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【選挙の目】大阪ダブル選と参院選はリアル与党(橋下維新、安倍自民)と妄想野党の対決

2015/11/23

高橋 茂

高橋 茂

橋下氏を全面に出した選挙で大阪維新の会圧勝

大阪ダブル選は予想通り大阪維新の会の勝利で終わった。

大阪府知事選挙結果(選挙ドットコム)

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大阪市長選挙結果(選挙ドットコム)

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私は投票日直前に、自分のFacebook上で以下のように書いた。

大阪府知事選も市長選も、マスコミ調査通りに大阪維新の会が勝つでしょう。府知事選は大差がつき、市長選もそこそこ差がつくはずです。
なぜか。
一番の理由は、維新以外が統一候補を出せなかったことにあります。大阪の自民党は勢力で言うと維新の半分ぐらい。大阪は異常なのです。自民党の推薦では最初から倍以上のハンデがあります。自民党と同じくらいの勢力を持つ公明党は自主投票。つまり試合放棄。
共産党は「実質的自民党候補を支援」ですが「実質的」というのは「本当は応援したくないけどさあ」ということ。バリバリ自民党色が強い候補を熱心に応援できないのは当然です。
民主党は大阪ではほぼゼロなので、そもそも影響は無し。
橋下嫌いの無党派は少数。
大阪都構想で拮抗したのは、反対派が自民も共産もガッチリと協力し合った結果。今回は反維新がバラバラなので、これでは勝てるわけがない。始める前から勝負を諦めていることもあるでしょう。
逆に言うと、大阪都構想のときのようなスクラムが組めれば、まだ良い勝負ができる可能性があったということです。
ということを書き置きます。橋下さんは一旦院政に入るも、まだまだ完全引退はせず。

今回の大阪ダブル選、特に市長選は、橋下徹大阪市長が引退を表明した「ポスト橋下」を決める選挙だと言われていたが、実際の選挙戦は橋下氏が全面に出ていた。投票所に行ってから「あれ?橋下は?」と思った有権者もいたのではないか。冗談のような話だが。
実際に市長選の方が3ポイント投票率が低い。「投票所に行ってから」というのは冗談だとしても、市長選で入れたい人がいなかったのだろう。

市長選の候補者、柳本氏(自民推薦)による街頭演説の写真を見たが、かなりの盛り上がりだった。実際に現場で見ていたら、「これは、もしかしたら勝てるかも」と思ったのではないか。しかし、負けた。

街頭演説の反応は、それ自体が選挙情勢の盛り上がりを示すこともあるが、陣営がそれを判断することは危険だ。どうしても自らの陣営を贔屓目に見てしまう「妄想」である可能性が高い。「リアル(客観的に見られる現状)」は常に与党側にあると思っていなければならない。

大阪ダブル選の結果と参院選とのつながり

今回の選挙を見ていて気がついたことがある。それは、「国政と同じではないか」ということだ。

国政の場合は「安倍」と「反安倍」の戦いが続いている。安倍首相の支持率が高く、近い将来の戦争開始を意識させる政策が次から次へと決まっていくと、その逆の動きも大きくなっていく。危機感を持つ若い世代も立ち上がり、インターネットを通じた呼びかけで10万人クラスのデモが行われるようになる。

「反安倍」勢力は、数万人が盛り上がっているようすを見て「これは安倍政権を倒す日が近くなった」と思うかもしれないが、そうではなく「反安倍」の盛り上がりが増していることによるものなのだ。

以下の図は、安倍、橋下を支持する勢力と支持しない勢力を対局に置いて、そのエネルギーを形にしたものだ。この場合の「エネルギー」は、街頭演説に足を運んだり、投票呼びかけを行うなどの具体的な行動を示す。
反安倍・反橋下(赤)の方のエネルギーが大きいため、優勢に見える。

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そして次の図は、そのエネルギーに有権者数をかけたものだ。あくまでも私の「イメージ」であり、実際の統計にのっとったものではない素人技なのでご容赦願いたい。
やはり反安倍・反橋下の方がエネルギーは高くなっているが、全体数では少ないため、面積で見ると安倍・橋下支持(青)の方が多くなる。

oosaka-2

これが来年の参院選でも同じ構図となる。

「反安倍」勢力は盛り上がるが、凹みの部分を持ち上げていかないと、結局総数では負けることになる。その対策として以下の3つが考えられる。
(1)凹み(消極的無党派層)を持ち上げる
(2)青の部分を減らす
(3)グラデーションの赤の部分を増やす(無関心層の覚醒)
(1)と(3)は反対勢力の拡大であり、野党勢力の協力体制強化。(2)は政権支持勢力の弱体化となる。

現在、共産党が中心となり野党勢力の拡大に向けて協議が行われているが、民主党内では「解党して野党再編を図るべきだ」という主張も出てきているので、ことは簡単に運ばない。

自民党にとっては追い風

もう一つ。負けた自民党にとって、今回の選挙が追い風になると考えることもできる。それは、自民党候補に「共産党と共闘したから負けたのではないか」とクレームが来ていたという話だ。

表面的に見ると「維新対自民」の候補者対決となり、自民側に野党が乗っかった構図だったが、安倍首相は応援に入らなかった。外交日程云々はどうでもいい。本気で応援するのであれば、ビデオメッセージでも何でも入れられたからだ。うがった見方をすれば、橋下氏が政権に取り込まれる余地を残してあると言えなくもない。

今後、橋下氏が国政に出てきて自民党と協力関係を築くのは容易だ。自民党側も「大阪ダブル選で自民党候補が負けたのは共産党と共闘したから」という理由で受け入れることはできる。

これから関西方面は大阪維新の会が勢力を広めて、国会では維新の党との対立が激しさを増す。橋下派は政権との距離を縮め、維新の党と民主党解党派は野党再編を画策し、共産党の主張する連合政権構想は粛々とは進まない。小沢一郎氏が主張する「オリーブの木」構想が一番現実的に見えるものの、生活の党の立ち位置が野党の中心に無いために、実現可能性は極めて低い。

大阪ダブル選が、野党共闘を不利な状況にしたことは疑いようも無いが、あと7ヶ月と迫った参院選で自民党の一人勝ちを防ぐことが可能なのか。野党側は妄想を捨て、「活動が広がっているのではなく先鋭化している」という事実を意識して取り組まなければならない。

 

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高橋 茂

高橋 茂

2000年、電子楽器のエンジニアから政治とインターネットの世界へ。政治家のネット活用をサポートするVoiceJapan社を経営する傍ら、講演、執筆も行う。武蔵大学非常勤講師。選挙ドットコム顧問

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