選挙ドットコム

14,875選挙・285,139の候補者情報、日本最大級の選挙・政治家情報サイト

【選挙アナリストが分析する都議選】カギを握った無党派層・公明支持層の投票行動



平木 雅己
平木 雅己

東京都議会議員選挙は、都民ファーストの会の躍進と自民党の歴史的な大敗という結果で終わりました。自民党の大敗は「予想外だった」との見方が多いようですが、果たして本当にそうなのでしょうか?

勝ちに不思議の勝ちはあるものの、負けに不思議の負けはなし」です。

報道各社が投票日に行った出口調査の結果を分析すると、そこには「都民ファーストの会圧勝と自民党大敗」の「根拠」となる数値が見えてきます。1回目となる今回は「無党派層、公明党支持層をはじめ各政党の支持層はどのような投票行動を取ったのか」を検証していきます。

<要約>
◯無党派層の30-40%が都民Fに投票

◯都民Fは公明党支持層の7割を固めた

◯都民Fは支持層を固め、自民・民進支持層も切り崩した


なお、2回目となる次号では「『都民ファースト・自民が拮抗』と報道された告示直後の調査がなぜ、変化したのか」についてお届けします。





無党派層の30-40%が都民Fに投票、自民党には10%程度のみ



まず、最初に見ていくのは「無党派層」の投票行動です。
「ふだん支持している政党がない」いわゆる無党派層はNHK調査で30%、朝日調査で21%などとなっています。

1

無党派層で「都民ファーストの会の候補者に投票した」と答えている人の割合は、NHK調査と読売調査でともに40%、朝日調査で35%、毎日新聞社などの8社共同調査で29.8%となっていることが明らかになりました。

前回2013年選挙のNHK調査では、無党派層のうち自民党の候補に投票した人が22%、当時の民主党が20%だったことを考えると、今回の選挙で都民ファーストの会の候補者に投票したと答えた無党派層の割合の高さが際立っています

時事通信社の調査では、都民ファーストの会公認候補に投票したと答えた人が37.1%、都民ファーストの会推薦の無所属候補が15.1%、公明党の候補が9.4%と知事支持勢力の候補者へ投票したと答えた割合が高くなったのに対して、自民党の候補に投票したと答えた人の割合は9.2%にとどまり、大きく水をあける形となりました。

なお、あわせて都民ファーストの会以外に投票した無党派層の割合を見てみると、NHK調査では共産党に16%、自民党に13%、民進党9%、公明党7%、東京・生活者ネットワーク2%などとなっています。

朝日調査では、共産党17%、自民党13%、民進党10%、公明党8%の順でした。読売調査では、共産党15%、自民党12%、民進党8%、公明党6%です。8社共同調査では、共産党19.6%、自民党12.9%、民進党10%、公明党7.6%となっています。



いずれの調査結果からも、今回の選挙では、「無党派層の30%~40%は都民ファーストの会に投票、15%~20%程度は共産党に投票している、自民党に投票する割合は10%少し超えるぐらい」であることが明らかになりました。





都民Fは公明党支持層の7割も取り込む



2

NHKの調査では「ふだん支持している政党」を訊ねており、自民党32%、都民ファーストの会14%、共産党8%、民進党8%、公明党6%、東京・生活者ネットワーク1%、日本維新の会1%、社会民主党1%、特に支持している政党はない30%となっています。

では、実際に投票した候補者の政党は、どうなっているのでしょうか?
都民ファーストの会が36%、自民党が23%、共産党が14%、公明党が10%、民進党が8%、東京・生活者ネットワークと日本維新の会がそれぞれ1%で、都民ファーストの会が支持を大きく伸ばし、自民党が支持を下げていることがわかります。



次に、朝日新聞社の調査結果から、公明党の候補者が出なかった21の選挙区で、公明党支持層がどの政党の候補者に投票したのかを見てみます。都民ファーストの会候補が68%、自民党候補が17%、共産党と民進党の候補者はそれぞれ2%でした。

3

具体的には、中央区で81%、昭島市では83%の公明党支持層が、都民ファーストの会の候補者に投票しています。また、2人区の渋谷区では、都民ファーストの公認と推薦候補にそれぞれ38%ずつが投票していたことがわかりました。

4

このように、都民ファーストの会の候補者は協力関係にあった公明党の支持層から手堅く得票していることがわかります。



次に、毎日新聞・日本経済新聞・東京新聞など計8社が行った調査をもとに、自民党と都民ファーストの会がどの程度、自分たちの政党を支持する層を固められたのかを見ていきます。

5

全体では、民進党支持層の13.5%、自民党支持層の11.2%が都民ファーストの会の候補者に投票したと答えています。

6

次に選挙区別に見ていきます。ここでは、「自民党を支持する」と「都民ファーストの会を支持する」と回答した人が、実際には都議選でどの党の候補者に投票したのかを見ていきます。

千代田区では、都民ファーストの会候補者が支持層の92%を固めたのに対し、自民党候補者は支持層の74%しか支持を得ることができず、自民党支持層の22%は都民ファーストの会候補者に投票したと答えています。

武蔵野市では、都民ファーストの会候補は92%の支持層をまとめ、無党派層から32%の支持を得ました。自民党候補者は自民党支持層の66%しかまとめきれず、16%が都民ファーストの会候補に投票していることがわかりました。

青梅市では、都民ファーストの会候補者が支持層のほとんどを固め、無党派層から70%近くの支持を集め、自民党支持層の9割弱をまとめた自民党候補者に差をつけました。

都民ファーストの会の候補者は、自民・民進両党の一定の支持層を切り崩し、既存政党への不満や批判の受け皿になったことが調査数値から浮かび上がります。





以上の出口調査の結果から、都民ファーストの会の勝因は、
①無党派層から30~40%の支持を受けたこと

②協力関係にあった公明党の支持層から70%程度の支持を受けたこと

③自民・民進両党の支持層を切り崩した

ことだと言えそうです。そして、自民党の敗因
①都民ファースト会に支持層を切り崩され「ふだんの支持率」を維持できなかったこと

②これまで支持を受けていた公明党支持層が離れたこと

③残りの支持層も十分にまとめきれなかったことが調査数値から読み取れます。

 

「不思議の勝ち」も「不思議の負け」もなく、投票日当日の出口調査結果から「圧勝と惨敗」の根拠が分かりました。2回目となる次号では「『都民ファースト・自民が拮抗』と報道された告示直後の調査がなぜ、変化したのか」についてお届けします。

参考 各報道機関が投票日に実施した出口調査の規模は以下の通りです。
NHK 536か所 3万600人から回答
朝日新聞 603地点 2万7777人から回答
読売新聞 約3万4000人から回答
毎日新聞、日本経済新聞、東京新聞、産経新聞、共同通信、TBS、フジテレビ、東京MXテレビ8社共同調査 504か所2万5425人回答
時事通信 10選挙区20か所 1283人回答

平木 雅己

平木 雅己

ライター、選挙アナリスト。 NHK社会部記者として、選挙報道事務局を長く勤め、「票読み」はじめ情勢分析や出口調査導入に尽力。小選挙区制度が導入され初めての衆議院議員選挙報道ではNHK会長賞を受賞。ゼネコン汚職、政治資金の不正など政治家が関わる多くの事件・疑惑も取材。 その後、連合事務局にスカウトされ、会長秘書(笹森清氏)を勤め選挙戦略の企画立案・候補者指導を担当、多くの議員の当選に尽力した。 政策担当秘書資格取得後、外務大臣政務官及び衆参国会議員秘書として、外交・安全保障、都市計画、防災、治安、雇用・消費者、地方自治、憲法などの委員会や本会議質問を作成、政策立案に携わる。

記事一覧を見る

選挙ドットコムでは”選挙をオモシロク”を合言葉に、より多くの選挙報道・政治家情報を集めています。あなたも選挙ドットコムのサポーターになって協力してくれませんか?

Copyright © 2017 選挙ドットコム All Rights Reserved.