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埼玉県知事選挙・街頭演説初日レポ【後編】(小池みきの下から選挙入門③)

2015/8/7

小池みき

小池みき

埼玉県知事選挙、街頭演説初日レポの後編である。この日私は、上田きよし候補と柴田やすひこ候補、二人の第一声を聞いてみた。上田氏の演説が終わるころに柴田氏の演説が始まったので、どちらの演説もあらかた聞くことができた。

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雨が降ったり止んだりの猛暑の中、パソコンを背負って立ち続けていたので正直ゆだり死にそうだったが、選挙関係者のおじさまたちはこの気候の中スーツを着ているわけで、生半可な体力では政治になど関われないことを痛感する。立候補者にいたっては、更に手袋まではめていたりするからすごい。ちなみにこの白い手袋には、汗でマイクが滑らないようにという目的もあるそう。Amazonでは「選挙用手袋(http://www.amazon.co.jp/選挙用-白手袋-1ダース(12双組)-Lサイズ/dp/B00920BXFK)」としてダース売りもされている(普通のと何が違うんだろう)。でもやっぱり暑そう。

演説の内容については既に当サイトでまとめられているので、以下を参照していただきたい。

上田きよし候補 第一声全文書き起こし 「出馬をしろ!という強い要請を頂きました」
柴田やすひこ氏 第一声全文書き起こし 「一番の争点は、戦争法案をこの参議院で廃案に」

私は埼玉県民ではないので、埼玉については完全に無知である。特に思い入れのようなものもない。傑作ギャグ漫画『パタリロ!』に、「埼玉から東京に行くには通行手形が必要」と書かれていたことを思い出すくらいだ。しかし演説を聞いていると、元愛知県民・現東京都民の私の胸にもそれなりに“埼玉県民心”が湧いてくるというか、「それで、埼玉のために具体的に何をしてくれるんですか」と立候補者に聞いてみたいような気持ちがわずかながら宿り始めるから不思議である。

現職の上田氏は、埼玉の未来について、主に2025年問題を軸に語っていた。具体的な数字を用いて課題を並べていたので、県外民である私にもわかりやすかった。今から10年後の2025年、高齢者の人数がピークを迎える。もろもろ予想される問題に県内で対応するために、この3〜4年のうちに医療福祉や教育支援の整備をしなければいけない、との内容。四期目突入であることについては「周りから出馬要請があったので決意した」という程度の言及だった。

上田氏の演説の終わりがけから、浦和駅東口の方へも乗り出し柴田氏の演説を続けて聞く。道端の台に乗って喋っていた上田氏に対し、柴田氏の方は車の上からの演説。

柴田氏の陣営は、応援演説も含めて「戦争法案を廃案に追い込もう」というメッセージを主役にしていた印象。ワードクラウドを見てもやはりそのようになっている。

主要3候補の第一声ワードクラウド(埼玉県知事選挙)

「戦争状態になった場合、軍事施設の集中している埼玉は攻撃を受ける可能性が非常に高い」という話にはなるほどと思った。上田県政への批判としては、偏向した歴史観を教育現場に押しつけてきたこと、雇用状況が実はうまく回ってはいないことなどを挙げていた。

演説後、応援者の握手の求めに応じる候補者を遠巻きに眺めながら、私の初・街頭演説拝聴タイムは終わった。じっくり聞いてみるとやっぱり、演説者へのそれなりの印象というものが自分の中に残る。気になる候補者の街頭演説は聞いてみてもいいのかもしれない、というのが全体を通しての感想である。ただし、応援演説から丸ごと聞く必要があるかというと、個人的にはないと思う。前回も書いた通り、その辺を歩いている市民に向けてというよりは、関係者に向けての「みんなで頑張ろう」的な発言も多いように感じたからである。

そういえば、この日見た数人の応援演説者の中に、一人うまい人がいた。声が大きく、言い回しにもメリハリがあった。その人の演説は、身内に向けてではなく、浦和駅を歩く人たちに向いていた。話の内容というよりも、“態度”がそうだったのだろう。演説後に合流したタカハタ総統も「○○さんは上手かったね」と言っていたので、同じように感じた人は多いかもしれない。

話術の巧拙というのはやはり人の印象を大きく左右するもの。それを確かめに演説の場に足を運ぶ、というのは無駄な行為ではなさそうだ。

選挙演説ウザイ、絶対聞きになんて行きたくないし街角で演説してたら耳ふさいで駆け抜けたい、という人ももちろんいると思う。私も三分の二くらい同意である。そういう人には、当サイトで演説内容をチェックするのをおすすめする(今後も色んな候補者の演説内容をまとめてくれるはず)。

私が現場にいた一時間と少しの間、演説台の周りにたむろする人の群れの間を、色んな人が駆け抜けていった。日よけ帽をかぶり、ベビーカーを押しながら必死の形相をしている女性。汗だくで走っている私と同世代くらいのサラリーマン。笑い転げる男女の高校生たち。

テレビでもWEBでもなんでもいいから、彼らの耳や目に、演説内容が届くルートがもっと整うといい。真夏の平日の午前中、街角に三十分足を止める余裕は、彼らにはないのだ。

 

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小池みき

ラ イター・漫画家。1987年生まれ。郷土史本編集、金融会社勤めなどを経てフリー。書籍制作を中心に、文筆とマンガの両方で活動中。手がけた書籍に『百合 のリアル』(牧村朝子著)、『萌えを立体に!』(ミカタン著)など。著書としては、エッセイコミック『同居人の美少女がレズビアンだった件。』がある。名前の通りのラーメン好き。

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