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富山市議会にみる政務活動費の使い方の異常からみる領収書の意味



猪野 亨
猪野 亨

辞表

富山市議会では、市議会議員の政務活動費の使い方が異常で、既に9人の市議が辞職しています。
白紙の領収書を使って政務活動費の支出先を誤魔化したというのですが、手口自体は古典的です。
<富山市議会>政活費執行率2年連続全国一 113議会調査」(毎日新聞2016年9月23日)
「全国の都道府県と政令市・中核市の計113議会(横須賀市議会は未回答)のうち、富山市議会のみが交付額を全額使い切っていたことが23日、全国市民オンブズマン連絡会議(事務局・名古屋市)のまとめで分かった。」

白紙の領収書に金額を書き込めば、それが現金に代わるという仕組みですが、自営業者では「節税」(実質は脱税)のために用いられたりもします。
本来は、その領収書によって支出先を確認、証明するという意味があるのですが、全くそのようにはなっていません。
白紙の領収書を出した相手は、その領収額が売上になりますが、もちろん架空ですから、そのまま売上に計上すればそれだけ所得税などの負担が大きくなりますから、そのようなことはしていないでしょう。
他に領収書を出さないで済むところ(本来はアウト)で調整しているのかもしれませんし、そもそも売上にも計上していないのかもしれません。領収書といっても控えの残らないものであれば、それも可能です。

 

 

 

打ち出の小槌のような領収書


しかし、こうなると領収書のもつ証明力というものが怪しくなります。
裁判でも、損害の立証のために証拠として領収書が提出されますが、本当に支出されたんだろうかと疑問に思うことも少なくありません。
その領収書名義の業者と口裏を合わせて作成されたのではないかということですが、仮にその業者に確認を取ったとしても、結託しているのであれば正規に出した領収書だという回答しか返ってこないでしょう。

先般、保険金詐欺事件で検察庁の不起訴処分に対し、検察審査会が不起訴不当決議をしました。
休業損害金詐欺「不起訴」は不当 神戸検審が議決」(神戸新聞2016年9月17日)
「議決によると、男性は2014年12月に交通事故で負傷。15年1、2月、居酒屋での勤務実態がないのに計約40日間休業したなどとする証明書を保険会社に提出し、計約29万円の交付を受けた。」

ここでは領収書ではありませんが、「証明書」が問題とされています。
勤務実態が真実なかったとすれば、その居酒屋が虚偽の証明書を出したことになります。
この事件の実態はもちろんわかりません。ただ証明書という書類によって休業損害を証明しようという構図は同じです。
領収書も証明書も虚偽ではないことを前提に世の中は動いていますが、ある意味では簡単に虚偽の領収書などが作成されているという現実もあります。

発行元を調査するといっても公権力以外には調査は不可能であり、領収書などの悪用を防ぐのは困難なのが現実ですし、発行元をみて判断していくほかないものです。
その意味では、富山市議の政務活動費の支出を裏付ける領収書は、見るからに怪しい体裁だったのでしょう。協力する方も同罪です。
不正請求や脱税など、不正が蔓延りやすいことだけは確かです。

※本記事は「弁護士 猪野 亨のブログ」の9月24日の記事の転載となります。オリジナル記事をご覧になりたい方はこちらからご確認ください。
猪野 亨

猪野 亨

1968年生まれ/1992年北海道大学法学部卒業/1998年弁護士登録/2000年いの法律事務所開設 司法改革から政治経済、世界情勢にいたるまで幅広く意見を発信している。 法科大学院の廃止、弁護士人口激増の阻止、裁判員制度の廃止へ向け精力的に活動中。

Webサイト : http://inotoru.blog.fc2.com/

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