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鳥越氏が1位、小池氏は3位だったはずが… 情勢調査の変遷から見えた与野党候補の敗因



選挙ドットコム編集部
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異例づくめ、波乱づくめだった東京都知事選が終わりました。ふたを開ければ自民党を飛び出して立候補した小池百合子氏が、組織力に勝る与野党候補を突き放して圧勝。新たな首都の顔となりました。政党が秘密裏に行っていた情勢調査の「数字の変遷」を見ると、小池氏の勝因、与野党候補の敗因が見えてきます。
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嵐桜井パパ・蓮舫・石田純一。上がっては消えていった名前


「公私混同疑惑」の追及を受けた舛添要一前知事が唐突に辞意を表明したのが6月15日。参院選の告示が一週間後に迫っている中で、与野党は慌ただしく候補者選定を始めました。
当初、名前が挙がったのは与党ではアイドルグループ「嵐」のメンバーの父親として知られる桜井俊前総務次官、野党では参院選で改選を迎える蓮舫氏でした。いずれも政治・行政経験が豊富で、なおかつ知名度が高く「情勢調査で支持が多い」という理由でした。
桜井、蓮舫両氏が固辞し、各政党の対応が定まらない中でいち早く動いたのは当初から本命の一人とみられていた自民党衆院議員の小池氏。6月29日に記者会見を開いて出馬の意向を表明、自民党に推薦するよう求めました。
しかし、小池氏は元々、安倍官邸の受けが良くなかったことに加え、事前調整なしに出馬を表明したことで自民党の東京都連が態度を硬化させました。自民党は桜井氏に代わり、第一次安倍政権で総務相を務めた元建設官僚、岩手県知事の増田寛也氏に出馬を要請。増田氏は参院選翌日の7月11日、正式に立候補を表明しました

一方の野党では民進党の長島昭久衆院議員や宇都宮健児元日弁連会長ら様々な名前が取りざたされていましたが、公示直前に俳優の石田純一氏の名前が急浮上します。当の石田氏も記者会見で「野党統一候補なら立候補したい」と前向きな姿勢を示しました。
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ただ、政治・行政の経験がない石田氏には否定的な声も多く、スポンサー企業との関係も取りざたされました。結果的に石田氏も立候補を断念。民進党東京都連は元総務官僚の古賀茂明氏に候補を絞り込みましたが、土壇場になって知名度の高いジャーナリストの鳥越俊太郎氏が名乗りを挙げたため、民進党本部が頭ごなしに擁立を決めました。
史上最多の21人が立候補した都知事選ですが、保守系無党派の小池氏、自公推薦の増田氏、野党統一候補の鳥越氏による三つ巴の戦いとなったのです。

 

 

保守分裂で、鳥越氏は34万票差で圧倒的有利だったはず


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当サイトでも取り上げましたが、各政党の“基礎票”だけを考えれば鳥越氏が有利でした。参院選で東京都内の比例票を分析すると、自民、公明両党への票は合計206万票。民進、共産、社民、生活の野党4党への票は合計240万で、与党が分裂したことを考えれば鳥越氏が最も都知事の椅子に近かったのです。
実際に構図が固まった前後に自民党の東京都連が行った情勢調査では鳥越氏が28%、増田氏が24%、小池氏が16%。鳥越氏が首位、小池氏は最下位との結果だったのです。
ところが、告示直後には同じ調査で小池氏がトップに躍り出て2位が鳥越氏、3位が増田氏となります。さらに終盤になると小池氏32%、増田氏16%、鳥越氏14%となり、小池氏が勢いを増す一方、増田氏は伸び悩み、鳥越氏はずるずると支持を失いました。

鳥越氏は敗戦の弁で、週刊誌による女性スキャンダル報道の影響を指摘しました。確かに影響がまったくなかったとはいえませんが、週刊文春が最初に報じたのは7月21日。その時点ではすでに情勢調査では小池氏に抜かれていたのです。
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それよりも大きかったのは鳥越氏の「知事としての適性」でしょう。ジャーナリストとして立派な功績を残し、見た目もダンディーな鳥越氏ですが、画面越しで話す鳥越氏はあまりにも元気がないように見えました。年齢やガンを克服したことなど関係なく、今の鳥越氏が知事の激務をこなせるとは到底思えませんでした。
さらに、「原発」や「憲法」など都政とは関係のない政策課題ばかりを持ち出し、演説で「当初、都政の知識が十分ではなかったが、51年報道の現場でやってきた。3日あれば大丈夫」と言ってのけたのには驚きました。「政治をバカにしている」と思ったのは人もいるでしょう。支持率がズルズル下がっていったのも納得がいきます。

 

 

知名度不足は言い訳に過ぎない?


増田氏の敗因については多くのマスコミが「知名度不足」を挙げていますが、それにも疑問があります。全国の注目が集まり、いわゆる「劇場型選挙」となった今回の選挙は各メディアに連日取り上げられ、「増田」という名前はかなり広まったからです。
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テレビに連日映る増田氏は常に自民党議員にべったりで、とても自ら主導して都政を改革できる人物には見えませんでした。石原慎太郎元知事らが決起集会で小池氏の悪口を並べ立てたのを黙ってみていたのも心証を悪くしました。
増田氏は演説で待機児童対策などを訴え「実務型」であることをアピールしましたが、待機児童対策など全候補が言っていることであり、それだけでは差別化できません。都民は細かい政策よりも、首都を引っ張るリーダー足りうるかどうかを見極めていたのです。
一方、キャスター出身の小池氏は上手くマスコミを使いました。ニュースやワイドショーで取り上げられることを意識して発信し、「政党にいじめられる、かわいそうな小池」という図式を作り上げました。自民党都連の「ドン」と言われる都議を「仮想敵」に仕上げるあたりは、かつて師事した小泉純一郎元首相の手法そっくりです。
いったん上昇気流に乗ってしまえば、「勝ち馬」現象で票が増えていくというのが首長選挙の特徴。告示直後に一気に首位に躍り出た後は、安定した戦いを繰り広げました。安倍晋三首相でさえ、小池氏優位の情勢を聞いて増田氏の応援演説を取りやめたほどです。

 

 

都知事選の裏では、都議会議員補選は自民が全勝


今回の選挙でもう一つはっきりしたのは、「議員選挙」と「首長選挙」が大きく違うということです。知事選と同時に行われた都議補選は自民党が4議席を独占。新宿区では小池氏の元秘書が無所属で立候補しましたが、自民、民進に次いで3位にとどまりました。
有権者の多くは国政も含めた議員選挙では「政党」を重視するものの、首長選挙では政党だけでなく、人物本位で投票するのです。政党を前面に出して戦い、敗れた与野党は首長選挙の戦い方を考え直す必要があるかもしれません。
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