幸せが少なくて、すぐに病む日本—「18歳選挙権」をリードする ぺことりゅうちぇるの独占インタビュー(後編)
—前半「日本をハッピーにする政治家が、幸せそうに見えない」はこちらから
テレビに出てわかった、日本社会の暗さ

(「今の日本はネガティブ」と語る二人)
——お二人から見て、今の社会ってどんな雰囲気だと思いますか?
ぺこ 90年代の話を聞くと、なんだかみんな明るくて楽しそうですよね。それに比べたら今って勢いがないのかな、とは思います。
りゅうちぇる 僕は、テレビに出させていただくようになってから、「もしかして日本って暗いのかも」って思うようになりました。僕もぺこりんも、おうちでやってるのと同じ、当たり前のことをみんなの前でもしたり言ったりしているだけなのに、それに対して「初めてお腹の底から笑えた!」とか「本当に笑顔になれました!」って感想がくるからびっくりして。
ぺこ そうそう。すごく嬉しいしありがたいけど、「えっ、こんなことで!?」って思うことがあるよね。
りゅうちぇる こんな当たり前のことでそんなに喜んでくれる人がいるってことは、みんなもしかして気持ちが暗いのかも、って思う今日この頃です。
ぺこ 言葉もネガティブになりがちですよね。私たち、年上の人たちに、「本当は君たちビジネスカップルなんじゃないの〜」っていじりかたをよくされるんです。ネタにしたい気持ちはわかるんだけど、ああ、いじるときもやっぱりマイナス方面なんだなあ〜、って思っちゃいます。もっと楽しい方向にいじればいいのに。
りゅうちぇる マイナスの言葉ばっかり溢れてるってことは、マイナスなものが好きな状態になっちゃってるってことだもんね。みんなちょっと病みやすい感じがするし。

(「マイナスにイジる」のは違和感)
——こういう社会になったらいいのにな、というイメージはありますか?
りゅうちぇる えっと……あのう、ブータンって、幸せすぎる国で、みんなが虫も殺さないらしいですよね。
ぺこ あ、今りゅうちぇるがブータンの話をしたのは、最近お仕事でブータンのことを知る機会がいっぱいあったからです(笑)。でもそのとき、「いいなあ」って思った話があって。日本人は、神社のお参りとかで、自分に良いことがあるようにお祈りするけど、ブータン人は、周りの人たちが幸せになりますようにってお祈りするらしいんです。それって大事なことですよね。
りゅうちぇる 大事〜。僕、まだ自分のことしか願ったことない。そういうところから心がけるだけで、社会っていうか、まず自分の明日が変わっていきそうだよね……って、僕今すごく恥ずかしいこと言ってる(笑)。
選挙は恋愛と同じ!?

(二人はどんな時も楽しそう)
——さっき「病む」という言葉が出ましたが、それは同世代の子たちを見ていて思うことですか?
ぺこ そうですね。何かあるとすぐ病んじゃう子って多い気がします。
りゅうちぇる ホントにね! 「枝毛多い、もう病む〜」みたいな。打たれ弱いんだと思う、今の子たちって。明るくしていきたいよね。
ぺこ そうそう。もっと楽しもう、頑張ろうよ! って思う。
——お二人は打たれ強そうですよね。どこにその秘訣があるんですか?
りゅうちぇる 僕、凹んでもすぐ立ち直るタイプなんです。一応は僕も一回病むんですよ。「あ〜もう無理、どうしようマジ」って。でも、その後すぐに自分で都合のいいように考えて、元気になっちゃいます。自分で自分をアゲていこー、ってスタイルです!
——ちなみにりゅうちぇるさんはどういうことで病むんですか? ちょっと想像がつかなくて。
りゅうちぇる え〜っ、カミソリ負けした時とか〜、ぺこりんと喧嘩したときとか〜。でもぺこりんは凹まないんだよね。落ち込んでるところを見たことがない。
ぺこ うふふ。私は常にハッピーだから、病んだり凹んだりってしないんですよね。昔からずっとそう。ネガティブな気持ちは、怒って発散して終わりです。
りゅうちぇる こういうぺこりんがいるから、僕もすぐ気持ちの転換ができるんです!

——政治にも、そういうポジティブな気持ちで向き合うことができるといいですよね。
ぺこ そう思います。もっと明るく、励ます感じも取り入れてほしい。くらーい感じで「あの、景気が悪いんで協力してください……選挙行ってください」って言われても、若い子はノれないんじゃないかな。
りゅうちぇる あ、でもね待って。そういうこと言うと、ふつうのおじさんたちは「そうかわかった!」って言って、すごい暑苦しく語り出しちゃうと思うの。それはダメ。そういう、とりあえずの熱だけじゃ信用できないもん。自分の人柄をちゃんと見せてほしいな。
——嘘は通じないぞ、ってことですね。
りゅうちぇる そう! 初めてでまだ何もわからない選挙なのに、熱意だけで難しいこと言われてもね。マンツーマンとかだったらいいですけど。テレビ越しとかだとサーッてひいちゃうと思います。誠意をもって、自分の個性をちゃんと出してぶつかってきてほしい。
——「誰に投票したらいいかわからない」ということで悩む同世代も多いと思うのですが、そういう子たちにはどのようにアドバイスしますか?
ぺこ 私、ほんまにわからんのやったら、顔の印象で選べばいいと思うよ、って言いたいですね。この人はチラシがピンク色でかわいいから、とかそんなのでもいいんじゃないかな? だってまずは一回やってみないとわからないですし。
りゅうちぇる 一度でも行ったら、それが経験になって、次にもっといろいろ考えられるようになるよね。「この前は顔で選んだけどそれじゃダメだったから今度はちょっと違うとこ見なきゃ〜」とか。恋愛と一緒だよね。ひとつひとつ、自分で経験していくことが一番大事!
——お二人に言われると、ポジティブな気持ちで選挙に挑めそうな気がしてきますね。お二人は、このキャンペーンで今後どんなことを楽しみにしていますか?

(選挙をポジティブにしたい、と意気込む)
ぺこ 私たちが「選挙にいこうね」って呼びかけることで、今までに興味のなかった子たちが、「私の好きなペコちゃんとりゅうちぇる君がいくなら楽しいかも、行ってみよう」って思ってくれたら嬉しいです。そう思ってもらえるように、りゅうちぇると二人で頑張ります!
りゅうちぇる このキャンペーンでみんなのイメージが変わっていったら、それが僕たちにとって一番嬉しいよね。とにかく、まずは「楽しそう」って思ってもらいたい。「TOHYO都」の動画も、誰が見ても選挙のイメージが変わるような素敵な作品だったので、もっとたくさんの人に見てもらえたらいいな〜って思ってます!

小池みき
ラ イター・漫画家。1987年生まれ。郷土史本編集、金融会社勤めなどを経てフリー。書籍制作を中心に、文筆とマンガの両方で活動中。手がけた書籍に『百合 のリアル』(牧村朝子著)、『萌えを立体に!』(ミカタン著)など。著書としては、エッセイコミック『同居人の美少女がレズビアンだった件。』がある。名前の通りのラーメン好き。
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