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都民ファの勝因・自民の敗因は何だったのか? 各党の都議選を振り返る



選挙ドットコム編集部
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各党が「今年最大の政治決戦」として位置付け、国政選挙並みの態勢で取り組んだ第19回東京都議会議員選挙は、2日投開票が行われました。
小池知事率いる都民ファーストの会が55議席を獲得し、公明党(23議席)と東京・生活者ネットワーク(1議席)の知事を支持する勢力と合わせて79議席を獲得し、議会過半数(64議席)を大きく超え、今後の都政運営を安定させる議席数となりました

一方、知事との対決姿勢を強めていた自民党は、過去最低の議席数を下回る23議席にとどまる歴史的な大惨敗となり、安倍首相の今後の政権運営に大きな影響を及ぼしそうです

共産党は前回獲得した議席を2つ上回る19議席、民進党は3分の1となる5議席、日本維新の会は1議席でした。

今回の投票率は51.28%で、過去2番目に低かった前回13年選挙より7.78ポイント高くなり、当日有権者1,108万1,157人のうち568万1,864人が投票しました。





都民ファーストの会(55議席)



公認候補50人のうち49人が当選し、さらに6人の推薦候補を追加公認したので合わせて55議席を獲得しました。

このうち、7つある1人区では、千代田区、中央区、武蔵野市、青梅市、昭島市、小金井市の6つを制しました

15ある2人区のうち、台東区、渋谷区、府中市、西東京市、南多摩の5つの選挙区で議席を独占したほか、荒川区では公明党、北多摩第二では東京・生活者ネットワークの知事を支持する勢力の候補者とともに議席を獲得しました。

定数3以上の残りの20選挙区中、19選挙区で公認候補がトップ当選し、品川区、大田区、世田谷区、杉並区、練馬区では1位と2位を占めました。

選挙結果について、小池知事は、「都民からの改革の姿勢や、東京大改革の期待の結果だと思う。政治経験のない人も多いが、弁護士や公認会計士などそれぞれ専門性を持っている。そういった方々が都議会に入ることで、これまでにない都政の切り口を議会から発信してもらえると期待している」と述べました。
また、今後の都政運営については、「東京オリンピック・パラリンピックの準備も加速する。市場の移転問題については、『豊洲移転・築地再開発』の基本方針をどのように肉づけして現実的に進めていくのか業者の理解を得る方策をしっかりとりたい」と述べました。

一方、今回の選挙結果を踏まえた国政進出については、「都民ファーストの会は、都民のために最大の努力をする。一部の業界団体ではなく、都民の利益をどう確保するか、新しい議員と共通の目標でやっていきたい」と述べ、否定的な考えを示しました。





公明党(23議席)



1993年の選挙から続いている候補者全員の当選が至上命題でした。荒川区と八王子市でトップ当選した他、大田区と足立区でもそれぞれ2人が議席を守り、23人の候補者全員が当選しました。これで93年選挙以降、7回連続して候補者全員が当選しています。

公明党の山口代表は、「幅広い都民の理解を頂いて、全員当選したと受け止めている。議会の側で都政の安定勢力が形成されたことは、都政の前進にとって好ましい基礎を作れたということであり、都議会公明党の持つ実績や経験、結束力が重要になってくる」と述べました。

そのうえで、山口代表は「これは都民の都政に対する審判だ。国政と都政は別で、国政の運営については、引き続き連立政権の役割が重要だと強く認識しているので、政権運営はいささかも揺るぎなく、結束して国民の期待に応えていきたい」と述べています。





東京・生活者ネットワーク(1議席)



北多摩第二の現職は議席を守りましたが、世田谷区、杉並区、練馬区で議席の獲得はできませんでした。選挙前の3議席から1議席となりました。





自民党(23議席)



前回公認候補が全員当選した自民党は、今回60人の公認候補を擁立し、引き続き、都議会での第1党を維持する方針でした。

しかし、国政台で追及が続けられた「森友・加計問題」に加え、豊田真由子議員による秘書への暴行疑惑、稲田朋美防衛相の応援演説が憲法や公職選挙法、自衛隊法に違反するのではないかとの指摘、都連会長を務める下村博文幹事長代行が自身の政治資金パーティー券代金を加計学園関係者から受け取ったものの政治資金収支報告書に記載していなかったことが相次いで報道されたことなどから23議席と大幅に議席を減らしました。

これは過去最低だった1965年と2009年の38議席を下回り、歴史的な惨敗となりました。

さらに、中野区では都議会議長、北区では都議団幹事長ら幹部の落選が相次いだうえ、それぞれ2人の候補者を擁立した品川区、目黒区、板橋区で共倒れして議席を獲得できず、下村博文都連会長ら5役が辞任する意向を表明しました





共産党(19議席)



定数2の北多摩第四や目黒区、町田市で新に議席を得た他、定数が3以上の複数区を中心に議席を獲得し、前回選挙を2つ上回る19議席を獲得しました。

志位委員長は、「自民党が歴史的敗退を喫したことが特徴で、『加計疑惑』などの『国政の私物化』に対し、『許すわけにはいかない』という声がこの結果を作った。自民党は深刻に受け止めるべきで、根本的な反省が必要だ」と述べました。





民進党(5議席)



民進党は、世田谷区、中野区、板橋区、練馬区、三鷹市で5議席を獲得しましたが、前回選挙で獲得した15議席の3分の1と大きく減らしました。

また、選挙前に16人の候補者が離党したこともあり、党代表を務める蓮舫氏の地元だけに責任論が浮上しそうですが、野田幹事長は、「国会運営も各種の選挙も幹事長の責任だ。うまくいく時も、そうでない時もあるが、しっかりバネにして、党勢拡大を目指す責任を果たしていかなければいけない」と述べるに留めています。





日本維新の会(1議席)



豊洲市場への早期移転や身近な行政権限の都から区への委譲などを訴え、4人の候補者を擁立しましたが、唯一の議席だった大田区の現職が議席を守りました
馬場幹事長は、「小池都政に対しては、国政と同じように是々非々で臨んでいく。都民のためになることには最大限、協力していく」と述べています。





社会民主党(議席獲得ならず)



食の安全や子どもの貧困対策、暴力や差別偏見がない平和な社会の実現などを訴え、世田谷区に候補者を擁立し議席回復を目指しましたが、議席の獲得はできませんでした。

福島副党首は、「都議会の議席奪還に向けて頑張った。手応えはとても感じた。自民党に対する批判はものすごく強かった」と述べています。

幸福実現党、地方議員ゼロの会、NHKから国民を守る党、環境党、行革110番、区民ファーストの会、都政を革新する会、日本第一党の各政党、政治団体も議席の獲得はできませんでした。



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今後の国政への影響は



全国の人口の1割余・約1,368万人が暮らす東京の都議会議員選挙で示された民意・有権者の意思決定は、これまで国政の動向に大きな影響を与えてきました。
安倍首相は、前回の東京都議選はじめこれまで2回ずつの衆参選挙で勝利を収めたことで求心力を高め、特定機密法、安保法制、テロ等準備罪(組織犯罪処罰法)の制定や改正を行ってきました。

現在は、次の臨時国会に向け、憲法改正について党の改正案をまとめるよう指示しています。
しかし、今回の東京都議選の大惨敗を受け、首相の求心力低下は避けられず、憲法改正についての党内や衆参憲法審査会での議論、発議・国民投票という首相が描く日程に大きな影響が出てくる可能性もあります

さらに、今回の選挙結果について、岸田外相が「自民党にとって本当に厳しいと受け止めており、深刻に受け止めなければならない」と述べているのをはじめ、石破前地方創生相も「この結果を歴史的な大敗と言わずに何と言うのか。『都民ファーストの会』が勝ったというよりは、自民党の在り方そのものが改めて問われている選挙だ」と批判しています。





自民党の内部でも動きが活発に



また、きょう3日には、麻生派、山東派、谷垣グループを離脱した議員らが合流し、60人以上の規模の新しい派閥を立ち上げる一方、額賀派はあす4日に懇談会を開催し、8日には故・竹下首相の墓参のため幹部らが島根県掛合町に出向きます。来年9月の自民党総裁選挙を見据え、党内の各派閥の動きが活発化してくる可能性もあります。

衆議院議員の任期は、残り1年半で、来年12月に任期満了を迎えます。今のところ、衆議院選挙について具体的な政治スケジュールには挙がっていませんが、今回、東京都の568万人余の有権者が示した民意を無視することはできなくなります。

安倍首相は、7日からドイツで行われるG20サミットに出席した後、秋にも召集を予定している臨時国会に向け、いずれかの時点で内閣改造・党役員人事を行う方針です。

今回、これまで自身が重用し取り立ててきた稲田防衛相、萩生田官房副長官、下村幹事長代行が失言や加計学園との関係を追及されたことから、第一次政権時と同様、首相と親しい議員を優遇したいわゆる「お友達内閣」と批判されたことを避けるため慎重な人事を行う方針ですが、求心力を取り戻せる人事ができるのかどうか見通しは立っていません。

一方、「森友・加計学園疑惑の追及」「憲法改正の是非」など、国政台で与野党が対決している課題が選挙戦を通して争点となってしまった感があります。
知事が選挙直前に示した市場移転方針の是非をはじめ、待機児童の解消などに向けての子育て支援や私立高校授業料の無償化、開催を3年後に控えた五輪・パラリンピックの経費負担、受動喫煙対策、医療や福祉政策、景気や雇用政策、23区と多摩地区・島しょとの格差問題、首都直下地震を想定しての地域防災力の向上など、都政が抱える多くの課題について議論が深まったのかどうか疑問も残ります。

都議会は、正副議長を選出するための臨時議会をできるだけ早い時期に召集し、新たに都民から付託を受けた127人の都議会議員が始動します。
知事が掲げる「都民に開かれた都政・都議会」を実現していくためには、都政が抱える多くの課題に対し、都議会議員が、具体的にどのような政策立案を行い実現を図っていくのか、1,368万都民からの都政・都議会チェックは、これからが本番となります。
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