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日本の投票率をあげるにはコレだ!海外の事例から学ぶ、投票の義務化



板橋 直也
板橋 直也

手錠世界には投票が義務となっている国が存在することはご存知でしょうか。
アメリカ中央情報局(CIA)の調査によれば、選挙の投票が有権者に義務づけられている国は21カ国あり、そのうち11カ国が中南米に集中しています。
投票が義務づけられている国では、毎回の選挙で70%以上の投票率を記録し、オーストラリアなどでは投票率は90%に及びます。
日本で今年夏行われた参院選投票率54.7%と比べると非常に高い投票率となっていることがわかりますね。
国民の政治的関心が低いといわれる日本でも、一部の有識者からたびたび議題にあげられる義務投票制。今回は、義務投票制が日本の選挙投票率をあげる一助になりうるのかという視点を片隅に持ちながら、ブラジルの選挙事情についてみていきたいと思います。

 

 

 ブラジルでは受刑者も投票の義務あり?!棄権は最大1,100円の罰金


ブラジルでは、18歳〜70歳の国民に投票義務があり、海外にいるブラジル国民はもちろん、受刑者も投票に行かなければなりません。
病気などのやむを得ない事情を除き、棄権した場合には最大35レアル(約1,100円)の罰金を払うことになります。
さらに罰金が3回続くと有権者番号が剥奪され、身分証明書やパスポートを発行してもらえなくなります。そうなった場合、銀行で金を借りられなくなる、公立大学に入学できなくなるなど、社会的に大きな不利益を被る事になるのです。
ここで注意が必要なのが、義務投票制の国の中にも、投票しないことでの罰則が厳しい国、比較的緩い国、そもそも罰則がない国が存在します。罰則が厳しい国の代表は北朝鮮。投票に行かなかった場合、投獄されるケースもあります。ブラジルは義務投票の国ながら、罰則が比較的緩い国にあたります。

 

 

 

 ヨーロッパからの独立のために義務化


ブラジルで投票の義務が定められたのは1932年。
投票が義務化された理由には諸説ありますが、当時の大統領が制限選挙の下、実質的に裕福な白人男性に限られていた投票権を拡大することで、自身の選挙が有利になると見込んで制度を変えたという説が有力です。中南米で義務投票制をとっている国が多くあるのは、ヨーロッパの支配から独立を果たす過程で中間層以下の投票を必要としたという経緯があると考えられます。

 

 

 投票の義務化は政治的関心を促す上で効果があるのか?


投票が義務となっている国では、投票しないことによる罰則の有無に関係なく投票率が総じて高くなる傾向にあります。その点において、投票の義務化は国民の政治参加を促す上で有効な策と言えそうです。
しかし、投票の義務化には大きな弊害があります。政治に関心のない人にも投票させるため、ブラジルでは票の売買が後を絶ちません。選挙違反を防ぐため、投票日が近づくと銀行の現金自動受払機(ATM)が利用禁止になる地域もあるほどです。
また、投票に行く事がそのまま国民の政治的関心の高さを表しているかという点にも当然疑問が残ります。毎日新聞サンパウロ支局の調査では、2010年のブラジル連邦会議選からわずか1カ月後、有権者の2割が誰に投票したか覚えていないことが分かりました。

 

 

日本でも投票が義務化される可能性はあるのか


現状、日本で義務投票制が実現される可能性は低いでしょう。
たしかに、義務投票制によって投票率は上昇するかもしれませんが、投票率をあげる事は「公正な民主主義」を達成するための手段であって、目的ではないということが理由の1つにあります。また、投票を義務化することは、「投票する自由」の裏返しである「投票しない自由」に違反するのではないかとの懸念もあります。

 

 

 投票義務のブラジル


今回は、日本とは異なる制度「義務投票制」の下で選挙を行うブラジルの選挙事情をご紹介しました。投票率上昇に有効な策となり得る義務投票制も、各国それぞれの状況があり、単純に取り入れる事は容易ではありません。しかし、他国の選挙制度を知る事は日本の選挙を考える上で、とても有益です。これをきっかけに自分が行った事のある国の選挙制度を調べてみるのも面白いかもしれません。
板橋 直也

板橋 直也

選挙ドットコムインターン。上智大学法学部国際関係法学科4年生。3年次には社会保障法を専攻し、主に障害者雇用を学ぶ。4年次からは商法に専攻を移し、企業CSRの観点から、企業経営と社会の持続可能な関係について研究。 学外では、東北の被災地支援を中心に活動。

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