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金ないのに戦争するし、金集めようとした経済政策も失敗した仏オランド大統領の失策3選



齋藤 貴
齋藤 貴



フランスのフランソワ・オランド大統領は、2017年に行われる大統領選に出馬しないことを今月1日に表明しました。不出馬を語った際に、オランド氏は「仮に出馬しても十分な支持を得られないリスクを認識している」と述べ、自身の苦境を認めています。

大統領選挙に立候補せずに2期目をあきらめるのは、フランスが現在の政治体制になって初めてのことです。かつて、2012年に改革派の旗手として華々しく登場したオランド氏がどうして、再選を目指すことすらできずに終わってしまうのでしょうか。3つの事件をヒントに考えたいと思います。
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1 公約の富裕層増税や経済再建に失敗


2012年の大統領選でオランド大統領は、富裕層の所得税の上限を約2倍に増税することや財政出動を通じた経済再建を主張していました。しかし、富裕層が外国籍を取得することで課税を逃れようとする「国外脱出」が相次いだほか、経済界との摩擦が広がることで経済再建にも悪影響を与え、かつ増税に対して違憲判決が下ったことで、富裕層増税は大きく失敗してしまいます。

そして、増税自体が制限されたことにより、当然経済再建戦略にも悪影響が出てしまいました。2012年の選挙の時点でも前サルコジ政権の経済政策への不満が高まっていたにも関わらず、オランド大統領が就任してからはさらに経済状態は悪化しました。
アメリカではGDP成長率が年2%台で推移していたのに対して、フランスは年1%台。フランスの有権者の不満が高まっても仕方ないでしょう。

 

 

2 戦争への介入により身内からの批判


オランド政権は、2013年1月にアフリカ西部のマリに石油資源の安定供給を目的として、欧州諸国の支持を得て単独で軍事介入を始めました。西アフリカ諸国の軍事力が十分でないことから派兵が2,500人規模に拡大したほか、介入が遠因となってアルジェリアで人質事件が発生し、フランス人も犠牲になるなど、戦争は期待通りに進みませんでした。

しかも、マリからの撤退のめどが立たないまま、3月にはクーデターが発生した旧植民地の中央アフリカにも資源権益の確保を目的として介入することに。この介入については、権益確保の目的が色濃かったことから欧州諸国の積極的な支持すらなく、先行きの見えないものでした

この一連の介入政策は、財政赤字や経済停滞の中で行われたことであり、フランスの有権者からの批判を一身に浴びることとなりました。とりわけ、自国の権益確保を目的とした軍事介入は社会党の伝統的な政策からは遠くかけ離れたものであり、支持者から強く批判を浴びました。

 

 

3 テロ後の反移民政策への支持者からの反発


2015年11月に起きたパリ同時テロののち、テロリストの流入を恐れた反難民の動きが強まりました
オランド政権はテロへの対策の一環として、テロ関連の罪を犯した重国籍者からフランス国籍をはく奪できる規定を憲法に盛り込むことを議会に提案しました。この憲法改正案は下院を通過したものの、社会党の287人のうち83人が、野党共和党では196人のうち74人が反対票を投じるなど、人権に強くかかわるために党派を超えて賛否が分かれました
とりわけ、政権内のトビラ法相がこの改正に反対して辞任するなど、オランド政権は党内からも強く批判を浴びる結果に。結局、上院での可決の目途が立たなかったことから、オランド政権は2016年3月末に憲法改正を断念します。この事件によって、社会党支持者が離反したほか、「強い大統領」を求める一般の有権者も離れていってしまいました。

オランド政権は、富裕層増税失敗、戦争への介入、反移民政策と、本来のオランド氏のスタンスからはかけ離れた政策を実行してきました。今回の大統領選撤退は、こうした政策の結果、支持基盤である社会党支持者からの支持を失ったほか、一般の有権者からの支持も失った結果支持率が低迷したことでもたらされたものです。
そして、オランド政権への不信は社会党全体への不信にもつながってしまいました。来年の大統領選では社会党の不利を伝える報道が続いています。果たして社会党は党を立て直せるのでしょうか。
齋藤 貴

齋藤 貴

ペンネーム。23歳大学生。大学では政治学を専攻。テレビドラマ『相棒』が大好きです。

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