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投票にいけば若者の勝利は目前?東京の有権者数を調べてみたら、若者がたくさんいた事実



原口和徳
原口和徳

少子高齢化の進行で、有権者に占める高齢者の割合が増加し、高齢者層の政治への影響力が増大する現象を「シルバー民主主義(デモクラシー)と呼ぶことがあります。シルバー民主主義では、少数派である若者よりも、多数派である高齢者に配慮した政策が優先され、その結果、若者たちの政治への参加意欲が失われていく、といった主張もあります。

都議会議員選挙に向けて若者の政治参加を促進していくためにも、東京都におけるシルバー民主主義の実態を確認してみましょう。






有権者数で見ると… 実は60代よりも多い10代、20代有権者



2016年東京都知事選挙における年齢別投票者数

2016年東京都知事選挙における年齢別投票者数



図表①は、昨年行われた東京都知事選挙について、横軸に有権者数、縦軸に投票率をとり、バブル(丸)の大きさで推定投票者数を表しています。なお、有権者数は2016年1月の日本人人口を、投票率は東京都選挙管理委員会の発表した都知事選挙での年齢別投票率(推定値)を用いています。

早速、年齢別の有権者数を比較してみましょう。グラフでは、右に行くほど有権者数が多いことを表しています。最も有権者が多いのは40代有権者(270万人)であり、続いて70歳以上の有権者(212万人)となっています。

ここで注目したいのが、10代・20代の有権者です(10代有権者は18歳と19歳のみのため、20代有権者と一緒に集計します)。東京都における10代・20代の有権者数は172万人。60代有権者(156万人)や、50代有権者(約160万人)よりも多いことが分かります。

そう、有権者数だけに注目すると、「東京都では選挙に参加できる若者が他の世代よりも少ないから、シルバー民主主義によって高齢者の優遇が起こっている」とは言えないのです。





一転、投票者数でははっきりと表れるシルバー民主主義が生まれる環境



とは言え、このことはあくまで有権者数に限った話です。実際に投票した人の数を比較してみると、また違った側面が浮かび上がります。

昨年の都知事選挙における推定投票者数を表すバブルの大きさ(吹き出しの数字)を比較してみましょう。最も多く投票したのは70歳以上の有権者(140万人)であり、次いで40代有権者(129万人)、60代有権者(116万人)であることが分かります。

有権者数では60代有権者よりも人数の多かった10代・20代有権者の投票者数は67万人。他のどの世代よりも少なく、60代投票者数の6割弱となっています。シルバー民主主義は、選挙に当選したい政治家が、多数派である高齢者層に配慮した政策を優先的に打ち出すことで、少数派である若年・中年層の意見が政治に反映されにくくなり、世代間の不公平につながるとされています。





ちなみに、これまでの選挙ではどうだったの?



これまでの選挙における投票状況も確認してみましょう。図表②では、2000年代に行われた東京都知事選挙及び都議会議員選挙の年齢別投票率をまとめています。

【選挙ドットコム様】図表②_都知事選挙及び都議会議員選挙における年齢別投票率の推移

20代有権者の投票率は一貫して他の世代の投票率よりも低いものとなっていることや、都知事選挙における10代有権者の投票率も、30代以上の有権者の投票率よりも低いものであることが分かります。

これらのことからも、投票に参加する人はいつも高齢者層に多く(同様に若年層の投票者数は少なく)、選挙に当選したい政治家にとっては高齢者に配慮した政策を優先して実現したくなる環境(=シルバー民主主義の発生する環境)が続いていることが分かります。

繰り返しになりますが、東京都では、この状況は他の世代と比べても決して少なくないはずの若年有権者層が自ら投票に参加しないことで作り出されているものです。





「シルバー民主主義」は若者の行動で変えられる!



もちろん、本当に「シルバー民主主義(やそこにおける高齢者の優遇)」が起こっているのかどうかについては諸説あります。筆者自身、例えば「祖父母の立場から、自分よりも子や孫のための政策を優先して欲しい」と主張される高齢者の方のご意見を伺うことも多々あります。

ただ、もしも「どうせ政治に関心を持っても、少数派である私たち若者の意見なんて採用されないから、政治への関心なんて持たないし、投票に行くなんてばかばかしい」といった思い込みに囚われてしまっている人がいるとしたら、ぜひ、その思い込みから解き放たれてもらいたいとも願っています。

東京都において、高齢者層が多数派になっている大きな要因は投票率にあります。この状況は、若い人が、それぞれ今まで投票に行っていなかった同世代の友人一人を誘って投票に行ったら、一変させることができるのですから。






若者の視点で東京都を見てみると気づくこと



例えば、子育てに関する分野だけでも、東京都は過去5年以上にわたって合計特殊出生率が全国最低であり、昨年4月の時点で日本の待機児童の4割以上が集中していることが明らかになっています。大勢の若者が集まる東京は、若い世代に対する社会的支援もまた必要な地域であります。

先日の記事でも紹介した様に、東京都議会議員選挙は約45億円ものお金を使って作り出している有権者が政治に対して意見表明するチャンスでもあります。
【関連】「都議選の投票率は約50%。ってことは東京都民は約23億をドブに捨てている事になるってモッタイない!」 >>

都議会議員選挙に向けて、各党が公認候補予定者や政策を発表し始めています。「シルバー民主主義」というわかりやすい言葉に悪い形で囚われてしまわずに、各党や公認候補者の主張に耳を傾けながら投票に参加していくこと。そうすることで、都議会議員選挙が若い有権者にとっても、政治に対して意見表明をしていくための機会となることが期待されます。
原口和徳

原口和徳 : 埼玉ローカル・マニフェスト推進ネットワーク事務局

1982年埼玉県熊谷市出身。中央大学大学院公共政策研究科修了。早稲田大学マニフェスト研究所 議会改革調査部会スタッフとして、全国の議会改革の動向調査などを経験したのち、現所属にて市民の立場からのマニフェストの活用、主権者教育などの活動を行っている。

Webサイト : http://blog.canpan.info/slm/

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