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少子化対策、最高の一手は”日本の総ホワイト企業化”だ!働き方改革のポイント解説

2016/9/30

板橋 直也

板橋 直也

「一億総活躍国民会議の目玉は働き方改革。」——安倍晋三

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(出典:朝日新聞デジタル)

政府は「1億総活躍国民会議」を開き、今後10年の施策をまとめた「ニッポン1億総活躍プラン」の案を示しました。本会議で安倍首相は「アベノミクス新三本の矢」に共通する課題として「働き方改革」最重視の姿勢を強調し、同一労働同一賃金の実現、長時間労働の是正に踏み込むことを明言しました。安倍首相は今回の内閣改造人事で、「働き方改革」を担う特命担当相を新設しており、その本気度がうかがえます。
その必要性が叫ばれながらも、今まで具体的な政策として着手される事がなかった同一賃金同一労働と長時間労働是正、これらの改革は社会をどのように変えるのでしょうか。
今回は長時間労働の是正にスポットを当て、政府が長時間労働是正に踏み出す理由、具体的に着手されるとみられる法制度改革に注目しながら、改革によって私たちの働き方はどのように変化するのかをみていきます。

 

 

 「東日本大震災の翌年、出生率上昇」少子化対策としての長時間労働是正

現在、日本が抱える最重要課題といえる少子化。長時間労働の是正が、少子化対策に絶大な効果を発揮することが様々なデータから証明されています。
1つの興味深いデータが2011年末から2012年にかけての出生率の上昇です。2012年は16年ぶりに出生率が1.4を超えた事が話題になりました。
この出生率上昇には様々な要因が考えられますが、その中の1つとして前年3月に発生した東日本大震災があげられます。
東日本大震災が起きた年の12月、東京では出産ラッシュで産院の予約が取れない事態が発生しました。そのころ生まれた子どもは、ちょうど震災直後にできた子ども。節電の問題や電車の運行も不安定だったことから、企業から自宅待機や早退が命じられた時期にあたります。つまり、単純に男女が同時に家にいる時間が増えるだけで、子どもが増えたのです。嘘のような話ですが、これを裏付けるデータが下にあります。

下表は、厚生労働省が発表している都道府県別の出生率と男性の平均就業時間の相関を表していますが、労働時間の短い県ほど高い出生率を記録していることがわかります。

(出典:厚生労働省 統計データで見た少子高齢社会の調査研究結果について)

(出典:厚生労働省 統計データで見た少子高齢社会の調査研究結果について)

※数字は下記各都道府県と対応
01 北 海 道 02 青 森 県 03 岩 手 県 04 宮 城 県 05 秋 田 県 06 山 形 県 07 福 島 県
08 茨 城 県 09 栃 木 県 10 群 馬 県 11 埼 玉 県 12 千 葉 県 13 東 京 都 14 神奈川県 15 新 潟 県 16 富 山 県 17 石 川 県 18 福 井 県 19 山 梨 県 20 長 野 県 21 岐 阜 県 22 静 岡 県 23 愛 知 県 24 三 重 県 25 滋 賀 県 26 京 都 府 27 大 阪 府 28 兵 庫 県 29 奈 良 県 30 和歌山県 31 鳥 取 県 32 島 根 県 33 岡 山 県 34 広 島 県 35 山 口 県 36 徳 島 県 37 香 川 県 38 愛 媛 県 39 高 知 県 40 福 岡 県 41 佐 賀 県 42 長 崎 県 43 熊 本 県 44 大 分 県 45 宮 崎 県 46 鹿児島県 47 沖 縄 県

 

また第1子が6歳になるまでの間に、夫が家事や育児にどれだけ参加するかで、第2子の出生率が変わるという関係も明らかになっています。

(出典:厚生労働省「第9回21世紀成年者縦断調査」)

(出典:厚生労働省「第9回21世紀成年者縦断調査」)

夫の週末の家事・育児時間がゼロ時間だった家庭で、第2子が生まれているのは約1割。一方で夫が週末に6時間以上家事・育児に関わる家庭では、7割近くが第2子に恵まれています。

 

 

OECD34ヶ国中、20位の時間あたり労働生産性

2014年に公益財団法人日本生産性本部が発表した調査結果では、日本の時間あたり生産性は4,272円とOECD34ヶ国中20位と低く、1位のノルウェーとは2倍以上の差がつけられています。調査結果では、日本と異なり厳格に時間外労働の制限がなされているEU諸国(週の労働時間は時間外労働を含めて48時間が上限)が軒並み上位にランクしており、労働時間と労働生産性の相関が明らかになっています。日本では戦後復興のために、ある程度労働生産性を犠牲にしつつも長時間労働によって生産力をまかない、現在の経済力を身につけてきた背景があります。そのため、日本の時間外労働の手当は意図的に他の先進国より低く設定されています。(日本は25%以上に対し、アメリカ・イギリス・フランス・ドイツ・韓国は50%)

(出典:第2回経済の好循環実現検討専門チーム 事務局提出資料)

(出典:第2回経済の好循環実現検討専門チーム 事務局提出資料)

しかし、もちろん現在の日本社会は、戦後のいわば例外的な非常体制を脱却しています。成熟した今の社会状況ではEU諸国のような「時間あたり生産性」を意識した、規模よりも利益を重視する考え方にシフトする必要があるのかもしれません。

 

 

 長時間労働の主因、「三六(さぶろく)協定」

具体的な法制度の話にも触れておきましょう。日本の長時間労働を可能にしているのは労働法36条に規定されている、通称「三六(さぶろく)協定」です。
三六協定では、残業時間は「月45時間」などの上限があります。しかし特別な事情で仕事量が急激に増えた場合には特別条項で残業時間の上限をなくす事ができる、つまり、労使双方の合意さえあれば、労働基準法で定めた時間外労働の上限を無効にすることができる協定です。
政府与党内では、残業時間の上限に関し、過労死のリスクが高まる「月80時間」をどこまで下げられるかを焦点とされており、「60〜70時間」や「45時間」といった案も浮上しています。さらに、実効性を担保するため罰則も設ける方針です。
業務によっては適用除外も認められる見通しですが、上限の設定値によっては業務体制を大幅に変えざるを得ない企業も多いでしょう。
企業関係者、特に経営者は「三六協定」に関する政府の協議に是非注目してください。

 

 

大介護社会へ突入。個人として、できることは?

一方で「長時間労働をいとわずに会社に貢献したい」という声も多くあると思います。
しかし、もうすぐ団塊の世代が70代に突入、また共働き世帯は年々増加しており、「誰かの介護をしながら働く」「子育てしながら働く」といった時間制約付き社員が当たり前の社会になります。残業するのが前提の働き方は続けられなくなる日は近いでしょう。
上記の通り、政府の決定が施行されれば、現在行っている残業時間の確保が難しくなる可能性もあります。
管理職を中心に「時間あたり生産性」を意識して働くことで、変化に対応し得る働き方を実現していく必要があります。

 

 

少子化問題の本質へ

安倍首相は今まで、子育て世代に向けて保育所や小規模保育などを整備し、40万人分の保育の受け皿をつくる方針を打ち出してきました。少子化対策の主は保育の受け皿を増やす事でした。共働き世代が増えている現在、もちろん保育の受け皿を作ることはとても重要です。しかし、今回参照したデータは明白に夫婦が共に家事育児を行う事の重要性を示しています。
ついに動き出した政府が打ち出す「働き方改革」。これが日本社会を今後どのように変えていくのか、今後も注目です。

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板橋 直也

板橋 直也

選挙ドットコムインターン。上智大学法学部国際関係法学科4年生。3年次には社会保障法を専攻し、主に障害者雇用を学ぶ。4年次からは商法に専攻を移し、企業CSRの観点から、企業経営と社会の持続可能な関係について研究。 学外では、東北の被災地支援を中心に活動。

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