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埼玉県知事選挙、街頭演説初日レポ【前編】(小池みきの下から選挙入門②)

2015/8/4

小池みき

小池みき

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7月23日の午前9時過ぎ。私とタカハタ総統は、埼玉県知事選挙の初日街頭演説の見物に来ていた。

タカハタ総統「選挙演説、いままでどのくらい聞いたことある?」
小池「5秒くらいですかね」

こんな不埒な人間が埼玉県に足を踏み入れたせいであろうか。浦和は不吉な曇り空であった。

さて、選挙演説である。仮にも選挙ドットコムという名のサイトでこんなことを書くのは少々気がひけるが、私は選挙演説というものがすこぶる苦手だ。やかましい、という感想しか抱いたことがない。公約は新聞やネットで読むから、別に街頭で聞く必要はないと思っている。

とはいえ、私が選挙演説をちゃんと聞いたことがないのも確かである。こんな機会でもなければ、アタマからケツまで選挙演説を聞くことはもう二度とないかもしれない。苦手意識を捨ててフラットに眺めてみることにする。

8月30日任期満了に伴う埼玉県知事選挙は、7月23日(木)に告示、8月9日(日)に投開票というスケジュール。告示とは選挙期日の告知のことだ。これが衆議院議員総選挙や参議院議員通常選挙の場合は天皇が詔書をもって行うため、「告示」ではなく「公示」となる。

埼玉県民でないのでまったく知らなかったが、立候補者は以下の五人。

・石川 英行(52)新人 元菓子製造販売会社社長
・上田 きよし(67)現職  《維新支持》
・たけだ のぶひろ(61)新人 元高校教諭
・柴田 やすひこ(62)新人 県労働組合連合会議長 《共産推薦》
・ つかだ 桂祐(58)新人 元総務省消防庁審議官 《自民県連推薦》

選挙期間の最初に行う演説を「第一声」という。今回、タカハタ総統と私がこの浦和駅にやってきたのは、四選目の出馬となる現職の上田きよし氏、そして柴田やすひこ氏の第一声を聞くためであった。西口で上田氏、東口で柴田氏が演説するのである。

現職である上田きよし氏の演説会場前に行ってみると、既に関係者と思わしきおじさま達が大量に陣を張っており、テレビ局のクルーはせわしなく場所撮りやマイクテストを行っていた。演説を聞くつもりらしい人たちも意外とたくさんいたが、ほとんどは「おじさん」以上の年代に見える。予想はしていたが女性は少ない。そして、若者はいない。

タカハタ総統によれば、おそらく2、3人の応援演説ののち、上田氏の登場と相成るだろうとのこと。

この上田きよし氏、前述の通り四選目の出馬なのであるが、それがちょっと話題になっているらしい。なぜなら、上田氏が知事初就任後の2004年8月に制定した「埼玉県知事の在任期間に関する条例」の中で、「連続して三期を超えて在任しないよう努めるものとする」と明記しているからだ。つまり、自分で作った条例を自分でけちらしての出馬ということ。これはなかなか面白い。

条例の目的は「知事が幅広い権限を有する地位にあることにかんがみ、知事の職に同一の者が長期にわたり在任することにより生ずるおそれのある弊害を防止するため」。なら、「弊害防止」以上の何かがあるからこそ上田氏は出馬にふみきったのであろう。それが何なのか、埼玉県民ではないが聞いてみよう。

と意気込んだはいいものの、私は早速大いなる苦しみを味わうことになる。

応援演説が長くて、ちっとも上田氏が出てこないのだ。

「えー、この度の出馬に際し、多くの団体より応援をいただいております。本来ならば一つ一つ紹介の上ご挨拶をいただくべきところですが、代表して○○の会の×山×太様にご挨拶いただきます」
「それでは次に、この場にお集りくださいました△△の皆様を代表いたしまして、□村□夫様に一言頂きたいと思います」

こんな調子で延々と応援者が登場する。正直、短気な私は四人目あたりから上の空だった。現場で私がとっていたメモを見ると、「六人目 足が痛い」「七人目 長い」「八人目 ねむい」とよれた字で書いてある。私のイライラに呼応するかのように、雨も降り続けていた。

だがそんな時、何人目かの応援演説者が「選挙とは、足で一票一票とりに行くものなのです!」と熱弁を振るっているのを聞いて、ふと合点がいった。

これは、町行く市民へのPRのためではなく、その場に集まった関係者の士気を高めるために行われている演説なのだ件の発言も、明らかに応援陣営に向けた言葉である。「これからみんなで頑張っていこう」と言い合う時間なのだ。それはそれで必要な時間なのだろう。彼らにとって。

八人目の応援演説が終わったところで、ようやく上田氏が演説台の上に姿を現した。雨もあがり、日差しがつよくなってきた。応援演説開始から約45分後のことである。さて、何を語るのか、耳の穴かっぽじって聞こうじゃないか。

後半へ続く

 

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小池みき

小池みき

ラ イター・漫画家。1987年生まれ。郷土史本編集、金融会社勤めなどを経てフリー。書籍制作を中心に、文筆とマンガの両方で活動中。手がけた書籍に『百合 のリアル』(牧村朝子著)、『萌えを立体に!』(ミカタン著)など。著書としては、エッセイコミック『同居人の美少女がレズビアンだった件。』がある。名前の通りのラーメン好き。

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