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待機児童ゼロってよく聞くけど、具体的に説明できる?さいたま市長選では各候補が子育て支援政策でガチンコバトル!



原口和徳
原口和徳

さいたま市長選挙が5月7日に告示され、新人で元衆院議員の中森福代氏(67)、新人で共産党が推薦する地区労議長の前島英男氏(64)、3選を目指す現職の清水勇人氏(55)の3氏による選挙戦となっています。
先日の記事でご紹介した様に、さいたま市長選挙では若年有権者層の参加が他の世代よりも少ない状況が続いています。
【関連】高齢vs若者の構図はもう古い。お互いが理解し合うためにできることをさいたま市長選の背景から読み解く  >>

このような状況を変えるために、若者が市長選挙へ参加、投票しようと思ったときに大切になってくるのが各候補者の政策です。「待機児童」を題材に、各候補者の政策や有権者がとるべき行動を考えてみましょう。





まず確認! 3氏の政策は?



立候補者のwebサイトに掲載されたマニフェスト・選挙公約から、「待機児童」に関する政策を引用、ご紹介します。(届け出順)
中森氏:小中学校の空き地等を活用した保育園の増設と保育士の確保。国基準の待機児童0(ゼロ)の実現

前島氏:保育所や学童の待機ゼロ、保育の質を保障する支援策

清水氏:待機児童ゼロの実現と、親子の絆を深める子育て支援の拡充!

各候補者とも、待機児童問題の解消を掲げていることが分かります。


なお、図表①に示されているように、さいたま市民への意識調査でも「子育て支援」は2番目に支持されるなど、多くの市民から望まれている取り組みであることも確認できます。

図表①_さいたま市にこれから力を入れてほしい取り組みは? (ベスト5)

さいたま市にこれから力を入れてほしい取り組みは?(ベスト5)







そもそも、さいたま市の待機児童の状況は?



図表②は、さいたま市の待機児童に関する報告資料からの抜粋です。

さいたま市における待機児童数の推移

さいたま市における待機児童数の推移



さいたま市の発表によれば、さいたま市では2017年4月1日時点で保育所の待機児童数が0名(前年度24名)となったことが報告されています。そう、4月の時点で、さいたま市では「待機児童ゼロ」が実現されているのです。





それでも全候補者が「待機児童ゼロ」を掲げる理由



しかし、実際に選挙公約として3氏ともに「待機児童ゼロ」を掲げています。これはなぜでしょうか。考えられる可能性は3つあります。


1つ目の理由:待機児童は年度の途中でも発生するから


保育所への入所は年度の切り替え時期がほとんどです。そのため、4月以降、来年3月末までの間に保護者の育児休業期間が終了するなどして新たに生まれる保育需要への対応を行う必要があります。


2つ目の理由:待機児童の定義が異なるから


図表②にあるように、実は待機児童は2つの数え方があります。1つはさいたま市が4月1日時点で待機児童ゼロと発表した方法であり、もう1つは「利用保留児童数」(メディアなどでは「隠れ待機児童」と報じられています)を数えるものです。
「利用保留児童数」は、(1)特定の保育所等の利用だけを希望している、(2)保護者が自宅で求職活動をしている、(3)保護者が育児休業を取得している、などで認可保育所の利用を申請したものの利用に至らなかった児童の数を数えます。
この利用保留児童数は前年度から181名減少したものの1,434名に上っています。


3つ目の理由:待機児童をカウントする施設の違いから


具体的には、保育所ではなく、学童保育での待機児童を対象とするケースです。

さいたま市の学童保育待機児童数の推移

さいたま市の学童保育待機児童数の推移



図表③では、さいたま市における学童保育の定員数と待機児童数の推移をまとめています。施設の整備が進められているものの、学童保育における待機児童が継続して生じていることが分かります。

なお、さいたま市では保育所の定員増化に積極的に取り組んでいます。平成27年度の定員増加数である1,828名は全国で6番目に多い増加数となっています。
今後、保育所を利用している待機児童が小学生となった時、学童保育の需要が急増する可能性があることも念頭におく必要があります。





改めて、各候補者の政策を比較してみると



実は、本記事で紹介をした各候補者の政策情報だけでは、それぞれの候補者がどの「待機児童ゼロ」を目指しているのかまでは分かりません。

具体的な内容は、各候補者の詳しい政策集や演説などの内容を聞いて判断する必要があります。場合によっては、各候補者に自分から質問をしてみないと必要な情報が得られないかもしれません。




候補者の政策まで調べてみることも必要なことです。



確かに、それぞれの候補者のWEBサイトを閲覧したり、演説会場に足を運ぶことには手間も時間もかかります。ただ、市長選挙は原則として4年に1回です。仮に調査に丸1日を費やしたとしても、4年間で平均すると1日当たり1分程度の時間の積み重ねに過ぎません。

「待機児童ゼロ」のように、非常に耳慣れた言葉でも、人によって定義や意図するものが異なっている可能性もあります。これが他のもっと報じられることの少ない政策だったらどうでしょうか。誤解に基づいて投票してしまうと、後で「そんなはずではなかったのに」と後悔につながってしまうこともあります。

インターネットを用いた情報発信や、マニフェストなどの具体的な選挙公約の使用によって時間や場所に制約されずに情報を収集、発信することができるようになっています。さいたま市長選挙の候補者も、皆、webサイトを開設しています。

有権者が自分自身の望む取組みを知り、候補者がその条件に合致しているかどうかを判断できていると候補者(政治家)に認識させることができると、政治家がより有権者の考えを意識して行動するようになるでしょう。1日1分の積み重ねが、自分たちのために行動する政治家を生み出していくことにつながっていきます。

さいたま市長選挙で投票をしようと考えた際は、ぜひ各候補者の情報を直接入手し、比較・検討されてみてはいかがでしょうか。
原口和徳

原口和徳 : 埼玉ローカル・マニフェスト推進ネットワーク事務局

1982年埼玉県熊谷市出身。中央大学大学院公共政策研究科修了。早稲田大学マニフェスト研究所 議会改革調査部会スタッフとして、全国の議会改革の動向調査などを経験したのち、現所属にて市民の立場からのマニフェストの活用、主権者教育などの活動を行っている。

Webサイト : http://blog.canpan.info/slm/

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