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費用弁償ってなに?交通費が実費じゃなくて1日1万円貰える、そんな制度がいまだに存在するんです



ひがし みすず
ひがし みすず

20160913

昨年12月、このようなニュースが話題になったのを覚えていますか?
ふるさと納税で財政改善→議員が「費用弁償」復活案→批判殺到(12月16日 The Huffington Post)

ざっくり言うと、

・佐賀県上峰町が「ふるさと納税」を実施
・ふるさと納税が好評を博し、税収増加!やったー!
・町議会議員「その税収を使って費用弁償を復活させよう!
・「はぁ?ふるさと納税で何やってんの?」と批判殺到


という流れになります。

地域の発展や財政再建を祈ってふるさと納税をしたのに、こんな使い道にされちゃたまらん! と納税者を怒らせている「費用弁償」。
このニュースで初めて「費用弁償」という言葉を聞いた方も多いのではないでしょうか?

議員報酬、政務活動費とは別に支払われ、課税もされない”第三の財布”と呼ばれる費用弁償。
そもそもこの制度は何なのか、何のための制度なのか、なぜ炎上したのか、他の自治体ではどうしているのか…
本記事では「費用弁償」のあれこれについてご紹介します。



費用弁償とは、議員に支給される交通費のようなもの


「費用弁償」という言葉について調べてみると、
1. 団体の職員が職務で出張したときに支払われる旅費。
2. 地方議会の議員が議会、委員会などに出席したときに自治体が支払う旅費。金額は条例で定める。
(コトバンクより)

と出てきます。

つまり、費用弁償とは、地方議員が議会に出席した時に支払われる交通費のようなもの。かつて議員が無報酬だった時代や、交通機関が未熟だった時代の名残です。

財政が厳しい数々の自治体で、「身を切る改革」のひとつとして費用弁償の減額や廃止が行われてきました。いくら交通費だといっても、議員さんはみんな議員報酬と政務活動費をもらっていますから、その中で頑張ろう!ということですね。



なぜ上峰町は「交通費」復活で炎上したの?


今回の主役の上峰町も財政難に陥っていた自治体のうちの1つ。2004年に費用弁償を半額まで減額、2007年には中断していました。
さて、そんな上峰町ですが、この状況を打開するために、ふるさと納税で佐賀牛などを振る舞うことにしました。これがなんとも大当たり! 2016年度に寄せられたふるさと納税の総額は11月末時点で20億3000万円を突破しました。すごいですね。

そこで議会が提出した条例案が、中断されていた費用弁償の復活です。税収が増えて財政が改善されたので、我々にもう一度交通費をくださいな! というお願いです。
しかし、この条例案に対して、ふるさと納税者からは不満の声が上げられました。上峰町には12月16日正午時点で77件の苦情が寄せられ、うち3件がふるさと納税をキャンセルしてしまったそうです。

要するに、上峰町議はふるさと納税で増えた税収の一部を自分たちに入るカネにしようとして批判が殺到した、ということです。
なお、同日、上峰町議会は費用弁償復活条例案を撤回しました。



各自治体の費用弁償実施状況は?


民間企業でも交通費は実費支給があるのが一般的ですし、ひとくちに地方議会と言っても、北海道議会など超広範囲から議員が集まる地方議会もあります。費用弁償が交通費にあたるものなのであれば、支給自体はあってもおかしくはないもののように聞こえますよね。
ただ、ポイントは費用弁償の金額は条例で定められるというもの。交通費の実費を支給するところもあれば、そうでないところもあります。
上峰町が復活させようとして批判が起きた費用弁償の金額は、1人1日2000円。
他の自治体ではどのように金額が定められているのでしょうか?

例1. 東京都議会→1日1万円~1万2000円+α!?

今夏に選挙を控えた東京都議会の費用弁償は以下の通り。
東京23区内の議員→1万円
多摩地区の議員→1万2000円
島しょ部の議員→1万円+交通費or宿泊費

繰り返します、こちら、都議会議員の交通費にあたるものです。
島しょ部の議員に至っては1万円にプラスして交通費が支給されるので、交通費というよりも日当と言った方が実態に近いかもしれません。
( ※ 東京23区内であれば、大体の場所から往復1000円かければ電車で都庁に行けます
この高額すぎる(?)費用弁償の減額・廃止については何度か都議会で議題に上がっているものの、見直しは見送りに見送られ、今に至っています。

例2. 大阪府議会→なし

都道府県議会の規模になると、費用弁償を支給している自治体がほとんど。唯一の例外が大阪府議会で、2008年に費用弁償を廃止しました。

例3. 金沢市議会→1日4000円。
(何かあった時の保障らしい)

市議会の規模で見てみるとどうでしょうか。石川県金沢市議会では、議員に対し1日4000円の費用弁償を支給しているそうです。
福田太郎議長によると「通勤中に何かあった場合の保障という意味で費用弁償は必要」とのこと。
金沢市議1人あたりの年間支給額は17万2800円にのぼるそうです。議会の隣に住んでいても何かあった場合の保障で年間17万2800円。手厚い保障ですね。

例4. 川崎市、相模原市、静岡市など→実費

もちろん定額制ではなく、実費を支給している自治体もあります。代表的な自治体は政令都市である川崎市、相模原市、静岡市などです。



費用弁償は時代錯誤?


民間企業では馴染みのない「費用弁償」という制度。条例で高額支給が認められている自治体があることだけでなく、この制度そのものがもはや時代錯誤である、との声も上がっています。民間企業に続くならば、費用弁償が実費精算や廃止方向に向かっているのは自然な流れであると言えます。

更に不思議なのは、「地方議会の議員が行う調査研究その他の活動に必要な経費の一部として支給される費用」である政務活動費で都道府県庁へ来庁するための交通費が落とせないこと。「その他の活動」に議会への参加を含めてしまえば良いのではないでしょうか。ダメなんでしょうか。
一般人は今日も政治の謎制度に首を傾げるばかりです。
ひがし みすず

ひがし みすず

(自称)日本一意識の低い政治ライター。日本女子大学理学部卒業後、紆余曲折を経て選挙ドットコムに拾われました。選挙には毎回行っていますが政治・経済は未履修です。

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