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「政治家は偉大なゼネラリストであって欲しい」北海道5区の補欠選挙から考える(永田町の住人が死ぬ前に絶対に伝えたい政治の話.1)

2016/4/13

藤川 晋之助

藤川 晋之助

lgp01a201403090000昨日告示された北海道5区の補欠選挙に注目をしている。告示前に北海道新聞社主催で開催された公開討論会では、経済の和田、福祉の池田と立ち位置の違いが明確になったと各紙は報じていたが、用意された質問にそれぞれ2分ずつ答えるだけの討論会に、アメリカの大頭領選挙などに見る候補者同士の丁々発止のやりとりが見られなかったのは正直言って残念に感じた。

まして、野党側の女性候補が、福祉以外の政策について終始原稿を読んでいたのには軽く失望を禁じ得なかった。私はそもそも頑固な二大政党論者で、与野党がせめて6・4くらいの力関係であることが、民主主義社会として必要だと考えているので、一強多弱の政治状況を深く憂いてきた。官僚の友人が「自民党の少なくない一、二年生の議員の勉強不足や人間的な軽さが気になる」と言っていたが、自民党の友人にそのことを伝えると「反論できない」と即座に答えられて愕然としたものだ。

それだけに、今回の補欠選挙では、ある意味では安倍政権の命運を決定づける戦いであり、参議院選挙に向けて、与野党の対立軸を明確にさせ、国民とりわけ若い世代の政治的関心を高める上でも、格好の選挙戦なのにと期待していただけに、先日の討論会を聞いて興ざめしてしまった。少なくとも国家の未来を背負う国会議員を選択する選挙なのだから、原稿など読まなくても自分の言葉で、経済や外交・防衛問題などの思いを述べて欲しいものだと率直に感じてしまったのである。

だいたい二大政党政治が機能しなくしてしまったのは、公募制などによって、与野党ともに次世代の政治家を育てることに真剣でなさ過ぎたことにあり、安易な候補者選びによって、政治家の劣化が著しく進み、さらに一強多弱の政治環境によって与党は明らかに気が緩み、野党は無気力に陥ってしまっているからで、せっかく名前まで代えてスタートした民進党の初陣とも言える選挙に、これではいかがなものかと憤りを覚えるくらいである。

あるいは衆参ダブル選挙があるかもしれないという政治状況の下で、民進党は多くの選挙区でまだ候補者も立てきれていないのだから、本気になって政権交代をしようとする気があるのかなと疑問を覚えない訳にはいかない。恐らく甘利議員はじめ不祥事がこれほど続いている自民党と、明らかにアベノミクス等の諸政策に陰りが生じつつある現在、反転攻勢へのきっかけ作りになる選挙なのに、候補予定者には辛口だが、福祉以外に原稿を読み続けている姿はほんとうに残念だった。

民主党政権時代に官僚の友人が、「傾向的に民主党の議員は自分の関心するところには一生懸命だが、国家全体のことに無関心な人が多い」と評していたことを思い出す。政治家は偉大なゼネラリストであって欲しいというのが私の持論だが、政治の振り子が大きく振れるたびに能力や人間力に欠いた議員を大量生産するばかりなのでは、日本の政治風土にやはり小選挙区制度は合っていないのではないかと考えざるを得なくなるのである。

アメリカの大頭領選挙でのトランプ現象への懸念がよく報じられているが、私はそんなことより、共和党も民主党も何十億円とかけてまでも候補者がたくさん手をあげて、党内でお互いにあれだけ罵倒しあってさえ分裂することもなく、党内議論が活発に行われている姿を見て、さすがに民主主義の国だ。日本であれば党内議論などほとんど出来ない。二大政党政治はそうした政治意識、主張を戦わせる環境によって支えられているのだとあらためて認識しない訳にはいかなかった。

戦後日本はアメリカ民主主義をお手本にして来たらしいが、何を学んで来たのだろう。せめて台本通りに進められる討論会のつまらなさからは脱皮してほしいものであり、カンペを読まなければ質問に答えられない人は選挙に出る前に、それでいいのだろうか、もっと基本的な知識と自分の頭で考えた思いを、国政全般に語れる人でなくてはならないと自省し、もっといのちがけで精進してほしいものだとむしょうに思った。

日本の政治に根本的に欠けているもの、それは政治的人材育成だとつくづく思う今日この頃であります。

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藤川 晋之助

藤川 晋之助

政治アナリスト。23歳の時、選挙の手伝いをきっかけに国会議員秘書となる。代議士秘書、大臣秘書、地方議員、放浪と隠遁生活を経て東南アジアでいくつかの事業に挑戦。帰国後、東京で藤川事務所を設立し、国会議員や首長の政策立案、選挙をサポートする。政官マスコミに幅広い人脈を持ち、田中派・小沢派での豊富な選挙経験を武器に高い勝率を誇る「選挙のプロ」としても名高い。趣味は文学と政治。

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