこれから真価が問われます。
齋藤 貴

齋藤 貴

ペンネーム。23歳大学生。大学では政治学を専攻。テレビドラマ『相棒』が大好きです。

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