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「都民の役に立っていない都議会」からの脱却へ。議会改革7の提言

2017/7/1

青木 佑一

(本記事は、早稲田大学マニフェスト研究所 事務局次長 青木 佑一氏の寄稿記事となります)

2016年7月、東京都知事選挙で小池百合子氏が当選。「都議会のブラックボックスと戦う」と宣言し、都民の大きな支持を集めての勝利でした。

新たな知事に対する評価は様々ありますが、東京都庁に大きな変化の波が起きているのは間違いありません。選挙で選ばれた首長と議会がよりよいまちづくりに向けて競い合う「二元代表制」において、首長・執行部と対峙する一方の東京都議会は、改革を進め、都民の役に立てているのでしょうか

早大マニフェスト研究所と協力関係にある超党派の地方議員の団体「ローカル・マニフェスト推進地方議員連盟」は6月、都民の男女有権者2,000人を対象に、都議会や選挙に関する意識調査を実施しました。調査結果からは、都議会が「都民の役に立っていない」状況や、いま話題の「築地」「五輪」の問題は、都民の本当の課題ではないことが明らかになりました

目指すべき「開かれた議会」「都民の役に立つ議会」になるための、議会改革7つの提言を研究所でまとめました。

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都民に対し、都議会のイメージを聞いてみたところ、「都議会は必要だ」という声は一定数ある一方、「都議会は都民の役に立っている」「都議会議員は役に立っている」という意見に対して「NO」という声が目立ちました。「地域の面倒をこまめにみている、身近な存在」ではないという声も多く、「都議会は必要」という声に、議会側の活動が応えられていない現状が伺えます。

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では、都民は都議選の投票の際に、どんな基準で、何をもとに選んでいるのでしょうか。

「重視する資質・理由」を聞いてみると、「政策・提言」と「実行力・行動力」が重視されている現状がわかります。「重視する政策・課題」についても聞いてみると、「小池旋風」や対抗勢力が争点設定した「築地市場の豊洲移転」「五輪予算、費用負担」などよりも、「医療・社会福祉」「安心安全・防災」「景気対策」「少子化・子育て支援」を重視する傾向がみられます。

「築地」「五輪」は都民の本当の課題ではなく、都民は医療や防災、景気や子育て対策の課題解決を求めています。

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早大マニフェスト研究所では、国政選挙や都知事選の際に、マニフェストの理念・一貫性・都民起点度などを評価した「できばえチェック」や、各会派の政策を比べやすく争点ごとに抜き出した「政策比較表」を公開してきました。

今回の都議選でも主要7会派の「できばえチェック」「政策比較表」を公開していますのでぜひご覧ください。研究所としてマニフェストを評価したところ、「どの会派も政策は具体的だが、都民起点度が10点満点中 平均3点であり、都民へ伝える努力が不足している」「本当の課題である『医療・福祉』『安心安全・防災』『景気対策』の優先順位が低い」という見解を持ちました。

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意識調査では、議員や議会に対して選挙後に期待することについても聞きました。それによると、「都政に民意の反映」「知事や行政への監視」「都議会改革」「政策提案で地域課題を解決」などに大きな期待がかかっていることがわかりました。

それでは、いまの都議会はこうした期待に応えられているのでしょうか。

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早大マニフェスト研は、2010年から実施している全国地方議会の改革度をはかる「議会改革度調査」の2016年度の速報版として47都道府県ランキングを6月に公表しました。東京都議会の議会改革状況みると、議員の不祥事などをバネに府民・県民の立ち位置に立った改革を進めた大阪府議会が1位、兵庫県議会が2位でした。一方の都議会は、やじ問題や小池新都知事誕生という契機があったにも関わらず、昨年から1ランク落として36位に甘んじています

東京都議会は、他道府県議会とくらべ女性議員比率が最も高いという多様性をもち、議員定数や事務局員の人数は最多、政務活動費も日本でもっとも充実しています。
全国で一番、議員活動が充実してできる環境があるにも関わらず、議会のあり方を定める議会基本条例は制定されておらず、議会活動の公開状況を見れば、都民に十分に開かれているとは言えません。また、地方議会の機能の1つである条例提案も、過去3年間では提案数が0件(史上1件のみ)でした。

都民に期待されている議会の姿は、実現されているとは言い難いようです。

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最初にご紹介した「都民の役に立っていない」という都民の声は、「都議会が、十分に地方議会の機能をはたしていない」ことが大きな要因の1つになっています。今後の都議会に期待することとして、「議会改革」、そして「政治・議会不信の打破」が一定の割合を占めています。

これから都議会が目指すべき姿は、「都民に開かれた議会」「都民の役に立つ議会」です。

まず都議会自らが、どのような活動をしているかを都民に伝える努力をすること、そして都民の声を議会活動や政策立案に反映していくことで、「都民に身近な議会」へと変わり、政治や議会への不信を取り除く必要があります。政治不信の原因の1つは、「選挙のときだけ頑張る政治家」というイメージにもあります。今回の都議選での選挙公約(政策)を着実に実現していき(実行力)、その成果を知らせていく必要があります。

また、都民は、「知事や都庁への厳しいチェック」や「政策提案による地域課題の解決」も求めています。地方創生時代において、これまでの形式要件(=なにをやったか)から、実質要件(=地域や住民にどんな変化があったか)が問われる時代になっています。メディアや政治勢力が行う争点設定も大事な機能の1つですが、都議会は都民の本当の課題を、いかに解決をしていくか。そのときに念頭に置くべきことは、「議員や会派として動く」だけでなく、「議会全体でどう動くか」ということです。大きな力をもつ首長・執行部に対抗できる「議会としての実力」を、どのように身に着けていくのか。目指す姿を実現していくために求められるのが、まさに「議会改革」です。

今回、早大マニフェスト研究所では、東京都議会が目指す姿を実現するための「議会改革7つの提言」をまとめました。都議会は、自身への関心の低さ、期待の小ささの原因に向き合い、「都民の役に立つ都議会」になれるよう、活動を一歩ずつ積み重ねることが重要です。そして有権者は、都議選後に首長(執行部)と議会が二元代表制の基本に立ち返り、緊張感のあるパートナーシップを結べるかを見守らないといけません。

7月2日の投票日はゴールではなく、スタートであるという意識をもって、ぜひ多くの方に政策をもとにした投票を期待したいと思います。

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■議会改革7つの提言

●議会基本条例の制定
●新議長の選出の透明化
●議会活動のロードマップ作成(4年間、1年間)
●議会独自の調査分析機能の強化
●議員による政策提案
●討議環境の整備(自由討議、一問一答、反問権など)
●住民の意見を聴取する場の設定(請願者の意見陳述、参考人招致・公聴会、住民との意見交換会など)

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青木 佑一

早稲田大学マニフェスト研究所 事務局次長

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