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最新事例から学ぶ、主権者教育を成功させるために必要な3つの約束

2016/7/3

選挙ドットコム編集部

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主権者教育って、これでいいの?

18歳選挙権解禁後の初めての国政選挙を前にして、学校での主権者教育の必要性が唱えられています。文科省は6月13日、調査対称の6,322校のうち94.4%の高校が3年以上の生徒に主権者教育を行っているとの調査結果を発表しました。高校の授業内での主権者教育は確実に広まっているようです。
一方で先生方の中には、
・「とりあえず選挙についての授業やったけど、これでいいのか」
・「授業に対する生徒の反応がいまいちだった」
というような思いを抱える方が少なからずいらっしゃるのではないでしょうか。今回はそんな悩みを解消する糸口を探りながら、主権者教育において重要な要素は何なのか考えていこうと思います。

 

事例①票育授業プログラム

票育

出典:NPO法人僕らの一歩が日本を変える。票育オフィシャルサイト

まずご紹介するのは、NPO法人「僕らの一歩が日本を変える。」主催の「票育授業プログラム」。
「票育」は実施地域の22歳以下の学生が行う授業プログラムで、課題解決のプロセスを体験できる授業や模擬投票の授業を、実施地域の特徴や学校の希望に沿った形で行います。
模擬投票の授業の1つのケースでは以下の様な流れで行われます。
①高校生が自分たちの暮らす地域の課題を理解し、
②学生ボランティアが演じる候補者それぞれの政策を聞き、
③候補者の政策について学生間で議論を行い、
④選挙管理委員会提供の実際の投票用紙に投票し、候補を選ぶ。

この事例の特筆すべき点として、
・【政治的中立】架空の候補者への模擬投票であり、特定の考えに偏った内容でない点
・【課題発見・解決のプロセス】模擬投票にも関わらず実践感は全く失わず、知る→議論する(考える)→決断するというプロセスを体験できる点
・【リアリティ】自らが住む地域に根付いた問題を扱っている事、選挙管理委員会のサポートにより実際の投票用紙を使用している点
があげられます。
この事例は主権者教育の授業を外部団体に委託する場合のものですが、委託せずに取り組む際にも参考にできる点が多いと思います。
→票育について詳しくはこちらから

 

事例②大田区「民泊」についての政策提案(東京都立雪谷高等学校)

これは東京都立雪谷高等学校で公民の授業内で計5日間、5時限に渡り実際に行われた事例です。

①第1時限

授業は「民泊」に関するこの問いかけから始まります。
大田区は、マンションなどの空き部屋をホテルとして活用できる条例案を正式提案する。「民泊」を制度化することで、東京五輪に向け、観光客の増加による羽田空港周辺のホテル不足緩和がねらい。大田区で民泊を認めるべきか?
生徒はこの問いを踏まえた上で予め資料として用意された民泊についての基本情報、それぞれの利害関係者の主張を確認します。

②第2・3時限

第2時限は、個人で主張を考えた後、6人の班で話し合い、1つの結論を導きます。話し合いの際には、他者の考えを聞いた上での新たな気づきをそれぞれが紙に書き出し、その上でみんなが納得できる政策のアイデアを考えることを宿題とします。
第3時限は、宿題のアイデアをもとに各班の政策を決定します。その際には提案内容と手段はもちろん、予算・財源まで話し合いで決めます。

③   第4・5時限

各班の政策討論会と投票を行います。投票は東京都の選挙管理委員会に協力を要請し行います。選挙によってクラスの中で最も支持を得た政策を全員でさらに具体化し、大田区区長政策室に実際に送ります。

この事例の参考にすべき点として、
・【リアリティ】実際に問題となっているトピックを題材にした点
・【最善策を考えるプロセス】異なる人の主張を聞いた上でより良い解を探るプロセスを体験できる点
が言えると考えます。

 

2つの最新事例から見る、主権者教育の3つのポイント

事例から見えてきた主権者教育に必要な3つのポイントをまとめると、
・【リアリティ】政治的中立を守った上で、いかに実社会に近い内容にできるか
・【課題解決のプロセス】「知る→考える→決断する」というプロセスをおって課題解決までたどり着く体験を組み込めるか
・【情報収集】授業の外で応用できるように、決断の一歩目となる情報収集のやり方を身につけられる内容か
この3点が言えるのではないでしょうか。
主権者教育では、授業内で生徒が楽しみながら課題解決のプロセスを学べることはもちろん、それを実社会にスムーズに応用できるような構成となっていることがとても重要だと考えます。
投票年齢が18歳に引き下げられ、各政党や各団体は若者のリテラシーを高めるため、必死にPR活動を行っており、一定の効果をあげています。しかし、まず何よりも大切なのは、同世代と一緒に考え、議論し、学ぶ学校での主権者教育ではないかと考えます。
この記事が、教育現場をはじめとする主権者教育に関わる方にとって、今後の教育を考える際の一助となれば幸いです。

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