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立候補者必読!選挙プランナーが「勝てる候補」を見極める聞き取り十ヶ条

2016/4/15

松田馨

松田馨

私は選挙プランナーとして、「政治家にとって選挙は手段であり、当選することが目的ではない」という理念のもと、立候補予定者の政治活動をサポートしています。この四月でちょうど十年になりますが、これまで百人を超える候補者のサポートをさせていただいた経験から「立候補にあたって整理しておくべきこと」を十のポイントとしてまとめ、立候補予定者の方に確認するようにしています。今回はその十か条をご紹介しましょう。

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一.なぜ立候補するのか

立候補の動機は、「この人はなぜ政治家を志したのか」というストーリーに当たる部分であり、どういったきっかけで政治を志したのか、今の社会や政治のどんな点に疑問や義憤を感じているのかといった、政治家の志に関わる部分です。選挙は候補者の熱を伝播していく「熱伝導」が大切と言われますが、その最も熱い部分が何なのかは、有権者がもっとも知りたいと思う点です。

 

二.実現したい政策・政治は何か

これも同じく、候補者の熱を伝える根幹部分であり、一番と深く関わってくる項目です。政治家に立候補するという行為は、「選挙に当選したら終わり」ではなく、当選後に何を実現していくのかが全てです。当選したら政治家としてどのような政治を行っていきたいのか。具体的な政策に限らず、国家や地域の未来をどう考えているのか、ビジョンがあるのかどうかです。そこが答えられないようであれば、立候補はおすすめできません。

 

三.家族の説得は完了しているか

選挙期間中は肉体的にも精神的にも大きな負担がかかりますから、ご家族の賛同があるかないかで、日々感じるストレスの量も大きく変わります。実際、配偶者を説得しきれないまま立候補し、落選した候補者を私は何度か見てきました。「家族を説得できない人間に有権者が説得できるのか」と業界ではよく言われます。家族だからこそ、説得が難しい面もありますが、自分がこれから有権者を説得するにあたって、まず最も親しく身近な家族に味方になってもらうことが大切です。

 

四.健康面や体力の不安、スキャンダルが出る可能性はないか

選挙期間に突入すれば、早朝から夜更けまで辻立ちや挨拶で駆けずり回る日々が始まります。周囲のサポートも当然ながら、本人の体こそ最大の資本です。当選後、任期期間をしっかり務め上げるためにも、自分の体調の把握、適切なケアは不可欠の要素となります。また異性関係やお金のトラブルといったスキャンダルが出る可能性がないかも事前に確認するようにしています。

 

五.これまでの経歴においてアピールできる点はあるか

これは、必ずしも“華々しい経歴”が必要ということではありません。出身校や勤め先など、地元の方が親近感を抱きやすいと思われる経歴でもアピール要素になります。これまでの人生において、自分が何に打ち込んできたのか、どんな能力に自信があるのかをお聞きしています。

 

六.いつから選挙に全力投球できるか、休みなく選挙に注力できるか

選挙は投開票日が決まっていますから、選挙運動に費やせる時間も限定的です。例えば夏の参院選は七月十日投開票と言われていますから、あと5ヶ月ほど。スケジュールを逆算し、活動できる日数×二十四時間という限られた時間のなかで、最大の活動量を出せるようなスケジュール調整が必要です。

 

七.家族以外に二人三脚で一緒に選挙を闘ってくれる人はいるか

選挙は一人では戦えません。特に、立候補予定者と一緒に選挙期間が終わるまで、フルタイムで選挙に関わってくれる方が必ず必要になります。候補者の仕事は、事務所でチラシの発注電話をかけることではなく、一人でも多くの有権者の前に姿を見せ、想いを伝えることですから、そこに全力を注げる体制が必要なのです。

 

八.選挙区内に人脈はどの程度あるか

人脈というと少し硬い印象を持たれるかもしれませんが、要は本人の血縁や友人知人、地域や仕事関係のお付き合い他、ご家族の縁者なども含めてこれまでの人生のなかで何かしらのつながりのある人がどれだけいるかということです。応援を依頼するにあたって、まずはこれまでの人生ですでにつながりのある方から声をかけていくのが基本になります。

 

九.応援してくれる組織や団体・グループはあるか

地元地区の推薦、政党推薦、団体推薦などは、選挙の戦略を練るときに大変重要な要素になります。推薦がないのであれば、積極的に取りに行く意志があるかどうかも確認します。完全な無所属という形で戦いたいのであれば、泡沫候補だと思われたりしないようなイメージ作りも必要になりますし、選挙体制をどう組んでいくかも考えなければなりません。

 

十.選挙を戦うための最低限度の資金はあるか

票を金で買う、というような露骨な買収は、現在ではほとんど行われていません。それでも選挙にはやはりお金がかかります。まず、立候補にあたっての供託金。区長で百万円、区議で三〇万円が必要です。衆議院や参議院ともなると三百万円や六百万円という高額になります。

「とにかくお金をかけないのが綺麗な選挙だ」と考える立候補者の方もいらっしゃいますが、自分の人となりや実現したい政策を知ってもらうためには、ビラやポスターなどのPRグッズが必要になり、その企画費や印刷代がかかります。公費で賄える部分もありますが、事務所の家賃、選挙カーのレンタル代・ガソリン代など、自己資金が必要になります。自分の信念を実現するために必要な費用をどれだけ出すことができるのかも、覚悟を示す一つの指標と言えるでしょう。

以上です。選挙への立候補には多くのリスクが伴いますので、事前にこうした点を確認し、準備を整えておくことが重要です。選挙へ立候補する方の苦労が少しでも皆さまに伝われば幸いです。

 

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松田馨

松田馨

選挙プランナー。株式会社ダイアログ代表取締役。1980年生まれ。2006年以降、地方選挙から国政選挙まで100を超える選挙に携わる。新聞や週刊誌上において国政選挙(衆議院・参議院)の当落予想を担当するなど、選挙区分析には定評がある。ネット選挙運動の解禁や投票率向上の活動にも長年取り組んできた。著書に『残念な政治家を選ばない技術 「選挙リテラシー」入門』(光文社新書)

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