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おそロシア。オランダが露を恐れて開票は「機械じゃなくて人の手に任せる」政策を決定!



齋藤 貴
齋藤 貴

Hand of businessman showing a whistle, yellow card and red card
あらゆるものが自動化・機械化される21世紀において、にわかには信じられないニュースが入ってきました。オランダ政府は、政権選択となる下院選挙(3月15日投開票)の開票作業を全て人の手で行うことを決定したというのです。当然、票を数えるという作業も人がやることになります。

日本ではこうした開票作業の多くは既に自動化されています。日本の場合、開票作業は折られた投票用紙を開く作業・票を候補者ごとに分ける作業。票数を数える作業に分かれますが、いずれも自動化・機械化されています。投票用紙を開く作業は、折っても自然に開く投票用紙の導入によって、また、票を候補者ごとに分ける作業は「読取分類機」と呼ばれる機械の導入によって、票数を数える作業は「計数機」と呼ばれる機械の導入によって、それぞれ迅速に行われるようになったのです。

それでは、どうしてこのように自動化・機械化が進む時代において、オランダでは人の手で行うということになったのでしょうか?




背景はロシアの選挙介入疑惑


そもそもの発端は昨年のアメリカの大統領選挙でロシアによる選挙介入が疑惑として持ち上がったことです。この問題は未だに真相が明らかではありませんが、各種報道やCIAの報告によれば、ロシアは昨年6月頃から民主党に対してハッキングを行い、当時民主党候補であったヒラリー・クリントン氏にとって不利な情報が流出するようにしたということです。その結果もあってか、クリントン氏のイメージが傷つき、結果としてクリントン氏はトランプ氏に負けてしまいました。

さらにフランスでも、大統領選の最有力候補であるエマニュエル・マクロン氏の陣営がロシアによるとされるハッキングと偽ニュースが報道された、と訴えました。ハッキングの真相は未だ明らかではないものの、偽ニュースについては、ロシア政府の影響が及ぶロシアの主要メディアによって行われていることから、それなりに説得力を有するものと言えます。こうした問題の結果、マクロン氏はハッキングや偽ニュースが有権者の離反につながらないように、本来必要なかった措置をとらざるを得ない状況に追い込まれているのです。

以上の問題を背景として、オランダでもロシアの介入を不安視する声が大きくなったのです。ロナルド・プラステルク内務大臣はオランダのテレビ局RTLに対して「今やロシアが(オランダ選挙に対して)関心を持ちうる兆候があり、今後の選挙について古き良きペンと紙による投票を用いなければならない」として今回の開票作業を全て手で行うという決定をしました。

しかし、オランダの場合、ロシアの介入だけが問題だったのではありません。そもそも、開票作業に用いるソフトがCDによって配布されるなど、脆弱で時代遅れな状態にあることは従来からオランダのメディアによって指摘されてきました。今回の決定はそもそも存在した不安に応えたものとも言えるでしょう。




正確な開票作業は民主主義への信頼に結びつく アメリカで起きた大騒動


それでは、選挙の開票作業がどうしてここまで問題になるのでしょうか。それは、開票作業の正確さは民主主義への信頼に直結するからです。この点が問題になったのが、2000年のアメリカ大統領選でした。2000年大統領選挙は共和党ジョージ・W・ブッシュ候補と民主党のアル・ゴア候補によって争われました。この大統領選挙は、得票数ではゴア氏が勝ったもののルール上ブッシュ氏が勝つという逆転現象が起きるほどの接戦で、1888年以来のことでした。

さらに、混乱は開票作業でも起きます。上記の接戦のため、最終的な勝敗はフロリダ州でブッシュ氏とゴア氏のどちらが勝つかという一点に絞られました。史上まれにみる大接戦となり、さらに開票の集計作業もドタバタしたことで、最後は裁判所の判断に委ねられることになりました。ここで問題になったのが、機械による集計の際に出た多数の無効票の扱いです。劣勢だったゴア氏の陣営は無効票も含めた再集計を主張しましたが、ブッシュ氏の陣営はその主張に反対しました。結局、裁判でも再集計は事実上否定され、疑念を残したままブッシュ氏の勝利が決定したのです。

その結果ということもあり、ブッシュ政権はここ25年においてトランプ大統領に次いで低い支持率から始スタートしました。また、政府を信頼すると考える人の割合は30%にまで落ち込みました。ブッシュ政権は9.11のテロにより支持率が急上昇しますが、そのような特殊な事件がなければ政権運営で大きなハンディを背負ったことでしょう。

このように、きちんと開票作業が行われるかどうかは、選挙の勝者への支持率はもちろんのこと、政府そのものへの信頼にも直結することなのです。そのため、オランダがここにきて「開票作業を手で行う」という決定を下したのも、その後の民主主義への信頼という点を考えれば、至極真っ当なものと言えるのかもしれません。
齋藤 貴

齋藤 貴

ペンネーム。23歳大学生。大学では政治学を専攻。テレビドラマ『相棒』が大好きです。

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