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それでも消えない1月衆議院解散、2月総選挙



児玉 克哉
児玉 克哉

※本記事は「行動する研究者 児玉克哉の希望ストラテジー」の転載となります。記事内容は執筆者個人の知見によるものです。

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年明けの解散はもうなくなった、という記事や情報が飛び交っている。産経新聞は12月14日付で「安倍晋三首相は悩みに悩んだ末、来年1月の衆院解散・総選挙を見送った」と報じている。毎日新聞は12月16日付で「安倍晋三首相が来年1月の衆院解散を見送るとの見方が与党内で強まった」として、来秋以降の解散の可能性が高まったと報じている。


鳴りもの入りといえたプーチン大統領との日露首脳会談は、結局、北方領土返還には触れずじまいであった。失敗とも言えないだろうが、国民の期待は裏切られた感がある。1月20日には米国でトランプ新大統領が誕生し、状況が流動的になる。その重要な時期に解散総選挙はないだろう、という見方もある。トランプ大統領はTPPには参加しないことを明言しており、アベノミクスの一つの目玉のTPP戦略も宙に浮いてしまった。カジノ法案も「ギャンブル」の推進というイメージがあり、どちらかといえば不評だ。東京都の状況も不安定で、イケイケどんどんという雰囲気は全くない。安倍政権への高かった支持率もやや下がり気味だ。こうしたことから、安倍首相は衆議院1月解散を見送ったという情報が飛び交ったのである。


しかし、こうした情報自体が怪しい。衆議院解散総選挙は首相が主導権を握るものだ。ある一定のサプライズを持って、野党が対応できない状態で、一気に解散するのが効果がある。実際に現在は、衆議院は自民党が圧倒的多数を誇っている。特に重要な小選挙区においては、ほとんどの選挙区に現職がいる状態だ。現職には秘書も多くついているし、活動費も潤沢だ。現職議員はいつ解散となってもいい状態である。しかし、議席のない候補予定者は、限られてた資金、限られた人材で、選挙の日程を想定して準備を進めなければならない。安倍政権からすれば、選挙日程をぼやかすほど有利になる構図だ。選挙区によっては民進党はまだ候補者が決まっていないところもある。また共産党などとの選挙協力を含めた調整はまだまだできていない。どこまで野党連携をするのかも、政党や人、団体でかなり異なる状態だ。民進党の支持母体の連合は、共産党との連携に前向きとは言えない。つまり調整には時間がかかるのだ。この年末年始はこうした「調整」をするのに重要な期間といえるが、「1月解散見送り説」が飛び交うと、本気では対応できにくいのだ。私は、本当の「1月解散見送り説」ではなく、「1月解散見送り説」の戦略的流布の可能性も高いと考えている。


実際に、この1月解散を見送ると、自民党にとっては次の選挙はもっと大変になりそうだ。


1)衆院選一票の格差是正のための新区割り案(0増6減)が5月に出てくる。つまり1月解散を見送ると、新区割り案で総選挙をしなければならなくなる。この区割り調整で最もダメージを受けるのは自民党である。2人の現職をどちらかを選択しなければならない。その調整も大変だ。選挙区と比例とに分けるというところもでるだろうが、それで自民党の比例の議席が増えるわけではない。つまり、自民党は当選者数を減らす可能性が高くなる。6議席は衆議院で改憲勢力が3分の2を維持するのに非常に重要な議席数になる。


2)6月には東京都議選がある。公明党は都議選と衆議院選はできるだけ離してほしい言っている。つまり4月解散や5月解散はまずないことになる。やるなら1月しかないのだ。それを過ぎれば、10月以降になるのだろうが、ますます不確定要素がでてくる。都議選で都議会自民党は大敗となる可能性がある。そのマイナスの雰囲気を背負って衆議院選に臨むのは大きなリスクだ。


3)トランプ効果はプラスにもマイナスにもなる。どのようになるか、分からない。1月解散であれば、まだ状況が不明のままに選挙となる。安倍ートランプ会談が大統領就任すぐに予定されており、期待のある状態で総選挙に臨むことになる。しかしこれが秋以降となるなら、予期しないマイナスが出る可能性がある。リスク回避という点からも、1月解散の方が可能性がある。


4)低い民進党支持率も重要なポイントだ。これまでの安倍自民の選挙でも、決して自民党が強い支持を受けていると言う感じはない。しかし、小選挙区制のもとでは、相手の支持がさらに低ければ大勝するのだ。蓮舫民進党代表は二重国籍問題もあり、批判の声も強く受けている。民進党の支持率も低いままだ。蓮舫代表のもとでの総選挙であれば、自民党は大勝できるだろうという計算ができる。蓮舫代表の後の新たな顔の民進党よりも戦いやすいだろうという見方がある。


5)自民党にとって打撃となりうるのが、維新と小池新党の合体した新勢力だ。改革型保守は支持を集めやすい状況である。自民党に強い支持があるわけではないが、他に選択肢がない、という人は少なくない。それが改革保守の新勢力が生まれるなら、かなりの議席をとりそうだ。維新と小池新党が一緒になるなら、民進党に匹敵する政党が誕生する可能性がある。野党というべきか「ゆとう」というべきか。都議会選挙までは小池知事は国政での勝負はかけないだろう。自民党を敵に回すのではなく、都議会自民党の分裂を図るはずだ。秋以降になると、小池塾の塾生経験者の数も多くなる。4000人の塾生の中で選挙に出たい人が3000人いるとさえ言われる。維新・小池新党は政界図を塗り替える可能性がある。


6)日本の景気も決して良くはない。アベノミクスは「成功」と言われたが、この1年は足踏み状態だ。中国経済の停滞がさらに予想される。韓国経済も厳しそうだ。これは日本経済にもマイナスに働く。つまり、来秋や2018年の春はさらに景気が厳しい可能性がある。待てば、景気が上がる、という状況なら解散を先延ばしにすることもオプションだが、残念ながら景気が上がる可能性の方が低い。


このように考えると、かなりの確率で1月解散だ。予算への悪影響を最小限にしなければならない。1月招集の通常国会で、すぐに第3次補正予算案を可決し、対応できるようにして、一気に解散となるのではないか。できるだけ早い選挙を目指すだろうから、とはいえ、選挙までの時間はある程度は必要だ。1月20日解散、1月31日公示、2月12日選挙が最短の日程になる。少し余裕を持って2月19日選挙が最もありえる。しかし、予算への影響を少しでも軽くしたいことから、2月12日に一気に進む可能性も捨てきれない。

※本記事は「行動する研究者 児玉克哉の希望ストラテジー」の転載となります。オリジナル記事をご覧になりたい方はこちらからご確認ください。
児玉 克哉

児玉 克哉

三重大学副学長・人文学部教授を経て現職。トルコ・サカリヤ大学客員教授、愛知大学国際問題研究所客員研究員。専門は地域社会学、市民社会論、国際社会論、マーケティング調査など。公開討論会を勧めるリンカーン・フォーラム事務局長を務め、開かれた政治文化の形成に努力している。「ヒロシマ・ナガサキプロセス」や「志産志消」などを提案し、行動する研究者として活動をしている。2012年にインドの非暴力国際平和協会より非暴力国際平和賞を受賞。連絡先:kodama2015@hi3.enjoy.ne.jp

Webサイト : http://blog.livedoor.jp/cdim/

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