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今年の“政治とカネ”問題を振り返る、2015年の政治資金ニュース10選!

2015/12/14

山本洋一

山本洋一

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2015年の政治資金ニュース10選

高木毅復興相の「香典支出」問題が連日、メディアを賑わせているが、思い返せば今年も政治資金スキャンダルが相次いだ1年だった。すでに忘れ去られたものも多いが、今年の政治資金ニュースを振り返り、社会的影響や悪質性を考慮して、トップ10を紹介したい。

第10位 衆院議員資産公開 平均3463万円 5月25日 朝日新聞
第9位 「自共対決」構図強まる=中央・地方の収入2299億円―14年政治資金 12月5日 時事通信
第8位 政治資金、5年ぶりに300億円台 12月5日 読売新聞

10位から8位までは、政党および政治家の「懐事情」に関するニュース。
2014年の国会議員の政治資金収入の総額は前の年より6%増え、316億6149万円と5年ぶりに300億円台を回復した。景気低迷や政権交代の影響で企業や個人から政党、政治家への献金は減少傾向にあったが、自民党政権の「復活」を受けて企業・団体献金が回復した。2014年には経団連が献金呼びかけを再開したのも話題となった。

特に収入が伸びているのが自民党で、2位は共産党。共産党は2013年の参院選や2014年の衆院選で大きく議席を伸ばした勢いで、資金集めも優位に進めた。その他の政党は軒並み収入を減らしており、政界は自民、共産という「2強」の様相を強めている。

10位の資産公開は、国会議員の主要資産を毎年公開する制度。どこに土地を持っているとか、どんな車に乗っているとか、どんな株を持っているとか、手軽に知ることができる。自分の好きな政治家の資産を調べれば、もっと身近に感じられるかもしれない。

第7位 渡辺喜美氏と松島みどり氏、不起訴 東京地検 1月15日 朝日新聞

7位は化粧品大手ディーエイチシー(DHC)の吉田嘉明会長からの巨額借り入れ問題で検察の捜査を受けていた渡辺喜美元みんなの党代表と、地元の祭りで「うちわ」を配布したとして告発されていた松島みどり元法相が、いずれも不起訴になったという話題。

問題発覚後に渡辺氏は代表辞任を余儀なくされ、その後の選挙で落選。松島氏も小渕優子経産相とともに「ダブル辞任」を迫られた。どちらも検察では「お咎めなし」とされたものの、政治家としては大きな傷を負った。起訴を免れた渡辺氏が今後の野党再編にどう絡むかにも注目が集まりそうだ。

第6位 下村博文文科相 塾業界から「違法献金」 2月26日 週刊文春
第5位 西川農水相が辞任 安倍首相「任命責任は私に」 2月23日 朝日新聞
第3位 高木復興相 香典支出4年で230件 12月7日 毎日新聞

女性大臣の「ダブル辞任」が話題となった2014年に続き、今年も新任大臣が相次ぎ政治資金問題でマスコミや野党の追及を受けた。2月には西川公也元農林水産相が補助金を受けた会社から寄付を受けていた問題の責任をとって辞任。10月に復興相に就任した高木毅氏も選挙区内での葬儀に多額の香典を支出していた問題で厳しい追及を受けている。

西川氏の問題は、国の補助金が企業を通じて政治家の懐に「還流」していた疑惑である。政治家、特に大臣は補助金の交付先の決定に一定の影響力を持つため、自分の知り合いの会社に補助金を交付し、見返りとしてその一部を献金させるということが可能だからだ。

高木氏の問題は、地元有権者への「寄付」の疑惑。例えば結婚や開店などのお祝いを名目に多額の現金を地元有権者に渡し、見返りとして自らに投票させれば明確な「買収」になる。それを禁じるために法律では地元有権者に「ご祝儀」や「香典」を渡すことを禁じているが、高木氏の事務所では多額の香典を支出していたとのことである。

笑えないのは、西川氏の問題でも、高木氏の問題でも、追及する野党議員に同様の問題が見つかったことである。政治家及び事務所がいかにずさんな資金管理をしているのかがわかる。

第4位 政治資金でライザップに75万…民主・小見山氏 11月28日 読売新聞

ずれんな資金管理といえば、民主党議員の「ライザップ」問題もそうだ。民主党の小見山幸治参院議員(53)の資金管理団体が、トレーニングジム運営会社「RIZAP(ライザップ)」(東京)に75万円を支出していたことが発覚したのだ。

同氏は「政治家としてスポーツ振興に取り組んでおり、自ら体験したことを広く有権者に伝えたいという思いがあった」と弁明したが、そんな言い訳が通じるはずもない。批判が殺到したことを受け、後に政治資金収支報告書を訂正してライザップへの支出を削除した。

第2位 虚偽記載容疑で日歯連前会長ら3人を逮捕 東京地検特捜部 9月30日 産経新聞

第2位は、歯医者さんの政治団体である「日歯連」(日本歯科医師連盟)による「迂回献金」問題で、前会長ら3人が逮捕された事件。
日歯連では3年ごとの参院選のたびに、全国比例代表に「組織内候補」を送りこんでおり、現在は自民党の石井みどり参院議員と民主党の西村正美参院議員の2人を抱える。法律では団体間の寄付を年間5000万円に限っているが、2人の後援会を使い分けることで、上限を超える額の献金をしていたのである。

捜査でわかったのは、2人とも後援会の業務や資金管理を日歯連が「丸抱え」していたという事実。集票力と金のある政治団体が国会に「手先」を送りこみ、政治に影響を与えているこの現実を放置していいのか。政治資金のあり方や政党の姿勢が問われている。

第1位 政活費の2/3 議員報酬に 公費付け替え 千代田区が検討 11月24日 東京新聞

このニュースには本当に驚いた。号泣県議の問題を受け、全国の議会で政務活動費の減額や透明化が進む中、東京都千代田区が政務活動費の「不透明化」を進めようというのだ。

具体的には現在、月15万円支給している政務活動費を5万円に減らし、残りの10万円を報酬に付け替えるというのだ。議論している審議会では「政治資金を使いやすいようにする」と説明しているが、市民の理解を得られるとは到底思えない。

国会で政治資金スキャンダルばかりが議論されているのは本当にバカバカしいが、スキャンダルを放っておくわけにいかない野党議員の気持ちもわかる。夏に参院選が予定され、「衆参ダブル選挙」もささやかれる2016年こそは与野党による中傷合戦ではなく、重要政策を巡る本格的な論戦が展開されるよう期待したい。

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山本洋一

山本洋一

元日本経済新聞記者 1978年名古屋市出身。慶應義塾大学経済学部卒業後、日本経済新聞社に入社。政治部、経済部の記者として首相官邸や自民党、外務省、日銀、金融機関などを取材した。2012年に退職し、衆議院議員公設秘書を経て会社役員。地方議会ニュース解説委員なども務める。

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